【参加終了】転生水
日が暮れて、静かになった。
もう、虫達も鳴いていない。
聞こえるのは、ため息と汗が滴る音だけ。
義人「っぬ・・・死ぬっ・・・」
糸井「何周っ・・・走った?」
斎「まあ、森を200周?」
真霊「あんたらはねっ・・・!」
女子達が地面に倒れている。
真霊「私達はっ、150なのよ・・・」
茜「私、100周行ったかなっ・・・ハァ」
理沙「・・・・昇天。」
義人「ま、頑張った方じゃないか?」
真霊「なんで・・息整ってるの?」
斎「僕らはまあ、ね?」
糸井「体力があるからな!」
茜「流石・・・糸井君・・・」
理沙「いや尊敬じゃなくて軽蔑でしょ!?」
真霊「学生時代、運動部だったの・・・?」
義人「いや、吹奏楽部と軽音学部。」
糸井「まあ、囲碁将棋部?」
斎「帰宅部って言い方かな。」
真霊「まさか?筋トレ?」
義人「なんだ、勘はいい方じゃないか。」
真霊「やっぱり・・・」
茜「基礎代謝が全然違います・・・」
斎「さ、夕飯の準備だね。」
理沙「お願いしますっ・・・」
義人「しゃーない、作るか!」
そうして、男3人組が家に戻って行った。
真霊「あらま、美味しそう!」
白雪のように輝く、シチュー。
義人の得意料理でもある。
斎「匂いが美味しいね。」
糸井「その通り。よだれが止まらねえぜ。」
理沙「では、手を合わせて・・・」
全員が手を合わせる。
全員「「「いただきます!!」」」
スプーンで掬い、口に運ぶ。
糸井「・・・いや美味すぎな?」
茜「一周回って驚きませんね。」
理沙「こんなに美味しいの、初めて!」
義人「気に入ってくれて良かったよ。」
斎「おふくろの味的なもの?」
義人「いや、実は友達のおふくろだ。」
真霊「友達?」
義人「ああ。[太字][大文字]快斗[/大文字][/太字]っていう友達なんだが、」
糸井「なんだが?」
義人「中学に上がると同時に、引越してな。」
茜「それは、可哀想ですね。」
義人「[太字][大文字]隠し味が醤油[/大文字][/太字]なの、分かったか?」
理沙「醤油!?」
真霊「コクが違うのはそう言う事なのね・・・」
義人「中学に上がって、海外に行ったのさ。」
糸井「海外!?そりゃ大変だな。」
義人「一切連絡も取ってないからね・・・」
理沙「それは、さぞ会いたいでしょうね・・・」
義人「ああ、会いたいよ・・・」
卒業式。涙を流した自分。
引っ越しをすると嘆く快斗。
驚きを隠せない愛菜。
とっさに告白もしてたっけ。
しかも、そこでオッケーしてたな。
俺だって愛菜が好きだったのに。
夏蓮は、どんな反応をしてたんだろう。
LINEでは、びっくりしてただけだったけど、
もしかしたら、画面の向こうでは・・・
いや、考えるのは辞めよう。
あいつは今イギリスにいるんだ。
幸せに、やってるはずだ。
手には木製のおぼんがある。
乗っているのは、シチューとパン。
これは、夏蓮の今日の夜ご飯だ。
夏蓮を連れ去ってから、パン以外食べさせてなかったから、
シチューなんか見たら、泣いちゃうかな。
夏蓮「・・・ああ、また来たん?」
桐生「今日はシチューもあるよ。」
おぼんを足下に置く。
夏蓮「うち、縄解けたら逃げるで?」
桐生「大丈夫。」
夏蓮の足首に、鎖を付ける。
桐生「これで、部屋から出られないね。」
夏蓮「じゃあ、能力使ってでも・・・」
桐生「気づいた?」
夏蓮「エネルギーが・・・無い?」
桐生「その手縄と鎖は、僕のエネルギーを纏ってる。」
夏蓮「まさか、うちのエネルギーを・・・」
桐生「だから、能力は使えないよ。」
夏蓮が下を向く。
夏蓮「流石やな・・・[太字][大文字]桐生快斗[/大文字][/太字]。」
桐生「!?」
夏蓮「あれ?本名は久しぶりなん?」
桐生「何で・・・名前を・・・!」
夏蓮「うち、思い出してん。」
桐生に近付く。
夏蓮「中学で、あんたは海外に引っ越した。」
桐生「!!」
夏蓮「そして、そこで起こった連続殺人事件・・・」
桐生「なっ!?」
夏蓮「女性ばっか襲って、英国史上最悪の殺人事件・・・」
桐生「・・・・」
夏蓮「[太字][大文字]シャーウッドメン殺人事件[/大文字][/太字]、犯人[太字][大文字][漢字]小滝[/漢字][ふりがな]おたき[/ふりがな][/大文字][/太字]!!」
「ローマ字表記にして並び替えれば・・・」
桐生「・・・OTAKI→KAITOってことだね。」
夏蓮「やっぱり、快斗やったんか・・・!」
桐生の服の襟鷲掴みにする。
夏蓮「幼馴染やから、ちゃうと思っとった・・・」
桐生「・・・僕は、母が死んでおかしくなったんだ。」
夏蓮「言い訳せんといてっ!!」
右頬にビンタをする。
夏蓮「人殺しの言い訳なんて・・・!」
桐生「そうだ、僕は人殺しだ。」
真っ直ぐな目で、夏蓮を見る。
夏蓮「この事実、知ってるのはうちだけ?」
桐生「黄白ちゃんも知ってたね。」
夏蓮「黄白・・・黄白は?」
桐生「・・・・」
夏蓮を突き放し、扉へ向かう。
桐生「会いたいなら、そこにあるナイフで首を刺せば良い。」
ナイフを指差す。
桐生「ま、黄白ちゃんが天国に行ってるか知らないけど。」
夏蓮「っ・・・!!」
冷酷な視線を夏蓮に向け、部屋を出て行った。
一階に降りて、玄関を扉を開ける。
そこでは、愛菜が渾身の一撃の練習をしていた。
桐生「体力が持たないぞ。」
愛菜「!!」
桐生に気付く。
愛菜「・・・でも、体力がないと使えないので。」
桐生「・・・分かった。」
扉を閉める。
桐生「あ、あとどれぐらい?」
愛菜「出来れば、1時間ほど・・・」
桐生「了解。風呂入れとくね。」
そう言って、扉を閉めた。
シチューを口に運ぶ。
悔しいが、快斗のシチューは美味しい。
涙が出そうなほど、味が好きや。
こんな所、居たくないし、
腐りは繋がっとるけど、エネルギーはちょっとある。
ミリ単位でも、使えるものは使おう。
夏蓮「脱出・・・しかないやん。」
もう、虫達も鳴いていない。
聞こえるのは、ため息と汗が滴る音だけ。
義人「っぬ・・・死ぬっ・・・」
糸井「何周っ・・・走った?」
斎「まあ、森を200周?」
真霊「あんたらはねっ・・・!」
女子達が地面に倒れている。
真霊「私達はっ、150なのよ・・・」
茜「私、100周行ったかなっ・・・ハァ」
理沙「・・・・昇天。」
義人「ま、頑張った方じゃないか?」
真霊「なんで・・息整ってるの?」
斎「僕らはまあ、ね?」
糸井「体力があるからな!」
茜「流石・・・糸井君・・・」
理沙「いや尊敬じゃなくて軽蔑でしょ!?」
真霊「学生時代、運動部だったの・・・?」
義人「いや、吹奏楽部と軽音学部。」
糸井「まあ、囲碁将棋部?」
斎「帰宅部って言い方かな。」
真霊「まさか?筋トレ?」
義人「なんだ、勘はいい方じゃないか。」
真霊「やっぱり・・・」
茜「基礎代謝が全然違います・・・」
斎「さ、夕飯の準備だね。」
理沙「お願いしますっ・・・」
義人「しゃーない、作るか!」
そうして、男3人組が家に戻って行った。
真霊「あらま、美味しそう!」
白雪のように輝く、シチュー。
義人の得意料理でもある。
斎「匂いが美味しいね。」
糸井「その通り。よだれが止まらねえぜ。」
理沙「では、手を合わせて・・・」
全員が手を合わせる。
全員「「「いただきます!!」」」
スプーンで掬い、口に運ぶ。
糸井「・・・いや美味すぎな?」
茜「一周回って驚きませんね。」
理沙「こんなに美味しいの、初めて!」
義人「気に入ってくれて良かったよ。」
斎「おふくろの味的なもの?」
義人「いや、実は友達のおふくろだ。」
真霊「友達?」
義人「ああ。[太字][大文字]快斗[/大文字][/太字]っていう友達なんだが、」
糸井「なんだが?」
義人「中学に上がると同時に、引越してな。」
茜「それは、可哀想ですね。」
義人「[太字][大文字]隠し味が醤油[/大文字][/太字]なの、分かったか?」
理沙「醤油!?」
真霊「コクが違うのはそう言う事なのね・・・」
義人「中学に上がって、海外に行ったのさ。」
糸井「海外!?そりゃ大変だな。」
義人「一切連絡も取ってないからね・・・」
理沙「それは、さぞ会いたいでしょうね・・・」
義人「ああ、会いたいよ・・・」
卒業式。涙を流した自分。
引っ越しをすると嘆く快斗。
驚きを隠せない愛菜。
とっさに告白もしてたっけ。
しかも、そこでオッケーしてたな。
俺だって愛菜が好きだったのに。
夏蓮は、どんな反応をしてたんだろう。
LINEでは、びっくりしてただけだったけど、
もしかしたら、画面の向こうでは・・・
いや、考えるのは辞めよう。
あいつは今イギリスにいるんだ。
幸せに、やってるはずだ。
手には木製のおぼんがある。
乗っているのは、シチューとパン。
これは、夏蓮の今日の夜ご飯だ。
夏蓮を連れ去ってから、パン以外食べさせてなかったから、
シチューなんか見たら、泣いちゃうかな。
夏蓮「・・・ああ、また来たん?」
桐生「今日はシチューもあるよ。」
おぼんを足下に置く。
夏蓮「うち、縄解けたら逃げるで?」
桐生「大丈夫。」
夏蓮の足首に、鎖を付ける。
桐生「これで、部屋から出られないね。」
夏蓮「じゃあ、能力使ってでも・・・」
桐生「気づいた?」
夏蓮「エネルギーが・・・無い?」
桐生「その手縄と鎖は、僕のエネルギーを纏ってる。」
夏蓮「まさか、うちのエネルギーを・・・」
桐生「だから、能力は使えないよ。」
夏蓮が下を向く。
夏蓮「流石やな・・・[太字][大文字]桐生快斗[/大文字][/太字]。」
桐生「!?」
夏蓮「あれ?本名は久しぶりなん?」
桐生「何で・・・名前を・・・!」
夏蓮「うち、思い出してん。」
桐生に近付く。
夏蓮「中学で、あんたは海外に引っ越した。」
桐生「!!」
夏蓮「そして、そこで起こった連続殺人事件・・・」
桐生「なっ!?」
夏蓮「女性ばっか襲って、英国史上最悪の殺人事件・・・」
桐生「・・・・」
夏蓮「[太字][大文字]シャーウッドメン殺人事件[/大文字][/太字]、犯人[太字][大文字][漢字]小滝[/漢字][ふりがな]おたき[/ふりがな][/大文字][/太字]!!」
「ローマ字表記にして並び替えれば・・・」
桐生「・・・OTAKI→KAITOってことだね。」
夏蓮「やっぱり、快斗やったんか・・・!」
桐生の服の襟鷲掴みにする。
夏蓮「幼馴染やから、ちゃうと思っとった・・・」
桐生「・・・僕は、母が死んでおかしくなったんだ。」
夏蓮「言い訳せんといてっ!!」
右頬にビンタをする。
夏蓮「人殺しの言い訳なんて・・・!」
桐生「そうだ、僕は人殺しだ。」
真っ直ぐな目で、夏蓮を見る。
夏蓮「この事実、知ってるのはうちだけ?」
桐生「黄白ちゃんも知ってたね。」
夏蓮「黄白・・・黄白は?」
桐生「・・・・」
夏蓮を突き放し、扉へ向かう。
桐生「会いたいなら、そこにあるナイフで首を刺せば良い。」
ナイフを指差す。
桐生「ま、黄白ちゃんが天国に行ってるか知らないけど。」
夏蓮「っ・・・!!」
冷酷な視線を夏蓮に向け、部屋を出て行った。
一階に降りて、玄関を扉を開ける。
そこでは、愛菜が渾身の一撃の練習をしていた。
桐生「体力が持たないぞ。」
愛菜「!!」
桐生に気付く。
愛菜「・・・でも、体力がないと使えないので。」
桐生「・・・分かった。」
扉を閉める。
桐生「あ、あとどれぐらい?」
愛菜「出来れば、1時間ほど・・・」
桐生「了解。風呂入れとくね。」
そう言って、扉を閉めた。
シチューを口に運ぶ。
悔しいが、快斗のシチューは美味しい。
涙が出そうなほど、味が好きや。
こんな所、居たくないし、
腐りは繋がっとるけど、エネルギーはちょっとある。
ミリ単位でも、使えるものは使おう。
夏蓮「脱出・・・しかないやん。」