迷ヰ犬の僕達は
太宰「よく見ていたまえ敦くん
これが探偵社を支える能力だ」
●●『あの眼鏡をかけることが
乱歩先生の異能力
超推理のトリガーなんだ』
乱歩を見るとたしかにそこには
何の変哲もないように見える眼鏡が
握られていた
敦〔事件の真相がわかる能力…
…本当にそんな力が
存在するのか…!?〕
乱歩「異能力」
[大文字][大文字][太字]乱歩《超推理》[/太字][/大文字][/大文字]
辺り一帯の空気に少し
ばかりの緊張が走った
そう思えば乱歩はまた自慢げで
不敵な笑みを浮かべる
乱歩「なるほど」
乱歩「…犯人が分かった」
乱歩「犯人は―――」
すると小説やドラマなんかに
でてくるような探偵のように
指を突き出す、その先には
乱歩「―――杉本巡査」
杉本「…え?」
腑抜けた声を出す杉本
無理もない、まさか自分に
矛先が向くなんて彼自身も
他の人間も思っていなかったからだ
今の今まで誰も
●●『…なるほど…そういうことか』
箕浦「バカ言え!!大体、こんな近くに
都合良く犯人がいるなど…」
●●『バカ言ってんはそっちでしょ』
●●『犯人だから近くに居たい
間近で近況が分かる』
●●『それに人間というものは
非常に単純でね、犯人が
こんなとろに居る訳が
ない、そう思い込むんだよ』
●●『あなたみたいにね?』
箕浦「…」
乱歩「それに言わなかったっけ?
どこに証拠があるかも
分かるって、拳銃貸して」
当たり前のように本来なら重い
刑罰が警官に科せられることを
頼む乱歩、その表情はやはり
自慢げで子供のように無邪気な笑みだ
杉本「バカ言わないでください!!
一般人に官給の拳銃を
渡したら減俸じゃ済みませんよ!!」
乱歩「その銃を調べて何も出て来な
ければ確かに僕も●●も
口先だけのアホって事になる」
箕浦「杉本!!見せてやれ!!ここまで
吠えたんだ、納得すれば
大人しく帰るだろう」
箕浦「…どうした杉本」
なかなか拳銃を取り出そうと
せず、うつむく杉本
乱歩「いくらこの町でも
素人が銃弾を補充するのは
容易じゃない」
乱歩「官給品の銃ならなおさらだ」
乱歩「彼は懸命に考えている最中だよ
使ってしまった3発分の銃弾に
ついてどう言い訳するかをね」
箕浦「お前が犯人のハズない!!!
早く銃を見せろ!!!!」
するとようやく拳銃に手を伸ばし
ゆっくり引き抜こうとしていると
思えば素早い動作で安全装置を外す
その銃口は乱歩を向いていた
[太字][大文字][大文字]ドンッ!!!!![/大文字][/大文字][/太字]
敦「乱歩さん!!!」
敦が声を上げる
その直後聞こえた言葉に
敦は戸惑いを隠せなかった
[太字]―――異能力―――[/太字]
[太字][大文字][大文字]《羅生門・叢》[/大文字][/大文字][/太字]
羅生門・叢、それはあの時
対峙したポートマフィア構成員
芥川龍之介から敦へ向けられた
異能力と全く同名だった
使用者は弾丸をしっかり掴む
叢の拳を解き、弾丸を手放す
地に落ちた弾丸がカランと
軽い音をたてた
その異能と声の持ち主は
●●だった
太宰「よし敦くんっ行け!!」
敦「あぇぇっ!!!?」
[太字][大文字]ドサッ!!![/大文字][/太字]
急に太宰に押され飛び出す
敦が杉本を捕らえる
乱歩「犯行時刻は昨日の早朝
場所はここから140m上流の
造船所跡地、そこに
行けばあるハズだ」
乱歩「君と被害者の足跡、それに
消しきれなかった血痕も」
杉本「…どうして…バレる
筈…ないのに…」
箕浦「続きは職場で聞こう」
箕浦「お前にとっては最後の
職場になるかもしれんが」
そして杉本の手首にひんやりと
した感覚…手錠がかけられた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから取り調べを受けた杉本は
またしても犯行動機から当時の状況
事細かな証拠を乱歩に暴かれ泣き崩れた
無理もない、山際女史を不本意では
あったが殺してしまったのだ
彼にとって大切で常に思い続け
杉本もまた思われ続けている
そんな関係だったのにも関わらず
箕浦「…世話んなったな…それに…
…実力を疑って悪かった…」
箕浦「…難事件に当たったらまた頼む」
●●『こっちにも非はあったん
だからトントンだよ』
●●『でも、悪かったね箕浦さん』
乱歩「僕達の力が必要になったら
いつでもご用命を」
乱歩「次からは割引価格で良いよー」
●●『こっちも一応商売だからね』
箕浦「…そいつは助かる」
そう言って3人はにこりと微笑んだ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガタンゴトン、先程も聞いた
走行音だが、雰囲気は行きより静かで
穏やか、そんな車内を夕暮れが染めていた
行きに比べ1人メンバーが増えた敦達
だが皆疲れたのか乱歩は●●に
寄りかかって眠り、太宰も敦に
寄りかかりはしないものの眠ってはいた
●●『…』
敦「…お二人…寝ちゃいましたね…」
●●『割と日常茶飯事だよこれも』
●●『なにより起こすのが面倒』
敦「ご苦労さまです…」
敦「…あの…」
●●『どうした?』
敦「…お二人眠ってますし聞くなら
今かなって思ったので…その…
…僕が知りたい八雲さんの
ことについて…お聞きしても
いいでしょうか…?」
●●『…まぁ、どっかの
タイミングで教えたげるって
言ったような気も
してるし、いーよ』
敦「…聞きたいこと沢山あるんです
けど…まず、率直に」
敦「あなたの異能力って
一体…なんなんですか…?」
●●『僕の異能?』
敦「はい」
敦「さっき、杉本巡査が発砲した時
使ってましたよね…」
敦「…あれは芥川龍之介の異能力…
…ハッキリ覚えてます…」
敦「…それにあの時意識は朦朧と
していて会話内容がしっかり
聞こえなかったですが…
…確実にあなたが芥川の名を
呼ぶのが、たったそれ
だけが聞こえた」
敦「元々、親しかったように…」
敦「…もしかしてあなたは芥川の
との深く固いなにか関係が
ある…2人目の羅生門
所有者なんじゃないですか…」
少し重たい空気が流れる
冷たい目で黙り込んでた八雲が
口を開いた
●●『…そうだね…』
●●『…やっぱり
面白いな敦はw』
敦「へ…?」
どうやら敦に見えていた
●●は演技をしていたらしい
ケラケラ笑いおかしいやと
お腹を抱え、ひとしきり笑った
後、真面目な顔をした●●
そして言う
●●『でも現実はそんな
都合よくないからね』
●●『まずは僕の異能に
ついて話そうかな』
敦「●●さんの…異能力…」
●●『僕の異能力、天の河綺譚は
簡単に言えば異能力を
[漢字]複製[/漢字][ふりがな]コピー[/ふりがな]する異能力』
敦「コピー…だから芥川の
異能力が使えたのか…」
敦「…って、最強じゃないですか!?
そんなん簡単に世界征服
とかも夢じゃな…」
●●『だーかーらー!!そんなに
現実は都合よくない
って言ったでしょ?』
●●『話は最後まで聞きなさい』
敦「あ…はい…」
●●『天の河綺譚は相手の
異能をヒトダマっていう
凝縮したコピーにして
それを取り込み僕自身も
それを使えるようにする』
●●『例えば』
そう言うと●●はぽんっと
自分の体に白虎の尾と
耳を生やし、ゆらゆらと
ゆっくり振ってみせる
敦の月下獣を複製したのだ
敦「!!それ、僕の!!」
敦「もしコピーされたら
所有者はどう
なっちゃうんですか!?」
●●『落ち着け落ち着け大丈夫』
●●『技を使用できると言っても
結局はコピー、複製物
だから所有者の異能が
消えるとかはないよ』
●●『でもやっぱり無敵ではない』
●●『ヒトダマの生成条件と
異能の使用条件が
どうしても邪魔でね』
敦「条件?そんなに厳しいものが
かせられてるんですか?」
●●『少しね、その条件は3つ』
●●『1,この目で一度異能力
発動中を視認すること』
●●『これは割と簡単、動画とか
でも大丈夫で判定緩め』
●●『2,その異能の内容をある
程度知っていること』
●●『こういうのあるから僕は
敵対側より味方側の
人間の方が再現し
やすいかな』
敦「僕…入社したてなのにコピー
されるくらいまで内容
知られちゃってるんだ…」
●●『まぁまぁ』
●●『そんで3…これが1番鬼畜』
●●『…3,僕のキャパを
オーバーしないこと』
敦「キャパ…ですか?」
●●『元々所有しない様々な
異能を取り入れる
っていうのは並大抵の
ことじゃないからね』
●●『筋肉…血管…骨…臓物…
…脳…人体の全てに負荷が
かかる、異能が複雑な
仕組みのものほど…例えば
“人間失格”とか、負荷は
大きくなってオーバーした
その時僕はそこに
居ないだろうね』
敦「居ない…?」
●●『単純に死ぬってこと』
●●『皮膚が引き千切れて
全身から血ぃ噴き出して
その後筋肉が膨張して裂けて
次に骨が粉々なるかな、四肢
とか弾け飛ぶときもあるけど
そのまま異常な程細胞分裂が
繰り返されその後臓物破裂
そのまま内部から爆発してる
みたいな全身がバラバラの
肉塊に…って敦、大丈夫?』
敦「そ…想像するだけで…
…ぐ…グロい…です…」
●●『ウサギみたーい』
敦「最強とか言って…
す、すみません…」
●●『別にいーよ、それに僕
だってそんな胸糞悪い
死に方はごめんさ』
●●『一応仕組みが複雑なものを
使うこともできなくは
ないんだ、でも使うと肉塊に
なるか1から2時間かけて
完全体を少しずつ構築するか
時間かかるし緊急性には
向かないんだけどね』
敦「でも凄いですね、万能な能力ですよ」
●●『まだできることあるよー』
敦「え!?まだあるんですか!?」
●●〘反応大きくて面白いな敦〙
●●『僕の異能力はどちらかと
いうと僕自身がその異能を
発してるんじゃなくて
異能生命体と僕が同じ
体で共存してるんだ』
●●『僕はあのコを天音と呼んでる
意思疎通は波長の問題で
難しいんだけどね』
敦「共存って、大丈夫なんですか?」
●●『全然平気、なんなら僕は
天音が居ないと日々健康で
居ることすらままならない
逆にあのコも僕って
器があるから消滅
しないで済んでる』
●●『普通の異能生命体と違って
体内収容を目的とした異能
それを所有するにあたって
僕もまた完全な状態の
生物になれなかった』
●●『月並みな言葉だけど
二人三脚とか
一心同体ってやつ』
●●『だけど、最低限の一部分
だけ切り離して飛ばせば
視覚を共有したりもできる』
●●『べーんりなの』
敦「は…はぁ…」
敦〔…なんだか、一気に力の差を
見せつけられたような気がした〕
●●『で?僕の異能については
終わり、他に聞きたい
ことは?あるんでしょ?
受付時間は到着までね』
敦「あぁ、はい!!」
敦「この間、実年齢は25だけど体が
幼女って言ってましたよね
一体、何があったんですか?」
●●『あー、それか』
●●『実は幼いときに事故に
遭ってしまってね…以来
事故の怪我でこのまま
成長が止まってしまった
それだけだよ』
敦「いや十分重症…!?!?」
●●『僕にとってはそれだけなの』
敦「じゃあ、さっき言い当てた
“案外犯人は身近な人間
だったのかも”って、ホントに
ただの勘だったんですか?」
●●『そうだねー』
●●『唐突だけど、僕は並の
人間より頭いいと思う』
●●『洞察力も並外れ
てんじゃない?』
敦〔…え、自慢???〕
●●『でも我が社はブレーン
まみれでね、まぁ探偵だし
悪いことないけど』
●●『太宰の予言は必然で』
●●『乱歩先生の推理は百発百中』
●●『なら僕の勘は絶対だよ』
敦「なるほど…?」
そのまま敦の質問はなかなか
途絶えることのなかった
●●もまたその質問の
返答を途絶えさせることはなかった
そして敦が1つ●●に聞く
敦「●●さんはなんで乱歩さんと
組んでるんですか?
やっぱりずっと相方
同士なんですかね」
●●『いや、そんなことないよ』
●●『僕は探偵社に来てから
初めて乱歩先生に会った』
●●『一言で言うと自由奔放な変人
とてもだけど、僕と1個違い
には見えなかったかな』
●●『…でもその変人のもたらす
影響は僕の姿を明るく
照らした、まるでまばゆい
光を放つ一等星のように』
敦「一等星…」
●●『乱歩先生は異能力者じゃない
でもこの力は、この人は
異能力者なんかよりも強い』
●●『だから僕は常に一等星が
1番輝ける環境を作り上げる』
●●『僕は乱歩先生の為なら
なんだってする』
●●『世界の敵になっても
乱歩先生と居られ
なくなっても』
●●『…なんてねw
冗談だよ、言い過ぎた』
敦「冗談…」
●●『言い過ぎたけどあの人の
為になりたいのはホント』
●●『乱歩先生には笑って
てほしいんだ』
敦「…」
敦は思った、本当に先程の
言葉は冗談なのか…と
どうやら敦は人の心の変化を
見るのが得意らしく、あの
言葉が冗談か、といわれると
少し違うように見えたのだ
敦「…あ」
そんなこんなで列車が
駅についた、どうも不思議な
時間を過ごしたなと心の
傍らで思いながら
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
探偵社についた一同
すると事務所の作業場には
誰も居なかった、だが何ら
心配することはなく、各自持ち場や
やることをやっていただけである
帰宅に合わせるように国木田が
現れ、書類整理の労働力として敦を
連れていき、働きたくない太宰は
知らぬ間にどこかへと消えていた
乱歩はデスクで腕に顔をうずめ
寝息を立て残された●●は
乱歩を横目で見た後
夕暮れの空を眺めている
●●『なんだって…ね…』
太宰「考え事かい?」
●●『どこに消えて
どこから現れてんだよ』
太宰「なんだっていいじゃないか」
太宰「というかさっき敦くんと
話していた時、嘘ばかり
だったけど、ホントの
ことは教えてあげなくても
よかったのかい?」
太宰「大分矛盾して言い訳の
ようだったけど」
●●『やっぱ起きてたか』
●●『…言わないよ
僕は太宰じゃない』
●●『事実を知る人こそ数
少ないからね』
●●『あと言い訳じゃなく
ヒントさ、これから
ここに居るうえできっと
敦は気付くはず』
●●『…それに乱歩先生と
約束してしまった
もうあのようなことを
言わないこと』
●●『思い出したことが
バレればまた
怒られしまう』
●●『ホントに人間らしい
言動だと思わないかい?』
太宰「…●●」
太宰「互いに言う時は来てしまう
もの、君もバカじゃない
分かっているよね」
太宰「その時には潔く
なろうじゃないか、●●」
●●『…はいはい』
これが探偵社を支える能力だ」
●●『あの眼鏡をかけることが
乱歩先生の異能力
超推理のトリガーなんだ』
乱歩を見るとたしかにそこには
何の変哲もないように見える眼鏡が
握られていた
敦〔事件の真相がわかる能力…
…本当にそんな力が
存在するのか…!?〕
乱歩「異能力」
[大文字][大文字][太字]乱歩《超推理》[/太字][/大文字][/大文字]
辺り一帯の空気に少し
ばかりの緊張が走った
そう思えば乱歩はまた自慢げで
不敵な笑みを浮かべる
乱歩「なるほど」
乱歩「…犯人が分かった」
乱歩「犯人は―――」
すると小説やドラマなんかに
でてくるような探偵のように
指を突き出す、その先には
乱歩「―――杉本巡査」
杉本「…え?」
腑抜けた声を出す杉本
無理もない、まさか自分に
矛先が向くなんて彼自身も
他の人間も思っていなかったからだ
今の今まで誰も
●●『…なるほど…そういうことか』
箕浦「バカ言え!!大体、こんな近くに
都合良く犯人がいるなど…」
●●『バカ言ってんはそっちでしょ』
●●『犯人だから近くに居たい
間近で近況が分かる』
●●『それに人間というものは
非常に単純でね、犯人が
こんなとろに居る訳が
ない、そう思い込むんだよ』
●●『あなたみたいにね?』
箕浦「…」
乱歩「それに言わなかったっけ?
どこに証拠があるかも
分かるって、拳銃貸して」
当たり前のように本来なら重い
刑罰が警官に科せられることを
頼む乱歩、その表情はやはり
自慢げで子供のように無邪気な笑みだ
杉本「バカ言わないでください!!
一般人に官給の拳銃を
渡したら減俸じゃ済みませんよ!!」
乱歩「その銃を調べて何も出て来な
ければ確かに僕も●●も
口先だけのアホって事になる」
箕浦「杉本!!見せてやれ!!ここまで
吠えたんだ、納得すれば
大人しく帰るだろう」
箕浦「…どうした杉本」
なかなか拳銃を取り出そうと
せず、うつむく杉本
乱歩「いくらこの町でも
素人が銃弾を補充するのは
容易じゃない」
乱歩「官給品の銃ならなおさらだ」
乱歩「彼は懸命に考えている最中だよ
使ってしまった3発分の銃弾に
ついてどう言い訳するかをね」
箕浦「お前が犯人のハズない!!!
早く銃を見せろ!!!!」
するとようやく拳銃に手を伸ばし
ゆっくり引き抜こうとしていると
思えば素早い動作で安全装置を外す
その銃口は乱歩を向いていた
[太字][大文字][大文字]ドンッ!!!!![/大文字][/大文字][/太字]
敦「乱歩さん!!!」
敦が声を上げる
その直後聞こえた言葉に
敦は戸惑いを隠せなかった
[太字]―――異能力―――[/太字]
[太字][大文字][大文字]《羅生門・叢》[/大文字][/大文字][/太字]
羅生門・叢、それはあの時
対峙したポートマフィア構成員
芥川龍之介から敦へ向けられた
異能力と全く同名だった
使用者は弾丸をしっかり掴む
叢の拳を解き、弾丸を手放す
地に落ちた弾丸がカランと
軽い音をたてた
その異能と声の持ち主は
●●だった
太宰「よし敦くんっ行け!!」
敦「あぇぇっ!!!?」
[太字][大文字]ドサッ!!![/大文字][/太字]
急に太宰に押され飛び出す
敦が杉本を捕らえる
乱歩「犯行時刻は昨日の早朝
場所はここから140m上流の
造船所跡地、そこに
行けばあるハズだ」
乱歩「君と被害者の足跡、それに
消しきれなかった血痕も」
杉本「…どうして…バレる
筈…ないのに…」
箕浦「続きは職場で聞こう」
箕浦「お前にとっては最後の
職場になるかもしれんが」
そして杉本の手首にひんやりと
した感覚…手錠がかけられた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから取り調べを受けた杉本は
またしても犯行動機から当時の状況
事細かな証拠を乱歩に暴かれ泣き崩れた
無理もない、山際女史を不本意では
あったが殺してしまったのだ
彼にとって大切で常に思い続け
杉本もまた思われ続けている
そんな関係だったのにも関わらず
箕浦「…世話んなったな…それに…
…実力を疑って悪かった…」
箕浦「…難事件に当たったらまた頼む」
●●『こっちにも非はあったん
だからトントンだよ』
●●『でも、悪かったね箕浦さん』
乱歩「僕達の力が必要になったら
いつでもご用命を」
乱歩「次からは割引価格で良いよー」
●●『こっちも一応商売だからね』
箕浦「…そいつは助かる」
そう言って3人はにこりと微笑んだ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガタンゴトン、先程も聞いた
走行音だが、雰囲気は行きより静かで
穏やか、そんな車内を夕暮れが染めていた
行きに比べ1人メンバーが増えた敦達
だが皆疲れたのか乱歩は●●に
寄りかかって眠り、太宰も敦に
寄りかかりはしないものの眠ってはいた
●●『…』
敦「…お二人…寝ちゃいましたね…」
●●『割と日常茶飯事だよこれも』
●●『なにより起こすのが面倒』
敦「ご苦労さまです…」
敦「…あの…」
●●『どうした?』
敦「…お二人眠ってますし聞くなら
今かなって思ったので…その…
…僕が知りたい八雲さんの
ことについて…お聞きしても
いいでしょうか…?」
●●『…まぁ、どっかの
タイミングで教えたげるって
言ったような気も
してるし、いーよ』
敦「…聞きたいこと沢山あるんです
けど…まず、率直に」
敦「あなたの異能力って
一体…なんなんですか…?」
●●『僕の異能?』
敦「はい」
敦「さっき、杉本巡査が発砲した時
使ってましたよね…」
敦「…あれは芥川龍之介の異能力…
…ハッキリ覚えてます…」
敦「…それにあの時意識は朦朧と
していて会話内容がしっかり
聞こえなかったですが…
…確実にあなたが芥川の名を
呼ぶのが、たったそれ
だけが聞こえた」
敦「元々、親しかったように…」
敦「…もしかしてあなたは芥川の
との深く固いなにか関係が
ある…2人目の羅生門
所有者なんじゃないですか…」
少し重たい空気が流れる
冷たい目で黙り込んでた八雲が
口を開いた
●●『…そうだね…』
●●『…やっぱり
面白いな敦はw』
敦「へ…?」
どうやら敦に見えていた
●●は演技をしていたらしい
ケラケラ笑いおかしいやと
お腹を抱え、ひとしきり笑った
後、真面目な顔をした●●
そして言う
●●『でも現実はそんな
都合よくないからね』
●●『まずは僕の異能に
ついて話そうかな』
敦「●●さんの…異能力…」
●●『僕の異能力、天の河綺譚は
簡単に言えば異能力を
[漢字]複製[/漢字][ふりがな]コピー[/ふりがな]する異能力』
敦「コピー…だから芥川の
異能力が使えたのか…」
敦「…って、最強じゃないですか!?
そんなん簡単に世界征服
とかも夢じゃな…」
●●『だーかーらー!!そんなに
現実は都合よくない
って言ったでしょ?』
●●『話は最後まで聞きなさい』
敦「あ…はい…」
●●『天の河綺譚は相手の
異能をヒトダマっていう
凝縮したコピーにして
それを取り込み僕自身も
それを使えるようにする』
●●『例えば』
そう言うと●●はぽんっと
自分の体に白虎の尾と
耳を生やし、ゆらゆらと
ゆっくり振ってみせる
敦の月下獣を複製したのだ
敦「!!それ、僕の!!」
敦「もしコピーされたら
所有者はどう
なっちゃうんですか!?」
●●『落ち着け落ち着け大丈夫』
●●『技を使用できると言っても
結局はコピー、複製物
だから所有者の異能が
消えるとかはないよ』
●●『でもやっぱり無敵ではない』
●●『ヒトダマの生成条件と
異能の使用条件が
どうしても邪魔でね』
敦「条件?そんなに厳しいものが
かせられてるんですか?」
●●『少しね、その条件は3つ』
●●『1,この目で一度異能力
発動中を視認すること』
●●『これは割と簡単、動画とか
でも大丈夫で判定緩め』
●●『2,その異能の内容をある
程度知っていること』
●●『こういうのあるから僕は
敵対側より味方側の
人間の方が再現し
やすいかな』
敦「僕…入社したてなのにコピー
されるくらいまで内容
知られちゃってるんだ…」
●●『まぁまぁ』
●●『そんで3…これが1番鬼畜』
●●『…3,僕のキャパを
オーバーしないこと』
敦「キャパ…ですか?」
●●『元々所有しない様々な
異能を取り入れる
っていうのは並大抵の
ことじゃないからね』
●●『筋肉…血管…骨…臓物…
…脳…人体の全てに負荷が
かかる、異能が複雑な
仕組みのものほど…例えば
“人間失格”とか、負荷は
大きくなってオーバーした
その時僕はそこに
居ないだろうね』
敦「居ない…?」
●●『単純に死ぬってこと』
●●『皮膚が引き千切れて
全身から血ぃ噴き出して
その後筋肉が膨張して裂けて
次に骨が粉々なるかな、四肢
とか弾け飛ぶときもあるけど
そのまま異常な程細胞分裂が
繰り返されその後臓物破裂
そのまま内部から爆発してる
みたいな全身がバラバラの
肉塊に…って敦、大丈夫?』
敦「そ…想像するだけで…
…ぐ…グロい…です…」
●●『ウサギみたーい』
敦「最強とか言って…
す、すみません…」
●●『別にいーよ、それに僕
だってそんな胸糞悪い
死に方はごめんさ』
●●『一応仕組みが複雑なものを
使うこともできなくは
ないんだ、でも使うと肉塊に
なるか1から2時間かけて
完全体を少しずつ構築するか
時間かかるし緊急性には
向かないんだけどね』
敦「でも凄いですね、万能な能力ですよ」
●●『まだできることあるよー』
敦「え!?まだあるんですか!?」
●●〘反応大きくて面白いな敦〙
●●『僕の異能力はどちらかと
いうと僕自身がその異能を
発してるんじゃなくて
異能生命体と僕が同じ
体で共存してるんだ』
●●『僕はあのコを天音と呼んでる
意思疎通は波長の問題で
難しいんだけどね』
敦「共存って、大丈夫なんですか?」
●●『全然平気、なんなら僕は
天音が居ないと日々健康で
居ることすらままならない
逆にあのコも僕って
器があるから消滅
しないで済んでる』
●●『普通の異能生命体と違って
体内収容を目的とした異能
それを所有するにあたって
僕もまた完全な状態の
生物になれなかった』
●●『月並みな言葉だけど
二人三脚とか
一心同体ってやつ』
●●『だけど、最低限の一部分
だけ切り離して飛ばせば
視覚を共有したりもできる』
●●『べーんりなの』
敦「は…はぁ…」
敦〔…なんだか、一気に力の差を
見せつけられたような気がした〕
●●『で?僕の異能については
終わり、他に聞きたい
ことは?あるんでしょ?
受付時間は到着までね』
敦「あぁ、はい!!」
敦「この間、実年齢は25だけど体が
幼女って言ってましたよね
一体、何があったんですか?」
●●『あー、それか』
●●『実は幼いときに事故に
遭ってしまってね…以来
事故の怪我でこのまま
成長が止まってしまった
それだけだよ』
敦「いや十分重症…!?!?」
●●『僕にとってはそれだけなの』
敦「じゃあ、さっき言い当てた
“案外犯人は身近な人間
だったのかも”って、ホントに
ただの勘だったんですか?」
●●『そうだねー』
●●『唐突だけど、僕は並の
人間より頭いいと思う』
●●『洞察力も並外れ
てんじゃない?』
敦〔…え、自慢???〕
●●『でも我が社はブレーン
まみれでね、まぁ探偵だし
悪いことないけど』
●●『太宰の予言は必然で』
●●『乱歩先生の推理は百発百中』
●●『なら僕の勘は絶対だよ』
敦「なるほど…?」
そのまま敦の質問はなかなか
途絶えることのなかった
●●もまたその質問の
返答を途絶えさせることはなかった
そして敦が1つ●●に聞く
敦「●●さんはなんで乱歩さんと
組んでるんですか?
やっぱりずっと相方
同士なんですかね」
●●『いや、そんなことないよ』
●●『僕は探偵社に来てから
初めて乱歩先生に会った』
●●『一言で言うと自由奔放な変人
とてもだけど、僕と1個違い
には見えなかったかな』
●●『…でもその変人のもたらす
影響は僕の姿を明るく
照らした、まるでまばゆい
光を放つ一等星のように』
敦「一等星…」
●●『乱歩先生は異能力者じゃない
でもこの力は、この人は
異能力者なんかよりも強い』
●●『だから僕は常に一等星が
1番輝ける環境を作り上げる』
●●『僕は乱歩先生の為なら
なんだってする』
●●『世界の敵になっても
乱歩先生と居られ
なくなっても』
●●『…なんてねw
冗談だよ、言い過ぎた』
敦「冗談…」
●●『言い過ぎたけどあの人の
為になりたいのはホント』
●●『乱歩先生には笑って
てほしいんだ』
敦「…」
敦は思った、本当に先程の
言葉は冗談なのか…と
どうやら敦は人の心の変化を
見るのが得意らしく、あの
言葉が冗談か、といわれると
少し違うように見えたのだ
敦「…あ」
そんなこんなで列車が
駅についた、どうも不思議な
時間を過ごしたなと心の
傍らで思いながら
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探偵社についた一同
すると事務所の作業場には
誰も居なかった、だが何ら
心配することはなく、各自持ち場や
やることをやっていただけである
帰宅に合わせるように国木田が
現れ、書類整理の労働力として敦を
連れていき、働きたくない太宰は
知らぬ間にどこかへと消えていた
乱歩はデスクで腕に顔をうずめ
寝息を立て残された●●は
乱歩を横目で見た後
夕暮れの空を眺めている
●●『なんだって…ね…』
太宰「考え事かい?」
●●『どこに消えて
どこから現れてんだよ』
太宰「なんだっていいじゃないか」
太宰「というかさっき敦くんと
話していた時、嘘ばかり
だったけど、ホントの
ことは教えてあげなくても
よかったのかい?」
太宰「大分矛盾して言い訳の
ようだったけど」
●●『やっぱ起きてたか』
●●『…言わないよ
僕は太宰じゃない』
●●『事実を知る人こそ数
少ないからね』
●●『あと言い訳じゃなく
ヒントさ、これから
ここに居るうえできっと
敦は気付くはず』
●●『…それに乱歩先生と
約束してしまった
もうあのようなことを
言わないこと』
●●『思い出したことが
バレればまた
怒られしまう』
●●『ホントに人間らしい
言動だと思わないかい?』
太宰「…●●」
太宰「互いに言う時は来てしまう
もの、君もバカじゃない
分かっているよね」
太宰「その時には潔く
なろうじゃないか、●●」
●●『…はいはい』
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