【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
*誠side
神殿に入ると廊下が続いていて、その先には大きな分厚い扉があった。
外観を見て思ったのだが、塵一つ付いていなくて新築のままだ。
義人に聞いたが、10年前と何も変わっていないという。
灯火「この扉開けたら絶対試練ですよね」
照「……世界一開けたくない扉ですね…」
誠「でも開けるしかないよね…」
大きく息を吐いて、扉に手をかける。
力を入れてみたが、あたし1人の力では微動だにしない。
全体重をかけてみたが、本当に動かない。
誠「何この扉…重すぎて動かんのだが…」
黒鵜「じゃあ全員で押しましょう。」
8人がかりで押すと、やっと扉が開いた。
扉の先にいたのは、巨大コウモリに人間の顔がくっついている化け物だった。
『おぉ…10年ぶりだな!』
その体でにこやかなのはかなり怖い。せめてゲス顔にしてくれ。
灯火「記憶を取り戻しにきたのですが…扉を知りませんか…?」
『あ、お前10年前の小僧じゃねぇか!まだ生きてたのか!しぶてぇやつだな…』
灯火の言葉を無視して続けるコウモリは、義人に絡み始めた。
『前はこぉんなに小さかったんだけどなぁ!図体だけ立派になりやがって!』
コウモリは自分の膝あたりを指差し、次に誠に目を向けた。
『ちょうどお前くらいだな!あぁ、お前の方が立派か。だってこいつ──』
義人「…もうやめろ」
『人殺しだしな!』
静止の言葉も聞かず話し続けたコウモリに、義人が怒りの奇襲をかける。
義人[太字][大文字]『黙れ!!!!!!』[/大文字][/太字]
腰にゆわえていた山刀を取り出し、コウモリの心臓あたりに突き立てる。
『いやぁ…弱いなぁ…いくら図体がデカくたって変わらねぇってことか…』
あまりの迫力に、足が地面にくっついてしまったように動かない。
灯火が刀を構え、向こうのほうへ跳んだと同時に照と凪も羽を開いてコウモリの方へ向かう。
はられと美莉愛は姿を一瞬で消し、あたし1人になった。
義人にもらった農業用フォークを握りしめ、無理矢理足を動かす。
足はそこまで早い方じゃないし、力もある方じゃない。
体育の成績も良くはない。それ以外の成績も赤点ギリギリ。
それでも、やらなきゃいけない。
成績が悪かろうが、運動音痴だろうが、できることはあるはずだ。
その思いを胸に、コウモリにフォークの刃先を向け、走り出した。