【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
*誠side
起きると、義人と凪は爆睡していた。
黒鵜直伝の全力デコピンで2人を起こすと、扉に足を進める。
誠「次の敵、なんなんだろうね」
義人「…てか、3人で勝てるのか?」
凪「僕を舐めてもらっちゃ困るんだけど…」
たわいも無い話をしながら、扉に手をかける。
皆、硬い表情をしているのは、別れが近づいていると直感的に察しているからだ。
全体重をかけて扉を押すと、今回の扉は案外すんなり開いた。
中は、忍者のカラクリ屋敷のようになっていた。
格子でできた扉や、紅い土壁、空中に浮く歯車が、ここが浮世離れした場所だと知らせてくれていた。
ふと、真ん中に人が立っていた。
いや、これは人ではない。
──鬼だ。
『お嬢さん方、やぁっと来たのかい?遅すぎるね、おかげでこぉんなに大きな戦場を作っちまった。』
こちらを振り向かずに語る背中は、子供のように華奢だった。
だが、これだけはわかる。
こいつ、今まで会ってきた奴らの中で最強だ。
『おぉっと、自己紹介が遅れたね。あたしゃ、[漢字]小白[/漢字][ふりがな]こはく[/ふりがな]ってんだ。』
やっと振り向いた彼女の顔は、黒いおかっぱ頭とは対照的に透き通るように真っ白だった。
名前の通りの琥珀色の瞳が、獲物を見つけた猛獣のようにギラギラ光っている。
誠「あたしは、誠。記憶を取り戻しにきたの!!!!そこの扉の先が、最後でしょう?」
小白「あぁ、そうだとも。でもねぇ…あたしを退屈させたお詫びは、貰わないとなぁ…」
その瞬間、彼女の鋭い指先が、こちらに向かってきた。
凪『危ない!!!!!!!』
後ろから声が聞こえると、頬の辺りに小さなバリアができる。
義人「くっそ、仕方ねぇ…」
義人は上に飛び上がり、山刀を構える。
小白「遅い」
ひらりとかわされ、山刀が地面に突き刺さった。
あたしも…!
そう思い、フォーク片手に敵陣に突っ込んだ。
相手に向かってがむしゃらにそれを動かすが、全て避けられる。
凪『フェイリルスレンダー!』
凪の手元に黒い物体が集まり、針状になったそれを一気に放出する。
一方、彼女は足を信じられない高さに上げ、全ての針を弾き返した。
針は消滅したが、彼女の強さと体の柔軟性が化け物だということがわかった。
義人「まこちゃん、2人で同時に突っ込むよ!」
誠「わかった。死ぬ時は一緒だよ!」
そう言葉を交わして駆け出すと、彼女は左腕を振るっただけで自分たちを押し返した。
空気が、揺れ動く。
ドォォォンと、ものすごい音がしたかと思うと、自分の背中が壁に激突した。
ズキズキと、今まで感じたことのないような痛みが背中に走る。
頭をぶつけなかっただけよかった。
このスピードで頭をぶつけたら、流石に死ぬ。
誠「…っ…義人っ!」
義人「ったぁ…でも、気がついたことがある。」
小白は、凪の連続攻撃をほとんど弾き返している。
少しずつ、漏れた攻撃が彼女に当たるようになった。
麻痺しかけている背中を支えながら、穴の空いた壁から転落する。
そこまで高い位置ではなかったので、落下の時のダメージはほぼゼロだ。
義人「小白は、キヲクの欠片を持っている。」
誠「うっそぉ!…ってことは…」
義人「エフェと同じ、亡くなった冒険者だ。多分、他の敵もそう。」
凪『マーシャルブレイド!!!!!!!』
凪の叫びに近い呪文が聞こえると、黒いエネルギーが凪の手に集まる。
それを小白に向かって放つと、弾き返そうと拳を構えた。
彼女の武器は頑丈な体と拳。武道家だ。
小白の拳スレスレに攻撃が近づいたことで、彼女は目を見開き、後ろに避けた。
あれは、きっと当たってはいけない。