月桂冠にはなれなかったダフネ
___海の匂いは海で死んだ生物の死臭なんだって。
潮風を浴びていると遠い昔。友人というには付き合いが深くて、恋人というには淡白すぎる。微妙な距離感の男が置いて行った言葉をふと、思い出した。
何であのタイミングで言ったのかは知らないが、妙に神妙な顔で話すので真面目に聞いてた気がする。
その後のことは上手く思い出せないけど。
「ローナや、晩飯の時間だ」
「ん。分かった」
いつ背後に回っていたのか、祖母の嗄れ声に呼ばれて返事をする。
立ち上がってベランダから家の中に入ると味噌汁と焼き魚の匂いがした。
今日はちょっと豪華だね、なんて言いながら焼き魚をつつくと「お前の門出だからね」と、返答があった。
それは嬉しい。
とは、素直に言葉にはせずに「そっか」とだけ答えてご飯を食べた。
これが16歳になって、初めての晩餐だった。
[中央寄せ]△▼△[/中央寄せ]
聞いても信じてくれなさそうだから誰にも言ったことは無かったが、私には前世の記憶がある。
一言でいうなら社畜。
1日中、仕事仕事仕事仕事とご飯と仕事仕事で埋め尽くされたつまらない人生だった。
だがしかし、どんな人生にも楽しみはある、と言いますよね。その楽しみが私の場合は読書だった。
読書と言ったが勿論、漫画も読む。
そして最近ハマっていたのが「マッシュル」という漫画だった。
何処ぞのほぼ小説みたいな漫画と違って、内容はわかりやすく、なんでもグーパンで解決してくれたので読むだけでスカッとする。
そのことを知人Sに話したら「人生に疲れてんの?」と問われた。そうかも知れない。
だから通り魔に刺された時も、携帯に手を伸ばさず助けも呼ばずに死を待った。
多分、私が死んだのは半分くらい通り魔のせいでもあり、半分くらい私のせいでもある。
やったね。罪の半分子だ!ウレシクネー
そんな感じで半分くらい自殺で死んだんだけど、なぜか私は赤ちゃんになっていた。
わかりやすい言えば転生、人生2週目である。
「自殺って地獄行きじゃなかったけ?」という疑問は捨て置き、私には二度目の[漢字]人生[/漢字][ふりがな]これ[/ふりがな]を神様からの贈り物と思う事にした。
都合のいい時だけ神様を信じてしまう自分の単純さに呆れたが、今度こそ上手くやって、楽しい生活を送れと言われているのだと私は思った。
別に前の人生に未練があった訳ではない。けど、苦労ばっかりの連続で嫌になってしまっていたのも事実。
だから今度こそ、ホワイト企業に就職して社畜回避して、休日に読書仕放題の生活を!
「可哀想に。生まれつき3本線だなんて……神様に愛され過ぎたんだね」
なんの話だよと思った。でも、「3本線」という聞き覚えのある単語にもしかして……と期待を寄せて私に語りかける老婆を見た。
外国の血を感じる深い顔立ちに、刻まれる深いシワと一筋の黒い線。
これってもしかして……いやいや、この老婆だけで判断するのは………
次は近くにあった窓を見た。
そこにはラノベでよく見るいかにも町娘という感じにの女の子が箒に乗って空を飛んでいた。そしてやっぱり顔には黒い線。
いやもうコレは確定では……
今度は鏡に映った自分を見た。
そこにはターコイズブルーの瞳の赤ちゃんがいて、やっぱり頬には魔力を表す黒い線が3本………
マッシュルかよ!そして、レイン・エイムズの三本線最年少記録を奪ってどうすんだよ!
と、思わず未完成の声帯で叫んだ。
それから私、ローナ・インテレッセの人生は始まった。
潮風を浴びていると遠い昔。友人というには付き合いが深くて、恋人というには淡白すぎる。微妙な距離感の男が置いて行った言葉をふと、思い出した。
何であのタイミングで言ったのかは知らないが、妙に神妙な顔で話すので真面目に聞いてた気がする。
その後のことは上手く思い出せないけど。
「ローナや、晩飯の時間だ」
「ん。分かった」
いつ背後に回っていたのか、祖母の嗄れ声に呼ばれて返事をする。
立ち上がってベランダから家の中に入ると味噌汁と焼き魚の匂いがした。
今日はちょっと豪華だね、なんて言いながら焼き魚をつつくと「お前の門出だからね」と、返答があった。
それは嬉しい。
とは、素直に言葉にはせずに「そっか」とだけ答えてご飯を食べた。
これが16歳になって、初めての晩餐だった。
[中央寄せ]△▼△[/中央寄せ]
聞いても信じてくれなさそうだから誰にも言ったことは無かったが、私には前世の記憶がある。
一言でいうなら社畜。
1日中、仕事仕事仕事仕事とご飯と仕事仕事で埋め尽くされたつまらない人生だった。
だがしかし、どんな人生にも楽しみはある、と言いますよね。その楽しみが私の場合は読書だった。
読書と言ったが勿論、漫画も読む。
そして最近ハマっていたのが「マッシュル」という漫画だった。
何処ぞのほぼ小説みたいな漫画と違って、内容はわかりやすく、なんでもグーパンで解決してくれたので読むだけでスカッとする。
そのことを知人Sに話したら「人生に疲れてんの?」と問われた。そうかも知れない。
だから通り魔に刺された時も、携帯に手を伸ばさず助けも呼ばずに死を待った。
多分、私が死んだのは半分くらい通り魔のせいでもあり、半分くらい私のせいでもある。
やったね。罪の半分子だ!ウレシクネー
そんな感じで半分くらい自殺で死んだんだけど、なぜか私は赤ちゃんになっていた。
わかりやすい言えば転生、人生2週目である。
「自殺って地獄行きじゃなかったけ?」という疑問は捨て置き、私には二度目の[漢字]人生[/漢字][ふりがな]これ[/ふりがな]を神様からの贈り物と思う事にした。
都合のいい時だけ神様を信じてしまう自分の単純さに呆れたが、今度こそ上手くやって、楽しい生活を送れと言われているのだと私は思った。
別に前の人生に未練があった訳ではない。けど、苦労ばっかりの連続で嫌になってしまっていたのも事実。
だから今度こそ、ホワイト企業に就職して社畜回避して、休日に読書仕放題の生活を!
「可哀想に。生まれつき3本線だなんて……神様に愛され過ぎたんだね」
なんの話だよと思った。でも、「3本線」という聞き覚えのある単語にもしかして……と期待を寄せて私に語りかける老婆を見た。
外国の血を感じる深い顔立ちに、刻まれる深いシワと一筋の黒い線。
これってもしかして……いやいや、この老婆だけで判断するのは………
次は近くにあった窓を見た。
そこにはラノベでよく見るいかにも町娘という感じにの女の子が箒に乗って空を飛んでいた。そしてやっぱり顔には黒い線。
いやもうコレは確定では……
今度は鏡に映った自分を見た。
そこにはターコイズブルーの瞳の赤ちゃんがいて、やっぱり頬には魔力を表す黒い線が3本………
マッシュルかよ!そして、レイン・エイムズの三本線最年少記録を奪ってどうすんだよ!
と、思わず未完成の声帯で叫んだ。
それから私、ローナ・インテレッセの人生は始まった。
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