めろんぱーかーは無理難題を背負いながらも、立ち上がりたい。
side 氷空
「........氷空くん、今日はもう終わりましょう?もう足が疲れちゃってるわ。」
必死に歩くリハビリをしている僕の隣で、付添の看護師の人が少し表情を曇らせてそう言う。
僕は、まだまだ、と流すようにそう言い放ち、スロープを歩き続ける。
..................早く、誰の手も借りずに歩けるようになりたい....
「じゃあもう、あと1周したら終わってちょうだいね?........逆に、足が動きにくくなってしまうわ。」
僕は気前の悪い返事をして、再び足を動かした。
[水平線]
ドンッ
一瞬の出来事だった。気づけばそこは知らない天井で。
何があったかは、なんとなく察することはできていたけど、どこか信じたくない自分が居て.........
静かに話す母親の声が、僕の背筋を凍らせるようにして流れすぎていく。
"下半身不随"
それは、僕のすべてを奪っていった。
僕は昔から走ることが大好きで、運動会のリレーなんかはいっつもアンカーだったし、体を動かすこと自体も心の底から大好きだった。
母親から聞いた話、事故を起こしたのは1台の車で、居眠り運転をしていて僕の居た道路につっこんできたらしい。
いつもの僕の力を発揮できたなら、それに気づいた瞬間走って車の来ない場所へ移動できた。.................でも、できなかった。
僕の後ろに、赤ちゃんを抱っこした男の子が居たから。
つっこんでくる.......!
そう分かった瞬間、僕はその2人に逃げてというだけ言って、そのまま..........
.........ああ、やだやだ。
「そらくーん!」
どこからか、威勢の良い声が聞こえる。まさかと思い首をくるっと回転させ振り向くと、かいとさんと、車椅子の乗ったひとりの男の子が居た。一瞬僕と同じ症状なのかな、とも思ったけど、なんだか違いそう。
誰なのだろうという事を気になりながらも、僕は車椅子に腰掛け、2人のもとへ向かった。
「かいとさん..!久しぶり!元気だった..?」
僕はできるだけ笑ってそう言って見せた。
「ああ。.......今日は、そらくんに紹介したい人が居て..」
かいとさんはちらっとその男の子の方を向く。
.........わあ、近くで見るとオーラがすごい.....
「はじめましてー!かもめです!えっと、氷空くん...だっけ。よろしくね!」
あれ、意外。
どこかクールな印象を与える塩顔からは考えられないくらいに、かもめ..さんは、明るくはつらつな性格だった。
「......え、っと。そ、氷空です...よろしくお願いします..」
昔からそう。初対面の人と顔合わせをするときは、必ずコミュ障を発動して敬語になってしまう。
なろ屋さんとかいとさんとのっきさんのときも.....意外と挙動不審になっていた。
「ふは、敬語外していいよ..それより、そらちゃんもうリハビリ終わっちゃう?」
................え。
「.......ちゃん..?」
...いやいや。最初君付けしてくれたんだから女の子だと間違われているはずはない。
「あ、だめだった?なろぴがそう呼んでたから.........」
なろぴ........なろ屋さんのことかな..?
全然、僕はちゃん呼びに嫌だなんて感じない。
「あ、ぜ、全然大丈夫..!.....僕はかもめさんって呼んでもいい?」
そう言うと、かもめさんはにっこりと笑って、もちろん!と返事をした。
「あ、いたいた。おーい、3人ともー!」
遠くでそう呼ぶ声が聞こえる。......なろ屋さんだ。
そういえば、なろ屋さんが居なかったことを思い出す。
なろ屋さんがこっちに駆け寄ってきた瞬間に、かいとさんは数量の冷や汗をかきながらこう訴えた。
「っ、あ、なろっち..!!....のっきたん..どうだったか..?」
...........のっきさん?そういえば、居ない.....
なろ屋さんは、急にお仕掛けてきたかいとさんにびっくりする様子だった。
「うわかいてぃー!?.......あ、のきはちょっと....今、諸事情で居ないんだって。」
............諸事情?
かもめさんも同じことを思ったのか、こう言った。
「諸事情?なんのだ?」
「........んー..わかんないや。」
かもめさんは、頭の上にはてなを浮かべたまま。
......確かに、どうしたんだろう。
「てか、そらちゃんとかもめん合致できたんだね、よかったよ。」
なろ屋さんは、話を360°回転させて話を進めた。
「ああ。そらちゃん呼びの交渉もばっちり」
かもめさんは、少し不敵な笑みを浮かべてそう言った。
なに怖いんだけど。
「え、かもめんはそらちゃん呼びなんだw」
なろ屋さんはふはっと吹き出してそういう。
この楽しい雰囲気をぶち壊すように、僕の付き添いの看護師さんは声をかけた。
「氷空くん。今ラメリィさんから連絡があって、ちょっと聞きたいことがあるらしいの。...ごめんだけど、かもめくんたちは病室に戻ってもらえるかしら?」
なんで今なんだよと反発したいところだけど、ラメリィさんが言うなら仕方がない。
僕は、みんなごめんねと小さくお辞儀をして、そのままリハビリルームをあとにした。
「........氷空くん、今日はもう終わりましょう?もう足が疲れちゃってるわ。」
必死に歩くリハビリをしている僕の隣で、付添の看護師の人が少し表情を曇らせてそう言う。
僕は、まだまだ、と流すようにそう言い放ち、スロープを歩き続ける。
..................早く、誰の手も借りずに歩けるようになりたい....
「じゃあもう、あと1周したら終わってちょうだいね?........逆に、足が動きにくくなってしまうわ。」
僕は気前の悪い返事をして、再び足を動かした。
[水平線]
ドンッ
一瞬の出来事だった。気づけばそこは知らない天井で。
何があったかは、なんとなく察することはできていたけど、どこか信じたくない自分が居て.........
静かに話す母親の声が、僕の背筋を凍らせるようにして流れすぎていく。
"下半身不随"
それは、僕のすべてを奪っていった。
僕は昔から走ることが大好きで、運動会のリレーなんかはいっつもアンカーだったし、体を動かすこと自体も心の底から大好きだった。
母親から聞いた話、事故を起こしたのは1台の車で、居眠り運転をしていて僕の居た道路につっこんできたらしい。
いつもの僕の力を発揮できたなら、それに気づいた瞬間走って車の来ない場所へ移動できた。.................でも、できなかった。
僕の後ろに、赤ちゃんを抱っこした男の子が居たから。
つっこんでくる.......!
そう分かった瞬間、僕はその2人に逃げてというだけ言って、そのまま..........
.........ああ、やだやだ。
「そらくーん!」
どこからか、威勢の良い声が聞こえる。まさかと思い首をくるっと回転させ振り向くと、かいとさんと、車椅子の乗ったひとりの男の子が居た。一瞬僕と同じ症状なのかな、とも思ったけど、なんだか違いそう。
誰なのだろうという事を気になりながらも、僕は車椅子に腰掛け、2人のもとへ向かった。
「かいとさん..!久しぶり!元気だった..?」
僕はできるだけ笑ってそう言って見せた。
「ああ。.......今日は、そらくんに紹介したい人が居て..」
かいとさんはちらっとその男の子の方を向く。
.........わあ、近くで見るとオーラがすごい.....
「はじめましてー!かもめです!えっと、氷空くん...だっけ。よろしくね!」
あれ、意外。
どこかクールな印象を与える塩顔からは考えられないくらいに、かもめ..さんは、明るくはつらつな性格だった。
「......え、っと。そ、氷空です...よろしくお願いします..」
昔からそう。初対面の人と顔合わせをするときは、必ずコミュ障を発動して敬語になってしまう。
なろ屋さんとかいとさんとのっきさんのときも.....意外と挙動不審になっていた。
「ふは、敬語外していいよ..それより、そらちゃんもうリハビリ終わっちゃう?」
................え。
「.......ちゃん..?」
...いやいや。最初君付けしてくれたんだから女の子だと間違われているはずはない。
「あ、だめだった?なろぴがそう呼んでたから.........」
なろぴ........なろ屋さんのことかな..?
全然、僕はちゃん呼びに嫌だなんて感じない。
「あ、ぜ、全然大丈夫..!.....僕はかもめさんって呼んでもいい?」
そう言うと、かもめさんはにっこりと笑って、もちろん!と返事をした。
「あ、いたいた。おーい、3人ともー!」
遠くでそう呼ぶ声が聞こえる。......なろ屋さんだ。
そういえば、なろ屋さんが居なかったことを思い出す。
なろ屋さんがこっちに駆け寄ってきた瞬間に、かいとさんは数量の冷や汗をかきながらこう訴えた。
「っ、あ、なろっち..!!....のっきたん..どうだったか..?」
...........のっきさん?そういえば、居ない.....
なろ屋さんは、急にお仕掛けてきたかいとさんにびっくりする様子だった。
「うわかいてぃー!?.......あ、のきはちょっと....今、諸事情で居ないんだって。」
............諸事情?
かもめさんも同じことを思ったのか、こう言った。
「諸事情?なんのだ?」
「........んー..わかんないや。」
かもめさんは、頭の上にはてなを浮かべたまま。
......確かに、どうしたんだろう。
「てか、そらちゃんとかもめん合致できたんだね、よかったよ。」
なろ屋さんは、話を360°回転させて話を進めた。
「ああ。そらちゃん呼びの交渉もばっちり」
かもめさんは、少し不敵な笑みを浮かべてそう言った。
なに怖いんだけど。
「え、かもめんはそらちゃん呼びなんだw」
なろ屋さんはふはっと吹き出してそういう。
この楽しい雰囲気をぶち壊すように、僕の付き添いの看護師さんは声をかけた。
「氷空くん。今ラメリィさんから連絡があって、ちょっと聞きたいことがあるらしいの。...ごめんだけど、かもめくんたちは病室に戻ってもらえるかしら?」
なんで今なんだよと反発したいところだけど、ラメリィさんが言うなら仕方がない。
僕は、みんなごめんねと小さくお辞儀をして、そのままリハビリルームをあとにした。
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