【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
コピー機が唸る音を大きくしたような音が聞こえると、地面がどす黒い風のような物で覆われていく。
これは、私にも当たる。
だが、もう避ける気力もない。
なんかもう、生きるの嫌になってきたな。
痛いし、怖いし。
逃げたかったし、ちょうどいいや。
ふわりと体が浮くこの感覚に、見覚えがあった。
照や、凪に持ち上げられた時のあの感覚。
誠「…よ…しとは?」
凪「…優しいんだね、君は。大丈夫だよ、彼ならバリアを施した。照くんのに比べれば弱いけど、自分の攻撃に耐えられないほど脆くないよ。」
凪の顔は、見えなかった。
声だけというのが、少し怖い。
義人「まこちゃん!!!!!凪くん!!!!」
義人は、壁にある障子に隠れていた。
あたしを見た瞬間、彼の顔が真っ青になった。
凪「僕があいつにとどめを刺す。だから…2人はあそこの扉から逃げて!!!!!」
義人「お…おいおい、お前までいなくなっちまったら…」
凪「じゃあ、ここで犬死にする?」
そう凪がいうと、義人は黙ってしまった。
けれど、それは気まずさの沈黙ではなく、腹を括った時の沈黙だった。
凪「2人には、僕の能力の半分くらいを分けた。これで、最後の試練を突破してほしい。」
誠「…凪?死ぬ気じゃないよね…?」
凪「……さあね。」
そう言って、凪は下のどす黒い竜巻に固定されている小白を見た。
彼女は、ここから抜け出そうと四苦八苦している。
遠くすぎて音が聞こえない。戦いの大きな音に耳が慣れてしまったせいもあるだろう。
それと、視力を失った右目も。
まだ血が止まらない。
義人が、自分のパーカーを裂いてあたしの目に巻いてくれた。
抑えれば、止まるかな。
義人「…っし、後は頼んだぜ。」
誠「…凪、頼むよ。」
凪「任せといて。あ、あと一つ…」
気まずそうに目を泳がせたあと、あたしの耳元に口を近づけた。
耳に入ってきた衝撃の一言に、挙動がぴたりと止まる。
今なら、目の激痛も忘れてしまいそうな勢いだ。
誠「…ゑ」
凪「そっ…それじゃっ!また、ね!」
義人「え、あ、おい!!!!!絶対倒せよ〜!!!!!」
敵の元へまっしぐらに向かってしまった凪は、ボロボロだった。
中でも、あたしが好きだった白い絹のような髪の毛は、攻撃の影響で半端に切られている。
義人「いくぞっ!立てるか?」
誠「無理…動けない…」
義人「…仕方ねぇ、おぶっていくから背中乗れ!!!!!」
半ば強引に背中に乗せられると、扉に向かってまっしぐらに走った。
凪の術は解除されているので床を走っても大丈夫だ。
小白「逃げてもらっちゃ困るんだよ!!!!!」
小白の攻撃がこちらに飛んでくる。
もうダメだと思ったが、反射的に伸ばした手からバリアが生じていた。
バリアが壊れたが、その代わり攻撃が反射する。
小白が驚きの表情を見せた。
凪「エターナルクラウディ」
義人が扉を開けて、廊下に飛び込む。
扉が勢いで閉まると、地面が揺れた。
小白の叫び声が、聞こえた気がした。
[水平線]
[明朝体][漢字]八雲 七凪[/漢字][ふりがな]やくも なぎ[/ふりがな]
男性
当時9歳 C私立 三咲小学校 3年生
2020年 8月 6日失踪[/明朝体]