負けたんだ。
あの子には勝てないこと、どこかでは知っていた。
一等賞は一人だけだってことも、分かっていた。
でも、敗北って言葉が出てくるたび、辛くて、怖くて。
あの子も大好き、あの子も大好きってしていくうちに、すごく怖くなる。
もし、また「負け」を覚えてしまったら。私はどうなるんだろう。
怯える心は、震えて溶ける。

だんだんと、現実が分かってきた。
負けた、勝ったっていうものが分かってきた。
でも、どうしてなんだろう、心が痛いよ。
痛くて痛くて、消えてしまいそう。いや、いっそそのまま消えてしまいたいぐらい。
知らない思いで、体が埋め尽くされていく。
言葉にできないのに、私は言葉でしか自分を伝えられないから。
行き場のない思いが、時間と一緒に溶けますように。
そう考えながら私は、一人で空を仰ぎます。