【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
灯火「近くで見ると…すごいですね…」
巨大な神殿は、かなりの年代物だった。
大理石の柱に半透明の宝石が埋め込まれている。赤みのある桃色から薄い緑色まで様々だ。
柱の上に力強く乗っている大理石の屋根には、記憶にまつわる神々が精巧に彫られていた。
もう一種の芸術品のようだ、と誠は思った。
はられ「照、大丈夫ですか…?」
照「…あっ、えっと、す、すみません!」
相変わらず魂が抜けたように遠くを見ている照は、はられに声をかけられて卒倒しそうになっている。
『ゑ』
その様子を見て、全員の声が重なる。
いや、精密には黒鵜抜きだ。
[小文字]「え、そういうこと?」
「あたしも今知ったんだってば…」
「え、本当に?」
「はられ様は渡しませんから…」[/小文字]
黒鵜「皆さん、こそこそ何をしているのですか?」
灯火「黒鵜さん…気がつかなかったんですか?」
黒鵜「なんのことかわかりません。」
はられ「皆さん何をなさっているのですか?」
義人「あぁ、いや、なんでもないよ!あれだ、緊張するな〜って話をしてたんだ。」
はられ「確かに…緊張しますね」
微笑を浮かべるはられに、美莉愛が吸い寄せられるようにくっつく。
そして照に向かって猛烈な圧を送っていた。
照「ひっ…」
凪「なんでそんな険悪なムードに…」
義人「気が進まないだろうけど、とりあえず神殿に入ろう。話はそれからだ。」
引き攣った声で神殿を指差す義人に続いて、黒鵜が抑揚のない声で言う。
黒鵜「記憶が気にならないのですか?」
灯火「そりゃ気になりますよ…」
美莉愛「そうだね!いきますよはられ様!」
はられ「ちょっと美莉愛、早い…」
凪「照くんも行くよ。」
照「は、はい!」
義人「気合い入れるために音頭取ってくれない?まこちゃんやってよ。」
いきなりの無茶振りに驚きつつも、誠は声を張り上げる。
誠「無くした記憶に、決着をつけよう!お〜!」
『お〜っ!!!!!』
小さな聖なる島に、強い声が響き渡った───。