【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
病院で目を覚ましてから、あたしが裏山の麓に倒れていて救急搬送されたと言うことを聞いた。義人は飲み込まれる寸前に黒い物体は消えたらしく、気を失った状態で裏山の中腹あたりで発見されたらしい。他のみんなは行方不明で、警察に行方不明届が行った。
あたしの意識が戻っても、義人の意識は戻らなかった。そのうち解離性昏迷という病名をつけられ、ずっと病院のベットの上で生活している。
大人たちに、これ以上ないほど怒られて泣かれた。肝試しメンバーの親のほとんどに責められて泣かれて、たまに叩かれて。
ずっと、悲しいとも辛いとも思わなかった。自分が空っぽになってしまったような、自責の念にすら駆られないような、そんな気がしていた。
[水平線]
水が弾けるような、軽い音がする。
メモーリアの部屋に戻ってきた。荒い呼吸をそのままに、義人の手を探し求めて手を伸ばす。
誠「…っ……はあっ…義人…?みんな…?」
どこに行ったの。どうして、みんなが……あの黒い物体は何?嫌い。なんで義人を助けに行かなかったの?なんで山から滑り落ちたりしたの?
なんで、あたしだけが飲み込まれなかったの?
後悔と疑問がとめどなく頭に溢れ、足りないパーツが全部揃ってしまったようだった。頭痛もない。でも、何もない。
そんな脳内に、一つの“答え”が降りてきた。
『……思い出したか』
誠「……うん、完全にね。そして、あたしの予想が正しければ──」
灯火のかんざしを構え、左手で凪の魔法を使えるよう自由にする。美莉愛にもらった三日月の加護も、この天井の高い空間なら存分に使える。
誠「あたしは、お前を殺したいほど憎むことになる」
記憶の神、メモーリア。こいつが全ての元凶であり、みんなを攫った張本人。
黒い物体の操り主も、こいつ。みんなを、理由は知らないけどここに閉じ込め続けた。
みんなが傷だらけになって戦って、あたしなんか眼球一個潰されて。照は魔力切れで死んで。他のみんなも安否不明。
許せるはず、ないだろ。
『……そうか、殺したいか』
メモーリアはそう呟くと、開けた場所まで歩いていって、両手を広げた。
『殺せ。我はもう、罪を犯しすぎた』
誠「……は…っ?」
何それ。
あたしはあいつを殺したい。でも、殺せばあいつは罪から解放される。そう言うことになる。
そうしたら、あたしはあいつを許すことになる。
無理、あいつを許すとか無理。
それならまぁ、生きて償ってもらうしかないか。
かんざしをポケットに収めると、メモーリアが驚いたようにこちらを見た。
『殺さないのか…?』
誠「やっぱやめた。だって、殺したらあたしがあんた許したことになるし」
『その代わり』とあたしは続けた。
誠「ここから先一生、私の言うことを聞くこと。誰に頼まれようとも他人の記憶を抜き取ったりしないこと。ここに連れてきた人や動物全員を元の世界と時代に帰すこと。それから……ここへの自由な出入りを許可すること」
『……どういう、ことじゃ?』
誠「罪を犯し続けたんなら、生きて償って。許す許さない関係なく。じゃないと──」
いくら時が経っても、許さないから。
そこまで言わなくても彼女にはちゃんと伝わったようで、ふっと微笑んで『あぁ』と呟いた。
『そうだな……それでは、手始めにお主と、その仲間たちを元の世界へ戻すとしよう』
メモーリアはあたしに近づき、頭の上に手をかざす。淡い光が集まっていく。
あたしの意識が戻っても、義人の意識は戻らなかった。そのうち解離性昏迷という病名をつけられ、ずっと病院のベットの上で生活している。
大人たちに、これ以上ないほど怒られて泣かれた。肝試しメンバーの親のほとんどに責められて泣かれて、たまに叩かれて。
ずっと、悲しいとも辛いとも思わなかった。自分が空っぽになってしまったような、自責の念にすら駆られないような、そんな気がしていた。
[水平線]
水が弾けるような、軽い音がする。
メモーリアの部屋に戻ってきた。荒い呼吸をそのままに、義人の手を探し求めて手を伸ばす。
誠「…っ……はあっ…義人…?みんな…?」
どこに行ったの。どうして、みんなが……あの黒い物体は何?嫌い。なんで義人を助けに行かなかったの?なんで山から滑り落ちたりしたの?
なんで、あたしだけが飲み込まれなかったの?
後悔と疑問がとめどなく頭に溢れ、足りないパーツが全部揃ってしまったようだった。頭痛もない。でも、何もない。
そんな脳内に、一つの“答え”が降りてきた。
『……思い出したか』
誠「……うん、完全にね。そして、あたしの予想が正しければ──」
灯火のかんざしを構え、左手で凪の魔法を使えるよう自由にする。美莉愛にもらった三日月の加護も、この天井の高い空間なら存分に使える。
誠「あたしは、お前を殺したいほど憎むことになる」
記憶の神、メモーリア。こいつが全ての元凶であり、みんなを攫った張本人。
黒い物体の操り主も、こいつ。みんなを、理由は知らないけどここに閉じ込め続けた。
みんなが傷だらけになって戦って、あたしなんか眼球一個潰されて。照は魔力切れで死んで。他のみんなも安否不明。
許せるはず、ないだろ。
『……そうか、殺したいか』
メモーリアはそう呟くと、開けた場所まで歩いていって、両手を広げた。
『殺せ。我はもう、罪を犯しすぎた』
誠「……は…っ?」
何それ。
あたしはあいつを殺したい。でも、殺せばあいつは罪から解放される。そう言うことになる。
そうしたら、あたしはあいつを許すことになる。
無理、あいつを許すとか無理。
それならまぁ、生きて償ってもらうしかないか。
かんざしをポケットに収めると、メモーリアが驚いたようにこちらを見た。
『殺さないのか…?』
誠「やっぱやめた。だって、殺したらあたしがあんた許したことになるし」
『その代わり』とあたしは続けた。
誠「ここから先一生、私の言うことを聞くこと。誰に頼まれようとも他人の記憶を抜き取ったりしないこと。ここに連れてきた人や動物全員を元の世界と時代に帰すこと。それから……ここへの自由な出入りを許可すること」
『……どういう、ことじゃ?』
誠「罪を犯し続けたんなら、生きて償って。許す許さない関係なく。じゃないと──」
いくら時が経っても、許さないから。
そこまで言わなくても彼女にはちゃんと伝わったようで、ふっと微笑んで『あぁ』と呟いた。
『そうだな……それでは、手始めにお主と、その仲間たちを元の世界へ戻すとしよう』
メモーリアはあたしに近づき、頭の上に手をかざす。淡い光が集まっていく。