負け主人公の俺は勝つことが出来るのか⁉︎
まず最初に言っておこうか。
この物語には2人の主人公がいる。
1人は勝ち確主人公だ。
だがもう1人である負け主人公だ。
どれだけ頑張っても勝てない。あいつに負け続けるだけの負け主人公。
それが俺、ハウル・グリーディアだ。
第一話
俺はこの街を統べる王に仕える聖騎士団の一員だ。
だが俺は王に仕えるという素晴らしい目的のために聖騎士団に入ったわけではない。
俺はそこそこの給料に衣食住が約束されたからこの聖騎士団に入っただけだ。
俺は小さい頃からそこそこの頭の良さ、人より多少物事ができた。
そのおかげでくだらないプライドだけが育ってしまった。
だから、なんでも完璧にこなすあいつ。
この世界の主人公であろう、エルス・テリウスと出会ってしまったとき俺のくだらないプライドが完璧に崩れてしまった。俺のそこそこの才能についてきていた周りの奴らもあいつの下についた。そして夢も希望もない俺は不純な動機で聖騎士団に入り、そこそこの成績を出し、姫の護衛隊まで成り上がった。そんな中でまたあいつ、エリスとまた会うことになったのだった。
「あいつはすごいよな。聖騎士団に主席で入団、そこからたった1ヶ月で姫様の護衛隊の副隊長だってよ。」
「あぁ、すげぇよな。ほんとに、俺らじゃあいつの足下でさえ行けねぇよ。」
またあいつを褒める声が聞こえてくる。チッ、と小さな舌打ちを漏らしつつ、廊下を駆け足で移動する。今日は姫の護衛隊の一大任務の日だ。さっきからすれ違うやつらはみんな忙しそうにしている。という俺も急ぎではあるのだが、などと考えながら歩いているうちに前日に指定された集合場所に到着する。王の部屋だ。すこし固くなりながらノックをして「護衛隊ハウル・グリーディアです。」といい、無駄にデカくて重い扉を開けて部屋に入る。
「これで全員揃ったようだな。」
王の野太い声が部屋に響く。どうやらもう俺以外はそろっていたらしい。
「では、さっそくだが今日お前ら護衛隊に仕事を与える。こいつを、姫のことを守ることだ。」
王の隣に立っている華麗な少女、姫に目をやりながら王がいう。
「今回の王の生誕祭。このタイミングで姫を狙おうという集団は少なからずいるはずだ。そこでお前ら護衛隊の仕事よのぅ。ノジス分かっておるな」
護衛隊隊長ノジス・ラングレー。真面目で何よりもかなりの実力の持ち主だ。
「はっ。もちろんでございます。必ず我らの命に変えてでも姫様のお命はお守りいたします。」
「うむ、それでよい。では、頼むぞ」
「「はっ」」
全員で王に返事をし部屋を出る。部屋を出てすぐノジス隊長から
「エルス副隊長、君に姫の付き添いとして姫の横で護衛をしてもらいたい。残りの我らは見回りなどをする。どうかね?」
「やらせてください!」
意気揚々と返事をするエルスに心の中で舌打ちしながらも無言で聞き続ける。
「では、任せる。次にハウル。君には姫の演説の護衛としてステージの周り。それも一番近い場所の見回りを担当してもらいたいのだがどうかね。」
どうやら俺にもそこそこ重要な仕事が回ってきたらしい。面倒だと思いつつも
「お任せください。」
と返事をするノジス隊長は無言で頷き、他の隊員にも司令を出していく。
護衛隊の人数は僅か9名。少なすぎるため、一人一人の負担はかなり大きい。
「では皆、帯剣をして持ち場につけ。以上だ」
「「はっ」」
数分後
賑やかな声と音楽が響くなか、剣を取って位置についた俺の目にステージ横で待機している姫と付き添いであるエルスが楽しげに会話している様子が映る。またチッ、と舌打ちをしつつ見回りを続ける。しばらくして開会式、王の演説、その他諸々が終わり姫の演説が始まる。姫の演説が終盤に差し迫り、何も起こらなかったことに安堵したその時だった。
その身を黒い服でまとった男がステージに一瞬で上がる。まさに一瞬だった。やつが動いたと気づいたその時にはステージの上で姫の首に剣先を刺そうとしていた。観客から悲鳴が上がる中、ステージに一番近かった俺はステージに跳び上がり男の腕を切り落とす。ステージに跳び上がり腕を切り落としたその瞬間俺は自分の運命が変わったことを確信した。やっと負け主人公じゃなくなる。そう思った。エルスを完全に超えたと、そう思った。だが、現実は違ったようだ。
エルスは姫をすぐ後ろにいた自分の場所まで抱き寄せさらに姫の首に刺さる寸前の剣を自分の剣で防いでいた。さらにエルスの胸に抱かれた姫は涙を流し、エルスに抱きついていた。
観客から歓声がわく。周りから歓声が聞こえるなか生誕祭は途中で中止となった。
数日後
あの姫の襲撃事件はかなりのニュースになった。新聞にデカデカとのり、姫の護衛隊は名実ともに英雄視された。これは素直にかなり嬉しい話だ。俺は副隊長へと昇級した。ただ1つだけ文句があるとすればエルスを中心にだ。ただエルスは副隊長から姫直属騎士の称号を受け取った。その新聞を見て俺はただ一つこう感じた。俺は負け主人公なんだな、と。
この物語には2人の主人公がいる。
1人は勝ち確主人公だ。
だがもう1人である負け主人公だ。
どれだけ頑張っても勝てない。あいつに負け続けるだけの負け主人公。
それが俺、ハウル・グリーディアだ。
第一話
俺はこの街を統べる王に仕える聖騎士団の一員だ。
だが俺は王に仕えるという素晴らしい目的のために聖騎士団に入ったわけではない。
俺はそこそこの給料に衣食住が約束されたからこの聖騎士団に入っただけだ。
俺は小さい頃からそこそこの頭の良さ、人より多少物事ができた。
そのおかげでくだらないプライドだけが育ってしまった。
だから、なんでも完璧にこなすあいつ。
この世界の主人公であろう、エルス・テリウスと出会ってしまったとき俺のくだらないプライドが完璧に崩れてしまった。俺のそこそこの才能についてきていた周りの奴らもあいつの下についた。そして夢も希望もない俺は不純な動機で聖騎士団に入り、そこそこの成績を出し、姫の護衛隊まで成り上がった。そんな中でまたあいつ、エリスとまた会うことになったのだった。
「あいつはすごいよな。聖騎士団に主席で入団、そこからたった1ヶ月で姫様の護衛隊の副隊長だってよ。」
「あぁ、すげぇよな。ほんとに、俺らじゃあいつの足下でさえ行けねぇよ。」
またあいつを褒める声が聞こえてくる。チッ、と小さな舌打ちを漏らしつつ、廊下を駆け足で移動する。今日は姫の護衛隊の一大任務の日だ。さっきからすれ違うやつらはみんな忙しそうにしている。という俺も急ぎではあるのだが、などと考えながら歩いているうちに前日に指定された集合場所に到着する。王の部屋だ。すこし固くなりながらノックをして「護衛隊ハウル・グリーディアです。」といい、無駄にデカくて重い扉を開けて部屋に入る。
「これで全員揃ったようだな。」
王の野太い声が部屋に響く。どうやらもう俺以外はそろっていたらしい。
「では、さっそくだが今日お前ら護衛隊に仕事を与える。こいつを、姫のことを守ることだ。」
王の隣に立っている華麗な少女、姫に目をやりながら王がいう。
「今回の王の生誕祭。このタイミングで姫を狙おうという集団は少なからずいるはずだ。そこでお前ら護衛隊の仕事よのぅ。ノジス分かっておるな」
護衛隊隊長ノジス・ラングレー。真面目で何よりもかなりの実力の持ち主だ。
「はっ。もちろんでございます。必ず我らの命に変えてでも姫様のお命はお守りいたします。」
「うむ、それでよい。では、頼むぞ」
「「はっ」」
全員で王に返事をし部屋を出る。部屋を出てすぐノジス隊長から
「エルス副隊長、君に姫の付き添いとして姫の横で護衛をしてもらいたい。残りの我らは見回りなどをする。どうかね?」
「やらせてください!」
意気揚々と返事をするエルスに心の中で舌打ちしながらも無言で聞き続ける。
「では、任せる。次にハウル。君には姫の演説の護衛としてステージの周り。それも一番近い場所の見回りを担当してもらいたいのだがどうかね。」
どうやら俺にもそこそこ重要な仕事が回ってきたらしい。面倒だと思いつつも
「お任せください。」
と返事をするノジス隊長は無言で頷き、他の隊員にも司令を出していく。
護衛隊の人数は僅か9名。少なすぎるため、一人一人の負担はかなり大きい。
「では皆、帯剣をして持ち場につけ。以上だ」
「「はっ」」
数分後
賑やかな声と音楽が響くなか、剣を取って位置についた俺の目にステージ横で待機している姫と付き添いであるエルスが楽しげに会話している様子が映る。またチッ、と舌打ちをしつつ見回りを続ける。しばらくして開会式、王の演説、その他諸々が終わり姫の演説が始まる。姫の演説が終盤に差し迫り、何も起こらなかったことに安堵したその時だった。
その身を黒い服でまとった男がステージに一瞬で上がる。まさに一瞬だった。やつが動いたと気づいたその時にはステージの上で姫の首に剣先を刺そうとしていた。観客から悲鳴が上がる中、ステージに一番近かった俺はステージに跳び上がり男の腕を切り落とす。ステージに跳び上がり腕を切り落としたその瞬間俺は自分の運命が変わったことを確信した。やっと負け主人公じゃなくなる。そう思った。エルスを完全に超えたと、そう思った。だが、現実は違ったようだ。
エルスは姫をすぐ後ろにいた自分の場所まで抱き寄せさらに姫の首に刺さる寸前の剣を自分の剣で防いでいた。さらにエルスの胸に抱かれた姫は涙を流し、エルスに抱きついていた。
観客から歓声がわく。周りから歓声が聞こえるなか生誕祭は途中で中止となった。
数日後
あの姫の襲撃事件はかなりのニュースになった。新聞にデカデカとのり、姫の護衛隊は名実ともに英雄視された。これは素直にかなり嬉しい話だ。俺は副隊長へと昇級した。ただ1つだけ文句があるとすればエルスを中心にだ。ただエルスは副隊長から姫直属騎士の称号を受け取った。その新聞を見て俺はただ一つこう感じた。俺は負け主人公なんだな、と。
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