薫が駆けつけた時、八神家が管理する街に被害が出ていた。
家は壊され、人々は血を流し倒れている。
「八神家の当主か⁉いますぐ金を寄越せっ！じゃねェとこの女殺すぞ」
「薫様、私のことはお気にせず！」
盗賊のリーダー格だろう男は街の女性の髪を鷲掴みにして、首にナイフを突き立てている。
「・・・・・・目の前の金に目がくらみ、他人のことを平気で傷つけるような奴に、ウチの金なんかやれるか」
薫は腕を組み、そう言った。
その赤い瞳で男を睨んだ薫に、男は少し怯えた様子になる。
「八神家[漢字]管轄[/漢字][ふりがな]かんかつ[/ふりがな]の街に手を出したのが最後だ。この馬鹿が」