【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
しばらく歩くと港が見えてきた。
港といっても、船がついているだけでその船さえも浮くか怪しいレベルだ。
誠「これ本当に大丈夫?」
義人「大丈夫…多分。前は浮いたし…」
はられ「…前っていつですか…」
黒鵜「約10年前だと思います」
呆れたようにこめかみを抑えるはられに、涼しい顔で正論を突きつける黒鵜。
義人「船…作るか」
「その必要はないですよ、自分がいるんで」
[大文字][太字]『⁉︎』[/太字][/大文字]
驚く全員を無視して、突如現れた少年は話し出す。
「自分はこの先にある島、想起㠀への[漢字]案内人[/漢字][ふりがな]ガイド[/ふりがな]です。以後よろしくお願いします。」
こちらへニコリと笑う姿は、一見純粋に見える。
だが裏側に腹黒さを隠し持っているような、そんな表情だ。
「あなた方は…あぁ、キヲクの欠片をお持ちでしたか。それは失礼しました。」
矢継ぎ早に会話を進められ、頭がクラクラしてくる。
凪「ちょっと待って!まず、君の名前は?」
少年は少し躊躇うように瞳を揺らし、ぺこりと頭を下げた。
「申し訳ありません。諸事情により明かすことができないのです。ガイドとでもお呼びください。」
照「…あの…僕たちの名前は…」
「ええ、把握しております。」
ハーフパンツのポケットからメモ帳を取り出し、読み上げる。
「灯火様、照様、凪様、黒鵜様、はられ様、美莉愛様、義人様、誠様…呼ばれていない方はおられませんか?」
美莉愛「はいッ!!!」
「それでは向かいましょう。あの船は侵入者を防ぐための罠ですので、他の船で行きますよ」
灯火「他の船…?」
灯火の疑問に答えるようにポケットからミニチュアのボートを取り出し、水面に浮かべると乗れるサイズまで大きくなった。
「これにお乗りください。」
誠「え、あ、うん?」
言われるがままに乗ると、ガイドが飛び乗ってくる。
揺れると思いきや、そこまで揺れない。
一体ガイドの体重はどうなっているのだろうか。
「それでは出発いたします。揺れにご注意ください。」
ガコンッ、と音を立ててボートが動き出す。
「それでは、乗っている間試練の解説でもしましょうかね」
義人「お願いします…」