【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
誠「お前は…?」
『嫌だなぁ、僕が最終試練だよ。ルーインとでも呼んで。』
コウモリや美女、エフェや小白に比べ、ひ弱で風が吹いたら倒れそうである。
これは、行けるんじゃないか?
義人「……逃げるぞ…」
誠「え?」
義人「着いてこいっ!!!!!!」
ガッとあたしの腕を掴み、一目散に駆け出す義人。
強く握られすぎて手首が痛いし、普通に怖い。けれど、この非常時にそんなこと言ってられない。
足に力を入れ直すと、思いっきり走り出した。
向こうのドアが見える。
義人とルーインの目があう。
もうすぐ──
義人「うわぁっ!?」
前で腕を引っ張っていた義人が膝から崩れ落ちる。
義人の大きな大人の手はブランと下におち、支えがなくなった首は勢いよく下を向く。
ルーイン「はは、バカだなぁ…最終決戦がこれで終わるわけないじゃん。」
不敵に笑うルーインは猫のような耳と目を揺らし、こういった。
ルーイン「僕はねぇ、力はそこら辺の人間より弱いけど、何かを“操る”ことは得意なんだぁ。」
あぁ、愉しい…とこぼすルーインに対し、義人は動かない。いや、動けない。
誠「義人!」
声をかけるが全く動かず、目だけが何かを訴えかけている。
ルーイン「彼なら無駄だよ。僕が動かないはずの“モノ”にしてあげたから。さて…次は君の番かな?」
ルーインが使うのは、きっと何かを自分の思い通りに操る魔法。
だが、こんなに強力なものをパッと発動できるのはおかしい。
なんで?どういう条件で発動するの?
アニメや漫画だったら、目を合わせて何秒間とかあったはず。
とりあえず、あいつにとって大切なのは…目、かな?
わからない。直感でしかない。
死にたくない。ここまで見送ってくれた仲間たちに、はい死にましたは怒られる。
武器である農業用フォークを引っ掴むと、とりあえずがむしゃらに走り続ける。
ルーイン「へぇ、頑張るねぇ。」
やっぱり、目で追ってきている。
美莉愛がかけてくれた三日月の加護。あれの効力は約15日。
とりあえず飛び回って逃げてみる。
今は、あいつの攻撃の特性を──
台風がやってきたのかと勘違いするほどの大きな音がしたかと思うと、地面がせりがってくる。
どこへ移動しても、あいつはあたしを見続けている。
目を合わせてはいけない、気がする。
競り上がってきた地面に着地すると、また跳ねる。
攻撃の特性を…どこか…
ルーイン「はぁ、もう飽きちゃった。行かせてもらうね。」
いつの間に集めたのか、大量の石つぶてがこちらを向いている。
振り返るのも遅く、それがこちらに飛んできた。
すると、その瞬間。
壁の方から轟音がした。
驚いて攻撃を止めるルーインの隙をつき、複雑になった地形に隠れる。
壁の方を凝視すると、見知った人影が2人。
兎の耳に薄い蜂蜜のような色の髪。黄色の無邪気な目。
仮面で顔が見えないが、黒くて艶のある黒髪。赤い瞳で前を見据える毅然とした表情。
はられと美莉愛だ。