【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
祭りのお囃子が響く町内を抜け、あたしたちは懐中電灯片手に裏山を彷徨っていた。リーダーシップがある義人だが、実際結構怖いようで手が震えている。
玄羽「義人、大丈夫ですか?」
義人「あぁ、問題ない」
そうとはいえ、顔が真っ青である。流石に心配だ。
さてどうしたものかと考えていると、桃花が義人のそばへ駆け寄った。
桃花「あー、ちょっと怖いなー。誰か、手繋いでくれないカナー」
義人「よし桃花が怖いなら仕方ないな」
棒読みで言った桃花の言葉に異様な食いつきを見せた義人は、早口で言って桃花の手を掴んだ。こちらを向いた桃花の目が『私に任せて』と言っている。きっと怖がる義人に気を遣ったのだろう。
手持ちの懐中電灯を桃花の顔が見えるように向けると、クールな顔がほんのり赤らんでいる。まぁそういう理由もあるわけで、今が義人と手を繋げる絶好の機会と言うわけだ。
七凪「ってか、ほんとに出るの?ユーレイとか…」
輝「ひっ…!」
実莉亜「無理無理無理!その名を呼ぶなぁっ…!」
退屈そうにあくびする七凪の言葉に、はられに寄生虫もびっくりなレベルでくっついている輝と実莉亜が悲鳴をあげる。
はられ「お化けより私にくっつく貴方達の方が怖いですよ……暑苦しい…」
実莉亜「だだだだって!」
輝「怖いぃぃぃ!」
変なところで息ぴったりな輝と実莉亜だが、この裏山でお化けが出たという情報があるのかどうか怪しいのは事実だ。
桃花「実際、出るみたいですよ。2組の[漢字]近藤[/漢字][ふりがな]こんどう[/ふりがな]さんが言ってたので…」
誠「あ、[漢字]小春[/漢字][ふりがな]こはる[/ふりがな]?まぁ、学年一のオカルト好きが言うなら間違いないか…」
義人「あ、野いちご…ってことは、ここが頂上か」
はられ「普段の山とだいぶ印象が違いますね…」
やっと頂上に着いたようで、緊張した空気が少しだけ緩む。『やっぱお化けなんて出なかったじゃん』と軽口を叩いていると、七凪がつまらなさそうに唇を尖らせた。
七凪「ちぇ、つまんないの。あ〜でも確か、こんな歌あったよね…」
行きは良い良い、帰りは怖い。近所の駅でよく流れているので、この街の小学生はほぼ全員が知っている。確か『通りゃんせ』と言う歌だった気がする。
いつも聴いている歌だが、今の緩んだ緊張の糸を再び氷漬けにするのに十分だった。
誠「七凪、やめてよ〜…さ、みんな帰ろ?大丈夫、きっとなんともな──」
震える足に鞭を打ち、一歩ずつできるだけ自然に足を出す。大丈夫、帰れる。
そんな淡い期待を打ち破るように、私の震える足は地面を踏み外す。急斜面を体が伝い、凄まじい音を立てる。
誠「いっ…」
『ぎゃああああ!!!!!』
みんなの、叫び声。行かなきゃ。何があったの。どうしたの。痛い。
色々な思考が頭を渦巻き、とりあえず動かなきゃと体を起き上がらせる。足が痛い。体が痛い。懐中電灯がどっかいった。でも、行かなきゃ。
義人「まこちゃっ……はぁっ…!誠!」
誠「義人!」
先ほど私が滑落した斜面を、義人が持ち前の運動神経で怪我一つなく滑り降りてくる。だが、その顔は必死そのものだ。
誠「さっきの叫び声、何!?みんなは!?」
義人「いいから、早く!」
義人はあたしの腕を乱暴に掴むと、全速力で山を降り始めた。
──あの時よりも、弱い。痛くない。
斜面を転がり、木の根をこえ、身体中傷だらけになりながらひたすら前へ進む。すると、前を行っている義人が転んでしまった。
勢い余って前に数メートルか進んでしまい、後ろをバッと振り返る。
転んだ義人の後ろには、謎の黒い物体が。
義人「誠!逃げろぉぉぉ!!!!!」
そう叫んだ義人は、体を起こしてすぐその黒いものに飲み込まれた。
視界が、真っ黒に染まる。
そこから先は、無我夢中で。走って。走って。走って。走って。
気がつけば、視界には病院の真っ白い天井が広がっていた。
玄羽「義人、大丈夫ですか?」
義人「あぁ、問題ない」
そうとはいえ、顔が真っ青である。流石に心配だ。
さてどうしたものかと考えていると、桃花が義人のそばへ駆け寄った。
桃花「あー、ちょっと怖いなー。誰か、手繋いでくれないカナー」
義人「よし桃花が怖いなら仕方ないな」
棒読みで言った桃花の言葉に異様な食いつきを見せた義人は、早口で言って桃花の手を掴んだ。こちらを向いた桃花の目が『私に任せて』と言っている。きっと怖がる義人に気を遣ったのだろう。
手持ちの懐中電灯を桃花の顔が見えるように向けると、クールな顔がほんのり赤らんでいる。まぁそういう理由もあるわけで、今が義人と手を繋げる絶好の機会と言うわけだ。
七凪「ってか、ほんとに出るの?ユーレイとか…」
輝「ひっ…!」
実莉亜「無理無理無理!その名を呼ぶなぁっ…!」
退屈そうにあくびする七凪の言葉に、はられに寄生虫もびっくりなレベルでくっついている輝と実莉亜が悲鳴をあげる。
はられ「お化けより私にくっつく貴方達の方が怖いですよ……暑苦しい…」
実莉亜「だだだだって!」
輝「怖いぃぃぃ!」
変なところで息ぴったりな輝と実莉亜だが、この裏山でお化けが出たという情報があるのかどうか怪しいのは事実だ。
桃花「実際、出るみたいですよ。2組の[漢字]近藤[/漢字][ふりがな]こんどう[/ふりがな]さんが言ってたので…」
誠「あ、[漢字]小春[/漢字][ふりがな]こはる[/ふりがな]?まぁ、学年一のオカルト好きが言うなら間違いないか…」
義人「あ、野いちご…ってことは、ここが頂上か」
はられ「普段の山とだいぶ印象が違いますね…」
やっと頂上に着いたようで、緊張した空気が少しだけ緩む。『やっぱお化けなんて出なかったじゃん』と軽口を叩いていると、七凪がつまらなさそうに唇を尖らせた。
七凪「ちぇ、つまんないの。あ〜でも確か、こんな歌あったよね…」
行きは良い良い、帰りは怖い。近所の駅でよく流れているので、この街の小学生はほぼ全員が知っている。確か『通りゃんせ』と言う歌だった気がする。
いつも聴いている歌だが、今の緩んだ緊張の糸を再び氷漬けにするのに十分だった。
誠「七凪、やめてよ〜…さ、みんな帰ろ?大丈夫、きっとなんともな──」
震える足に鞭を打ち、一歩ずつできるだけ自然に足を出す。大丈夫、帰れる。
そんな淡い期待を打ち破るように、私の震える足は地面を踏み外す。急斜面を体が伝い、凄まじい音を立てる。
誠「いっ…」
『ぎゃああああ!!!!!』
みんなの、叫び声。行かなきゃ。何があったの。どうしたの。痛い。
色々な思考が頭を渦巻き、とりあえず動かなきゃと体を起き上がらせる。足が痛い。体が痛い。懐中電灯がどっかいった。でも、行かなきゃ。
義人「まこちゃっ……はぁっ…!誠!」
誠「義人!」
先ほど私が滑落した斜面を、義人が持ち前の運動神経で怪我一つなく滑り降りてくる。だが、その顔は必死そのものだ。
誠「さっきの叫び声、何!?みんなは!?」
義人「いいから、早く!」
義人はあたしの腕を乱暴に掴むと、全速力で山を降り始めた。
──あの時よりも、弱い。痛くない。
斜面を転がり、木の根をこえ、身体中傷だらけになりながらひたすら前へ進む。すると、前を行っている義人が転んでしまった。
勢い余って前に数メートルか進んでしまい、後ろをバッと振り返る。
転んだ義人の後ろには、謎の黒い物体が。
義人「誠!逃げろぉぉぉ!!!!!」
そう叫んだ義人は、体を起こしてすぐその黒いものに飲み込まれた。
視界が、真っ黒に染まる。
そこから先は、無我夢中で。走って。走って。走って。走って。
気がつけば、視界には病院の真っ白い天井が広がっていた。