【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
『全員が戦闘モードになっちまったか〜オレあんま争い事好きじゃないんだけど…』
灯火「はっ!」
能天気に言うコウモリに灯火が思いっきり刀を振り下ろす。
だがその攻撃は、爪を割っただけだった。
『おぉ…オレの爪割ったやつ久しぶりだな〜、オレも本気出すか〜』
巨大なコウモリの姿から、真っ黒のツノと羽の生えた───そう、悪魔のような容姿の人型のものに変わった。
大きいと吹き飛ばされて近づけないから個人的にはこっちの方が戦いやすい。
凪「気をつけて!小さくなったけどかなり強い!」
はられ「攻撃がきます!ラビットシールド!」
いつの間にか私の隣に現れていたはられは、薄桃色の三日月のようなバリアを張る。
すぐ死ぬ人間への配慮だろう。
誠「待って!義人は⁉︎」
はられ「美莉愛が守りに行っています。ああ見えて私より強い人なので大丈夫です。」
誠「そ、そう…」
『ブレイクバード!』
そう聞こえた瞬間に、鋭利な羽毛がはられのバリアに突き刺さる。
凪は上空で照のバリアに隠れている。
やはり天使の血が入っている照の方がバリアの力が強いんだろうか。
黒鵜は構わずレーザー攻撃を続けている。やっぱ人外でしょ。
灯火は上の方の建物の影に隠れていて、飛んできた攻撃を全部斬るという人外行動をしていた。
やがて攻撃が止むと、義人が美莉愛に連れられて飛び出してきた。
はられ「美莉愛!全員に満月の加護を授けましたか?」
美莉愛「はい!あとは誠ちゃんだけです!」
義人「まこちゃん大丈夫か?ごめんな、僕が飛び出したばっかりに…」
誠「いや、大丈夫!でも…このままじゃ一向に進めない…」
美莉愛「ほら誠ちゃん!ちょっとこっち見て!」
肩に手を置かれ何やら別の言語の呪文を唱え始める。
聞いたことのない響きだ。月語なんだろうか。
美莉愛『ムーンフォレスト!』
高らかに呪文を唱え終えると、あたしの体に金色の光が集まり、胸の前で弾けた。
はられ「これでジャンプ力が高くなります!いきましょう!」
義人「よし…」
灯火「このままじゃ一向に進みません、私が残りますので皆さんは先へ。」
いつの間にか近くに来ていた灯火にそのことを告げられ、全員が目を見開いた。
灯火「もう照と凪と黒鵜さんには私の作戦を伝えています。」
上を見ると照と凪が動いて囮になり、黒鵜が攻撃を続けている。
誠「でも…そんなの死亡フラグじゃん!死んじゃうよ?」
灯火「死にませんよ。ただ、私の技のほとんどが仲間を巻き添えにするものなのです。“鬼”ですから。」
微笑した灯火は何よりも美しかった。
義人「…そうか、わかった。」
今なら扉の前に陣取っていたコウモリも隅っこの方へ移動している。
やれる。
誠「わかった。でも、絶対死なないでね?死んだら殺すよ?」
灯火「ふふ、それは怖いですね。では、約束です。」
灯火はあたしと小指を絡めると、すぐにコウモリの方へ壁を伝って行ってしまった。
照と凪はこちらに戻ってきて、黒鵜は攻撃をしつつ集合した。
凪「誠くん、大丈夫だよ!灯火は死ぬほど強いから!」
黒鵜「とりあえず今は急ぎましょう。」
全員で扉を開くと、コウモリの相手をしている灯火を一目見て、扉の先に進んだ。
灯火は、重い刀を手に踊っているようだった。
[水平線]
[明朝体][漢字]平坂 桃花[/漢字][ふりがな]ひらさか とうか[/ふりがな]
女性
当時 9歳 C市立 三咲小学校 3年生
2019年 8月 6日失踪[/明朝体]