迷ヰ犬の僕達は
敦〔正直驚いた、切符の買い方
改札の通り方、ホームの場所〕
敦〔本当に何も分かんないとは…
…異能力を使わないと
この人何にもできないんだな〕
ちゃっかり失礼な敦
敦〔…あれ?乱歩さんには
●●さんって助手が
居るのに、なんで僕が…〕
敦「●●さん」
●●『ん?どーした敦』
また幼い子供のように目を
輝かせて光が射し込んだ
キラキラ光るビー玉を
見つめ覗いている乱歩を横目に
ぼーっと何もない空間を見つめて
居た●●へ質問をぶつける
敦「あの、これ僕来る
意味ありました?」
敦「●●さんって助手が
居たなら尚更…」
●●『いや、大アリだね』
●●『僕達だけで列車
乗らせてみな?事務員に
保護されて探偵社に
連絡はいるよ』
敦「え?もしかして…
…●●さんも…」
●●『うん、列車の乗り方…
…というか、ヨコハマ郊外
への出方が分からない』
敦「…なるほど…」
乱歩「ホント困っちゃうよね〜」
先程までビー玉を見ていた
乱歩が会話に乱入する
乱歩「僕の助手ときたら
助手なのに列車の乗り方
すら分かんないんだもの」
●●『おい。乗り物
音痴はそっちもだろ。』
乱歩「僕は許されるのさ!!
なんてったって僕はこの国
最強の名探偵で異能ry」
●●『はいはいここ列車』
そう言って大声を上げていた
乱歩の口にどこからともなく
出した飴を食べさせ…というか
突っ込み咥えさせ黙らせた
周りの目も集まっていたので
ここで異能力者という単語は
少しばかり面倒くさいと
思ったのだろう
こちらを見ている乗客達に
すみませんすみませんと
ぺこぺこ頭を下げる●●
はたから見れば構図的に
乱歩は兄に幼い妹の●●だ
最近の下の子はしっかりして
いるんだねーと和んでいるが
実際はまぁ、仕事の同僚だ
この態度すら彼女の算段である
敦〔この人達…ホントに
大丈夫なのかな…〕
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
箕浦「遅いぞ探偵社」
箕浦「…なんで子供
なんざ居るんだ」
そういうのは現場に
居た中年の刑事
●●『誰が子供だ』
●●『関係者リスト見てよ
探偵助手、○○●●
って書いてあんでしょ』
箕浦「…」
乱歩「あれ?君誰?安井さんは?」
●●『乱歩先生ってほんっと
人の話聞かないよね』
●●『今回は担当が安井さん
じゃなくなって別で
後任の刑事さんが
来るって、言ったよ』
乱歩「あれ?そうだっけ?」
●●『…まぁいいや』
箕浦「…俺は箕浦、その娘が言った
ように安井の後任だ」
箕浦「本件はウチの課が
仕切る事になった
よって探偵社は不要だ」
箕浦「今日は探偵になど頼らない
殺されたのは俺の部下だからな」
●●『なるほどそういう系か…』
●●『…被害者のご遺体は
あの女性で間違いないね』
箕浦「…ああ」
乱歩「ご婦人か…」
杉本「今朝、川を流されている
所を発見されました」
乱歩が帽子を取り胸元に持ち
一礼する乱歩
その隣では●●が
しゃがんで手を合わせ、敦は
●●の隣で立ったまま
手を合わせている
箕浦「胸部を銃で三発
殺害現場も時刻も不明
弾丸すら発見できない」
乱歩「犯人の目星は?」
箕浦「わからん」
●●『へー…』
少しクスっと笑って
怪しげな笑みを浮かべる●●
その後に乱歩が続けた
乱歩「それってさ、なにも
分かってないって言わない?」
箕浦「だからこそ、素人上がりの
探偵などに任せられん」
●●『…ふふ…ふふふ…』
箕浦「!?」
●●『…素人上がりかぁ…
…笑わせるねぇ…』
●●がなにか雰囲気が
変わったように笑いそう言った
次の瞬間、少し遠くに居た警官
やら鑑識やらの声が響いた
「おい!!網に何かかかったぞ!!!」
「人だ!!人がかかってるぞ!!!」
敦「まさか第二の被害者!?」
●●『…』
引き寄せられるようにして
無言でその人とやらが
引き上げられた場所に
歩み寄る●●
それを慌てて追いかける敦
その人と言うのを見た
敦は固まり、●●は
やっぱりかと片手で頭を抱えた
引き上げられたのは同僚の
太宰以外の何者でも
なかったからだ、もちろん
ピンピンとして生きてる
太宰「やぁ敦君!!これは奇遇だね」
太宰「●●まで!!ひょっと
して、乱歩さんも
居る感じかい?」
●●『居る…』
太宰「あらま」
敦「ま…また入水自殺ですか?」
太宰「いや一人で自殺なんて
もう古いよ敦くん」
太宰「私は確信した、やはり
死ぬなら美人との
心中に限る!!ああ~心中!!
この甘美な響き!!」
●●『いつか心中とか言い出す
気がしてたけど
ホントにここまで
来てしまったか…』
虚ろな目で言う●●
箕浦が最近の子供って大変
なんだなと眺めている
乱歩があれは探偵社の日常だ
彼女は来たときから
世話焼きと話している
太宰「というわけで一緒に心中
してくれる美女を
ただいま募集中~」
敦「え…じゃ今日のこれは?」
太宰「フン…これは単に
川を流れてただけ」
敦「なるほど…」
太宰「ところで●●は
まだしも敦くんまで
こんな所で何してるの?」
敦「仕事ですけど…」
太宰「仕事?」
心から自殺を楽しみ
心中を望むそのキラキラした
目のままコテンと
首を傾げる太宰
その直後その顔は一変
とんでもない声と顔で
遺体の女性のを悔やむ
太宰「悲嘆で胸が破れそうだよ~
どうせなら私と心中して
くれれば良かったのに~」
呆れた顔で太宰を見る敦
太宰「しかし安心したまえ
ご麗人!!稀代の名探偵と
幼き天才助手が必ずや
君の無念を晴らすだろ~」
太宰「ね?乱歩さん、●●」
乱歩「ところが僕達は未だに
依頼を受けてはいないのだ」
太宰「どういう事です?」
乱歩「この人に聞いて」
箕浦「探偵などに用はない
実際、俺の部下は全員
私立探偵などより余程優秀だ」
●●『なにも分かってないのに?』
乱歩「まーまー!!彼がそこまで
意気込むならっ、よし!!
君、名前は?」
杉本「自分は杉本巡査であります!!
殺されたこの山際女史の
後輩であります!!」
乱歩「よし杉本くん!!
今から60秒でこの
事件を解決しなさい」
杉本「え、えええーっ!!!?」
慌てふためく杉本とその横で
懐中時計を眺める乱歩と●●
残り時間を見ているらしい
●●『あと50びょー』
杉本「そ、そうだ!!最近山際
先輩は政治家の汚職疑惑と
ポートマフィアの活動を
追ってました」
杉本「確か…マフィアの報復の
手口に似た殺し方があった
ハズです、もしかすると
先輩は捜査した
マフィアに殺され…」
太宰「違うよ」
先程と打って変わり
落ち着いて一言太宰は
杉本のことを否定し
その声色のまま再び口を開いた
太宰「ポートマフィアの報復の
手口は身分証と同じで
細部まで厳密に
決められている」
太宰「まず裏切り者に敷石を
噛ませ後頭部を蹴り顎を
破壊、激痛に悶える
犠牲者をひっくり
返し、胸に三発」
うっ…と眉間にシワを寄せ
顔をしかめる敦、どうやら
ポートマフィアの残忍な
報復を不愉快に感じたらしい
●●『被害者の山際女史が
ポートマフィアの
裏切り者という
線は薄いと見た』
●●『あと、もし仮にポート
マフィアの裏切り者
だったとして報復の
手順がどんなパターンを
考えたとしてもおかしい』
●●『普通に考えて何故
身分証に間違った内容を
記載する必要があったのか』
●●『つまり何故手順を変える
必要があったのか』
●●『答えはかんたーん
容易に内容を変えたのは
加害者がポートマフィア
ではないから』
●●『きっと山際女史の顎は
砕かれてもいない綺麗な
状態なんだろう?まぁ
確認する余地もないけどね』
箕浦「なぜそうだと断言できる」
●●『だって実際そうですよね』
箕浦「…」
太宰「まぁ、こんな感じで我々は
この職業柄、ポート
マフィアと衝突することも
多く、割と詳しいのです」
太宰「そこで言わせてもらいますが
この手口はマフィアに似ている
だがマフィアじゃない、つまり…」
箕浦「…犯人の偽装工作」
杉本「偽装の為だけに遺骸に
2発も撃つなんて…酷い」
●●『…犯人は割と身近な
人間だったのかもね』
敦「そういうの分かるんですか!?」
●●『いや全然』
敦「え???」
乱歩「ぶぅぅーっ!!!ハイ時間切れー」
うわぁぁと乱歩の大きな声に
驚き背筋を伸ばす杉本
まぁ、無理もないだろう
箕浦「いい加減にしろ!!!」
箕浦「さっきから聞いていれば
やれ推理だのやれ名探偵だの
通俗創作の読み過ぎだ!!」
箕浦「事件の解明は即ち地道な調査
聞き込み、現場検証だろ!!」
乱歩「はぁ??まだわかってないの?
名探偵は調査なんてしないの」
乱歩「僕の異能力超推理は、一目
見れば犯人が誰で、いつ
どうやって殺したか
瞬時に分かるんだよ~」
乱歩「僕は異能力者だからね」
呆れたような声を出したと
思えば次は自慢げに異能力を
説明しだす乱歩
箕浦「そんな便利な異能力が
あるなら、俺達刑事は
いらねぇじゃねぇか」
乱歩「まさにその通り!!ようやく
理解が追いついたじゃないか」
●●『すごーいすごーい』
●●『あと補足だけど
うちの乱歩先生はホラを
吹いたりはしないんだ』
●●『それに推理小説やら
なんやらは嫌いでねー』
●●『よくも知らないというのに
知ったような口を
聞くのは少々ダサいよ
オジさ…間違えた
おっさんだった』
箕浦「貴様らァ…!!!」
太宰「まーまー刑事さん
乱歩さんは終始あんな
感じですし、●●は
乱歩さんの話になると少し
熱くなってしまうのです」
3人の間に立ち、どーどーと
箕浦の怒りを鎮めようとする太宰
その直後バーンと手を前に
突き出し、大きな声で乱歩は言う
乱歩「何しろ僕の座右の銘は
“僕が良ければすべてよし!!”
だからな!!」
敦〔座右の銘を聞いてこんなに
納得したのは始めてだ…〕
ちなみに敦の座右の銘は
“生きているならいいじゃない”
で
太宰「やれやれ」
太宰は
“清く明るく元気な自殺”
●●『全く…あなたは自由奔放が
過ぎるんだ乱歩先生』
●●は
“独りも二人も然程変わらん”
だ
箕浦「そこまで言うなら見せて
もらおうか、その能力を」
乱歩「おや~?それは依頼かな~?
最初から素直に
頼めばいいのに」
●●『そんな頑固じゃ顔に
どんどんシワが
増えるばかりだよ?』
箕浦「フン!!何の手がかりもない
この難事件を相手に大した
自信じゃないか
60秒計ってやろうか?」
するとなにか雰囲気が変わる乱歩
やはり自信ありげな顔をし
箕浦をおちょくっていたが
更ににやりと広角を上げ先程と
変らぬ声色で一言
乱歩「そんなにいらない」
呟いた
改札の通り方、ホームの場所〕
敦〔本当に何も分かんないとは…
…異能力を使わないと
この人何にもできないんだな〕
ちゃっかり失礼な敦
敦〔…あれ?乱歩さんには
●●さんって助手が
居るのに、なんで僕が…〕
敦「●●さん」
●●『ん?どーした敦』
また幼い子供のように目を
輝かせて光が射し込んだ
キラキラ光るビー玉を
見つめ覗いている乱歩を横目に
ぼーっと何もない空間を見つめて
居た●●へ質問をぶつける
敦「あの、これ僕来る
意味ありました?」
敦「●●さんって助手が
居たなら尚更…」
●●『いや、大アリだね』
●●『僕達だけで列車
乗らせてみな?事務員に
保護されて探偵社に
連絡はいるよ』
敦「え?もしかして…
…●●さんも…」
●●『うん、列車の乗り方…
…というか、ヨコハマ郊外
への出方が分からない』
敦「…なるほど…」
乱歩「ホント困っちゃうよね〜」
先程までビー玉を見ていた
乱歩が会話に乱入する
乱歩「僕の助手ときたら
助手なのに列車の乗り方
すら分かんないんだもの」
●●『おい。乗り物
音痴はそっちもだろ。』
乱歩「僕は許されるのさ!!
なんてったって僕はこの国
最強の名探偵で異能ry」
●●『はいはいここ列車』
そう言って大声を上げていた
乱歩の口にどこからともなく
出した飴を食べさせ…というか
突っ込み咥えさせ黙らせた
周りの目も集まっていたので
ここで異能力者という単語は
少しばかり面倒くさいと
思ったのだろう
こちらを見ている乗客達に
すみませんすみませんと
ぺこぺこ頭を下げる●●
はたから見れば構図的に
乱歩は兄に幼い妹の●●だ
最近の下の子はしっかりして
いるんだねーと和んでいるが
実際はまぁ、仕事の同僚だ
この態度すら彼女の算段である
敦〔この人達…ホントに
大丈夫なのかな…〕
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箕浦「遅いぞ探偵社」
箕浦「…なんで子供
なんざ居るんだ」
そういうのは現場に
居た中年の刑事
●●『誰が子供だ』
●●『関係者リスト見てよ
探偵助手、○○●●
って書いてあんでしょ』
箕浦「…」
乱歩「あれ?君誰?安井さんは?」
●●『乱歩先生ってほんっと
人の話聞かないよね』
●●『今回は担当が安井さん
じゃなくなって別で
後任の刑事さんが
来るって、言ったよ』
乱歩「あれ?そうだっけ?」
●●『…まぁいいや』
箕浦「…俺は箕浦、その娘が言った
ように安井の後任だ」
箕浦「本件はウチの課が
仕切る事になった
よって探偵社は不要だ」
箕浦「今日は探偵になど頼らない
殺されたのは俺の部下だからな」
●●『なるほどそういう系か…』
●●『…被害者のご遺体は
あの女性で間違いないね』
箕浦「…ああ」
乱歩「ご婦人か…」
杉本「今朝、川を流されている
所を発見されました」
乱歩が帽子を取り胸元に持ち
一礼する乱歩
その隣では●●が
しゃがんで手を合わせ、敦は
●●の隣で立ったまま
手を合わせている
箕浦「胸部を銃で三発
殺害現場も時刻も不明
弾丸すら発見できない」
乱歩「犯人の目星は?」
箕浦「わからん」
●●『へー…』
少しクスっと笑って
怪しげな笑みを浮かべる●●
その後に乱歩が続けた
乱歩「それってさ、なにも
分かってないって言わない?」
箕浦「だからこそ、素人上がりの
探偵などに任せられん」
●●『…ふふ…ふふふ…』
箕浦「!?」
●●『…素人上がりかぁ…
…笑わせるねぇ…』
●●がなにか雰囲気が
変わったように笑いそう言った
次の瞬間、少し遠くに居た警官
やら鑑識やらの声が響いた
「おい!!網に何かかかったぞ!!!」
「人だ!!人がかかってるぞ!!!」
敦「まさか第二の被害者!?」
●●『…』
引き寄せられるようにして
無言でその人とやらが
引き上げられた場所に
歩み寄る●●
それを慌てて追いかける敦
その人と言うのを見た
敦は固まり、●●は
やっぱりかと片手で頭を抱えた
引き上げられたのは同僚の
太宰以外の何者でも
なかったからだ、もちろん
ピンピンとして生きてる
太宰「やぁ敦君!!これは奇遇だね」
太宰「●●まで!!ひょっと
して、乱歩さんも
居る感じかい?」
●●『居る…』
太宰「あらま」
敦「ま…また入水自殺ですか?」
太宰「いや一人で自殺なんて
もう古いよ敦くん」
太宰「私は確信した、やはり
死ぬなら美人との
心中に限る!!ああ~心中!!
この甘美な響き!!」
●●『いつか心中とか言い出す
気がしてたけど
ホントにここまで
来てしまったか…』
虚ろな目で言う●●
箕浦が最近の子供って大変
なんだなと眺めている
乱歩があれは探偵社の日常だ
彼女は来たときから
世話焼きと話している
太宰「というわけで一緒に心中
してくれる美女を
ただいま募集中~」
敦「え…じゃ今日のこれは?」
太宰「フン…これは単に
川を流れてただけ」
敦「なるほど…」
太宰「ところで●●は
まだしも敦くんまで
こんな所で何してるの?」
敦「仕事ですけど…」
太宰「仕事?」
心から自殺を楽しみ
心中を望むそのキラキラした
目のままコテンと
首を傾げる太宰
その直後その顔は一変
とんでもない声と顔で
遺体の女性のを悔やむ
太宰「悲嘆で胸が破れそうだよ~
どうせなら私と心中して
くれれば良かったのに~」
呆れた顔で太宰を見る敦
太宰「しかし安心したまえ
ご麗人!!稀代の名探偵と
幼き天才助手が必ずや
君の無念を晴らすだろ~」
太宰「ね?乱歩さん、●●」
乱歩「ところが僕達は未だに
依頼を受けてはいないのだ」
太宰「どういう事です?」
乱歩「この人に聞いて」
箕浦「探偵などに用はない
実際、俺の部下は全員
私立探偵などより余程優秀だ」
●●『なにも分かってないのに?』
乱歩「まーまー!!彼がそこまで
意気込むならっ、よし!!
君、名前は?」
杉本「自分は杉本巡査であります!!
殺されたこの山際女史の
後輩であります!!」
乱歩「よし杉本くん!!
今から60秒でこの
事件を解決しなさい」
杉本「え、えええーっ!!!?」
慌てふためく杉本とその横で
懐中時計を眺める乱歩と●●
残り時間を見ているらしい
●●『あと50びょー』
杉本「そ、そうだ!!最近山際
先輩は政治家の汚職疑惑と
ポートマフィアの活動を
追ってました」
杉本「確か…マフィアの報復の
手口に似た殺し方があった
ハズです、もしかすると
先輩は捜査した
マフィアに殺され…」
太宰「違うよ」
先程と打って変わり
落ち着いて一言太宰は
杉本のことを否定し
その声色のまま再び口を開いた
太宰「ポートマフィアの報復の
手口は身分証と同じで
細部まで厳密に
決められている」
太宰「まず裏切り者に敷石を
噛ませ後頭部を蹴り顎を
破壊、激痛に悶える
犠牲者をひっくり
返し、胸に三発」
うっ…と眉間にシワを寄せ
顔をしかめる敦、どうやら
ポートマフィアの残忍な
報復を不愉快に感じたらしい
●●『被害者の山際女史が
ポートマフィアの
裏切り者という
線は薄いと見た』
●●『あと、もし仮にポート
マフィアの裏切り者
だったとして報復の
手順がどんなパターンを
考えたとしてもおかしい』
●●『普通に考えて何故
身分証に間違った内容を
記載する必要があったのか』
●●『つまり何故手順を変える
必要があったのか』
●●『答えはかんたーん
容易に内容を変えたのは
加害者がポートマフィア
ではないから』
●●『きっと山際女史の顎は
砕かれてもいない綺麗な
状態なんだろう?まぁ
確認する余地もないけどね』
箕浦「なぜそうだと断言できる」
●●『だって実際そうですよね』
箕浦「…」
太宰「まぁ、こんな感じで我々は
この職業柄、ポート
マフィアと衝突することも
多く、割と詳しいのです」
太宰「そこで言わせてもらいますが
この手口はマフィアに似ている
だがマフィアじゃない、つまり…」
箕浦「…犯人の偽装工作」
杉本「偽装の為だけに遺骸に
2発も撃つなんて…酷い」
●●『…犯人は割と身近な
人間だったのかもね』
敦「そういうの分かるんですか!?」
●●『いや全然』
敦「え???」
乱歩「ぶぅぅーっ!!!ハイ時間切れー」
うわぁぁと乱歩の大きな声に
驚き背筋を伸ばす杉本
まぁ、無理もないだろう
箕浦「いい加減にしろ!!!」
箕浦「さっきから聞いていれば
やれ推理だのやれ名探偵だの
通俗創作の読み過ぎだ!!」
箕浦「事件の解明は即ち地道な調査
聞き込み、現場検証だろ!!」
乱歩「はぁ??まだわかってないの?
名探偵は調査なんてしないの」
乱歩「僕の異能力超推理は、一目
見れば犯人が誰で、いつ
どうやって殺したか
瞬時に分かるんだよ~」
乱歩「僕は異能力者だからね」
呆れたような声を出したと
思えば次は自慢げに異能力を
説明しだす乱歩
箕浦「そんな便利な異能力が
あるなら、俺達刑事は
いらねぇじゃねぇか」
乱歩「まさにその通り!!ようやく
理解が追いついたじゃないか」
●●『すごーいすごーい』
●●『あと補足だけど
うちの乱歩先生はホラを
吹いたりはしないんだ』
●●『それに推理小説やら
なんやらは嫌いでねー』
●●『よくも知らないというのに
知ったような口を
聞くのは少々ダサいよ
オジさ…間違えた
おっさんだった』
箕浦「貴様らァ…!!!」
太宰「まーまー刑事さん
乱歩さんは終始あんな
感じですし、●●は
乱歩さんの話になると少し
熱くなってしまうのです」
3人の間に立ち、どーどーと
箕浦の怒りを鎮めようとする太宰
その直後バーンと手を前に
突き出し、大きな声で乱歩は言う
乱歩「何しろ僕の座右の銘は
“僕が良ければすべてよし!!”
だからな!!」
敦〔座右の銘を聞いてこんなに
納得したのは始めてだ…〕
ちなみに敦の座右の銘は
“生きているならいいじゃない”
で
太宰「やれやれ」
太宰は
“清く明るく元気な自殺”
●●『全く…あなたは自由奔放が
過ぎるんだ乱歩先生』
●●は
“独りも二人も然程変わらん”
だ
箕浦「そこまで言うなら見せて
もらおうか、その能力を」
乱歩「おや~?それは依頼かな~?
最初から素直に
頼めばいいのに」
●●『そんな頑固じゃ顔に
どんどんシワが
増えるばかりだよ?』
箕浦「フン!!何の手がかりもない
この難事件を相手に大した
自信じゃないか
60秒計ってやろうか?」
するとなにか雰囲気が変わる乱歩
やはり自信ありげな顔をし
箕浦をおちょくっていたが
更ににやりと広角を上げ先程と
変らぬ声色で一言
乱歩「そんなにいらない」
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