【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
義人「っはぁッ…っはぁッ…降ろすぞ…」
誠「あ…りがとう…」
なんかもう声を出すのもやっとだ。
先ほどのどさくさで麻痺していた目が痛み始め、あまりの痛みに死んでしまいたくなる。
義人「…できるかな…ヒーレイズワープ!」
誠「え?」
その様子を見ていた義人の指から優しい光が出たかと思うと、バチっと片目に衝撃が走る。
この呪文を、私は見たことがある。
目を開けると、痛みが半分になっていた。
誠「義人…!目!目!」
義人を見ると、片目から血の涙を流していた。
義人「…い…っつ……あちゃ〜…流石に怪我が重すぎたか…でも大丈夫。」
誠「だいじょばないよね!?早く!痛みあたしに戻して!!!!!」
義人「戻す呪文しらねぇんだよ…我慢しな…」
確かに、戻す呪文は見たことがない。
誠「……なんで、みんなそこまで…」
義人「…もう何も、失いたくないんだよ。色々やってたら、みんな大事なものになっちゃってさ。だから、無くさないように助ける。それだけ。」
痛みのせいか、いつもより口調に愛想がない。
でも本物の義人を見せてくれたみたいで、悲しみの半面嬉しさもあった。
誠「あたし、そんな御大層な人間じゃ──」
義人「僕さ、親が死ぬ前の記憶がないんだ。」
あたしの言葉を遮って、そのまま続ける。
仕方ないので口を閉じて、義人の話を聞くことにした。
義人「…でも、『親が死ぬまでの記憶がない』だけじゃ矛盾するところが、自分の中で多いんだよね。…なんというか、この無くなった記憶って、フェイクな気がする。」
誠「フェイク?それってどういう──」
地面を、車輪が突き立てる音がする。
壁が、迫ってきた。
まるで、口封じをするみたいに。
義人「突っ立ってないで逃げるぞ!!!!!」
誠「う、うん!」
ガラガラ迫ってくる壁を潜り抜け、近くの扉に飛び込んだ。
大きな音を立てて扉が閉まると、床に叩きつけられる。
そこは、小白やエフェの部屋のように改造されているわけじゃない、神殿の壁だった。
『タブーに触れたね。俺がここに来てから、そんな人を見たのは初めて。』
奥に、獣の耳と尻尾を生やした、ひ弱そうな獣人がいた。