【参加終了】無くした記憶と宝探しの旅
義人side
旅に出てからもうすぐ一ヶ月になる。
月華國の中間地点である森の中。
灯火「ええと…クマですね、あれ。」
遠くの茂みから見える黒の巨体。
150cmはあるだろう。
黒鵜「倒します?」
おいおいちょっと待て。
義人「僕とまこちゃん死ぬよ?」
クマはこちらに気がついたようだ。
照「ひぇ…」
誠「イヤ、キミニキガイヲアタエヨウトシテイルワケジャナインダ。ナカヨクシヨウ!ウン!」
すごいカタコト…
美莉愛「はられ様達に近づかないでください!食べるなら私を!」
はられ「…クマ、こっち見てるだけですよ?」
灯火「じゃあ退散しましょうか、ゆっくり、背中をクマに見せないようにして。」
誠「わ、わかった…」
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凪side
誠「…ってこともあったよねぇ〜」
現在位置、鬼道國…の森の中。
もうすぐ目的の港に着く。
記憶を取り戻したら、ここでのことも忘れてしまうのかな。
灯火「怖いこと言わないでくださいよ…」
はられ「ここも森の中なんですから…」
みんな無理やり笑っているが、出発の時よりも活気がない。
義人「う…」
黒鵜「大丈夫ですか!?」
義人が急にしゃがみ込んだ。
義人「はぁッ…はぁッ…黒鵜…ごめんなさい、ごめんなさい…逃げてごめんなさい…」
頭を抱え、唸る。
照「よ、義人さん!ど、どうしたんですか!?」
凪「逃げる…黒鵜…謝罪……フラッシュバック?」
親友を目の前で亡くし、自分は逃げ帰った。
その因縁の場所に近づいてきたのだから無理もない。
凪「義人くん、落ち着いて。深呼吸、深呼吸。」
誠「凪、手伝えることない?」
凪「背中撫でてあげるくらいしかわかんない!」
義人「ごほッ…ん、うん…もう大丈夫、ありがとう。」
いつの間にか回復した義人。
灯火「大丈夫ですか?」
義人「大丈夫!…もっと辛い場所に行くんだから、こんぐらいでびびってらんないっつの!」
自分を勇気づけるように立ち上がり、先頭に立って歩き出す。
誠[小文字]「…また、何もできなかった。」[/小文字]
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