全国大会から数ヶ月が経ち、高校2年生の夏、優斗と美咲はそれぞれの目標に向かって努力を続けていた。優斗は県大会での勝利を目指し、早朝から練習に励んでいた。一方、美咲もその影響を受け、バドミントンの技術をさらに向上させようと、個人練習の時間を増やしていた。

そんな中、バドミントン部の顧問から、新たな試みが発表された。「夏休み中に、合宿を行います。全国大会での経験を生かし、さらなるレベルアップを目指しましょう。」という言葉に、部員たちは期待に胸を膨らませた。

美咲はこの合宿に特別な期待を抱いていた。優斗と一緒に過ごせる時間が増えること、そして、彼に自分の成長を見せられることにワクワクしていた。しかし、一方で彼女の心の片隅には、優斗との距離感への不安もあった。優斗が夢に邁進する姿を見ていると、自分が彼の存在にどれほどの影響を与えられるのか、ふと考えてしまうことがあった。

合宿の初日、二人はペアを組んで練習することになった。優斗は美咲に「これまでの成長を見せてくれ」と言った。美咲は緊張しながらも、彼の期待に応えようと全力を尽くした。

初めはぎこちなかったペアプレーも、徐々に息が合ってきた。美咲が安定したレシーブを行うと、優斗はそのシャトルを精確に打ち返す。二人の連携が深まるにつれて、彼女の自信も増していった。しかし同時に、美咲の中には焦りも芽生えた。「優斗にもっと認められたい。彼の期待を超えたい。」

合宿の終盤、優斗は美咲に言った。「お前、すごく成長したな。今回の合宿で俺も刺激を受けた。来月の大会、絶対にお前と一緒に勝ちたい。」その言葉が美咲の心に響いた。彼女は、優斗との絆が試合でのパフォーマンスをさらに引き上げる原動力になると感じた。

しかし、その後の練習中、優斗が痛めてしまった右ひじの怪我で、彼の出場が危うくなってしまった。整形外科での診断は、回復には数週間かかるということだった。このニュースを聞いた美咲は、自分の心の内を何とか優斗に伝えたかった。

「優斗、その大会、私が必ず勝つから。きっと、私があなたの夢も一緒に背負うから！」美咲の決意が込められた言葉に、優斗は驚いた表情を浮かべた。「美咲…お前がいてくれるなら、心強い。俺はお前を信じる。」

その瞬間、美咲の心に青い羽が再び舞った。彼女は優斗の思いを受け止め、自分自身を奮い立たせることにした。試合の日が近づくにつれ、彼女は全力で練習を重ね、仲間たちと共に戦うことに決めた。

そして、いよいよ大会当日。美咲は緊張しながらも、心の中に優斗の存在を感じていた。彼に「私が頑張ることで、あなたの夢をちゃんと受け継ぎたい」と伝えたことが、彼女をいつも支えてくれた。

試合が始まり、美咲は持てる力をすべて出し尽くす。優斗の言葉を思い出しながら、一点一点に集中して戦った。観客席の端で、優斗は美咲のプレーを見守りながら、彼女の成長にだけでなく、自分の心の中の変化に気づいていた。

「彼女は俺が思う以上に強い。これからも、一緒に夢を追いかけたい。」優斗の心に新たな決意が芽生え、二人は再び青い羽を広げて、未来を共に目指すことを誓った。