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元お嬢様は黒魔導士の専属メイド

#1

「元」お嬢様

「お腹空いたぁ~っ!!」
嫌なほど明るい空に、ありったけの思いを叫ぶ。
着ているビジューとフリルのたくさんついたお気に入りのドレスは汚れてしまっている。
私は、この魔法が使えて当たり前の世界でも有名な家、クゥランタ家の一人っ子。ユビワ・クゥランタだ。
そんな私が、なぜこんなゴミ箱だらけの裏路地にいるのか…。
私は、魔法が使えない。
それが理由で、家から追い出されてしまった。
追い出されて、2日が経過、餓死寸前です。
(う、走馬灯が…。)
頭の中で、父上と母上、飼い猫のシャウがぐるぐる回る。
(母上のつくるステーキが食べたいよぅ…!)
もう、限界…。
「ステーキ、グッバイ…」
遺言を残して、目を閉じる。
ゴンッ
不穏な音と同時に、頭がズキズキ痛くなる。
「いったぁっ!!」
目を開けると、嫌そうな顔をしてしゃがんでいる、全身真っ黒の男性が。
その綺麗な白い手には、パンが。
「あの、どなたでしょうか」
「とりあえず、これ食え」
そう言って、無理やり私の口にパンを詰め込む。
「ふぁふぅっ!?」
少々強引だけれど、パンを恵んでくれた。
(いい人~っ!)
パンを完食した私は、その人に聞く。
「なんで助けてくれたんですか?」
「お前の『おなか空いた』とかいう、食い意地張った声が街中に響いてんだよ」
なんと、そんなに声が大きかったのか…。
でも、結果オーライ!
「助けてくれてありがとうございますっ!」
「…どこの家だ?送る」
迷子だと思われているようだ。
「クゥランタのとこです。」
「そうか、…クゥランタ!?超有名な家じゃねぇか。捜索は?」
「あ~…。追い出されたんですよ。なので捜索もありません。」
「なにやらかしたんだ」
「魔法が使えないんです、私」
魔法が使えないと、学校でいじめられたりもした。
でもパンを恵んでくれたいい人がそんなことしないと信じて、全て打ち明ける。
「そうか…。大変だったな。じゃ」
それだけ残して、街のほうへ歩き出した。
「ちょっとぉぉ!!同情して終わりですかっ!?目の前で餓死寸前の可哀想な美少女がいるってのに!」
「自分で言うな」
私は、お兄さんの腕にしがみつく。
「助けてください~!!何でもするのでぇっ!!」
「何でも、するんだな?」
ニヤリと笑う、お兄さん。まるで、悪魔のように…。
「常識の範囲内で…、お願いします…。」
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このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

他に出しているのが全部恋愛小説なので、ファンタジーと、後々恋愛に発展するような物語も出してみました。
続くか分かりませんが、見てくれると嬉しいです。

2024/09/17 18:22

みこと ID:≫kpJo3MY4lNspo
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