【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
「ま、試練というのは簡単にいうと、敵と戦います。武器は持ち込み可能です。拳で行っても構いません。」
黒鵜「まぁ、丸腰の人も多いですしね。」
「そういうことです。試練というのは5個ありまして、強さはバラバラです。別に全員で戦わなければいけないというルールは[小文字][小文字]多分[/小文字][/小文字]ないので、よくある『お前らは先に行け!ここは俺が食い止める!』ってのもOKです!」
灯火「え、今多分って言いました??」
「言ってませんよ〜」
完璧な笑顔で圧をかけてくるガイドの迫力に気圧され、全員が開きかけた口を閉じる。
「ところで、皆様は記憶を取り戻しにこられたのですよね?」
美莉愛「そう!それでここまではるばる旅してきたってこと!美莉愛、月から来たんだから!」
はられ「美莉愛、話を盛らないでください。あなたが月から来たのはだいぶ前でしょう?」
美莉愛「はられ様…でも5年しか経ってませんよ…?」
はられ「だめだ…1000年生きてる人とは時間感覚が合わない…」
照はこめかみに指を当てるはられを眺めながら、いつもにも増してぼんやりしている。
凪「照くん、どうしたの?怖い?」
照「…あ、すみません。なんでもないです。」
そう言いつつ、またぼんやりと景色を眺めていた。
誠「照本当に大丈夫?船酔い?飴いる?」
どこから出したのかわからない飴を照の視界にちらつかせている誠も、黄色の瞳に不安の色をよぎらせていた。
記憶を取り戻したらみんなとはもう会えなくなるかもしれない。
そんな不安が、船内に渦巻いている。
「…皆さんは、本当に仲がよろしいのですね。」
不意に、ガイドの少年が寂しげな表情で呟いた。
義人「お前は、友達とか、いないのか?」
「…僕は、仲間を裏切りました。自分の欲望と、目的のために。」
仲間、と言った瞬間、彼の声が少し硬くなった。
アッシュゴールドのクセのある髪の毛から、光の消えた瞳がのぞいている。
「だから、ここで罪の償いをしています。仲がよろしいというのは、とても素晴らしく、楽しいことだと僕は思います。」
自虐するように笑った少年の姿は、立派な大人でも未熟な子供でもなくて、長い間苦しみ続けた罪人の顔だった。
気まずい沈黙の中、ゆっくりと進んでいた船が港に停まった。
島には、ギリシャ神話に出てくるような大きな神殿が佇んでいる。
「あそこが決戦の地になります。」
彼はその神殿を指差し、お手本を貼り付けたような笑顔で微笑むと、続きを冷たく言い放った。
「あの神殿が墓場になるかはあなた方次第。それでは、行ってらっしゃいませ。」
深くお辞儀をした少年にお礼を言い、誠たちは神殿に足を進めていった───。