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　今日はついに文化祭。

「なろ屋さんっ。今日楽しみですねっ！」

　気持ちが昂ってしまい、近くに立っていたなろ屋さんに感情を明らかにして話しかけてしまった。先ほどのテンションとは違って、おかしなことを言ってしまったかもしれないと不安感に襲われる。

「いつもに増して上機嫌だね〜っ！ってことで〜。」　ギュッ

　予想外の反応に、変な上ずった声が出る。ここ最近は、誘拐されたことも相まって私のことをさらにみんな甘やかしている気がしてならない。

「あっ。今日夜瑠ちゃんと文化祭回りたいんですけど、いいですか？」

　そうみんなに訊くと、かいとさんとかもめさんが一瞬だけ表情が固まった。もしかして、言ってはいけない言葉だったのだろうか。

「それは、私達とは回ってくれないってことなんですか？」

　のっきさんが不機嫌そうに言う。私は慌てて「えっ、違いますよ？みなさんとも回りますよ！」と言葉を返した。勘違いさせてしまい申し訳ないという気持ちが少しだけ私の心の中を回る。

「ん〜、大好き〜。」　ギュッ

　そらちゃんが私に対してぎゅっと抱きつく。

「わっ、そらくんっ...！」
「絶対やで〜、○○！」
「はい、もちろんです！」

　翔さんに念を押されたあと、私はみんなに見送られ夜瑠ちゃんのもとへと急いだ。

＿教室＿

「おはようございますっ。」

　私はいつもより少し大きな声で挨拶をする。そしていつものようにクラスメイトたちとも挨拶をする。

「夜瑠ちゃん、おはようっ。」

　夜瑠ちゃんにも声をかける。

「っ、あ、●●ちゃんっ。おはよう....！」

　少しだけ戸惑って返事をする夜瑠ちゃんのことが少しかわいいと思ってしまう。

「あのねっ。今日文化祭一緒に回らない...？」

　断られるかもしれないという不安な気持ちを抑えて、夜瑠ちゃんに訊く。断られたら最初からなろ屋さんたちと一緒に回るつもりだ。

「えっ、いいの？じゃあ...1回目の休憩の時でいいかな？」

　1回目の休憩は約30分、2回目の休憩は約1時間半。それにしてもなぜ、夜瑠ちゃんはわざわざ短い方を選んだのだろう。もしかしてだが、私がなろ屋さんたちと回るだろうということを理解して1回目にしてくれたのだろうか。ありがとうと心の中で感謝すると当時に実行委員会の人が衣装に着替えろ、と指示を出した。

＿開始＿

実行委員「絶対成功させるぞー！3年1組ー！」
クラスメイト「えいえいおー！！！」

　みんなで円陣を組んで力強く掛け声を発する。成功するように祈り、協力しよう。カフェがオープンすると、たくさんの人が教室前に立っていた。すごい人数で圧巻だ。高校3年生にもなって初めて文化祭でこんなにも人に向かって貢献する。私も仕事をしなければならないのを思い出し、満面の笑みで私もお客様に向かって言葉を投げかける。

「いらっしゃいませ！お好きな席どうぞ！」

　私が案内したのは、3人組の女子高校生。「うっ...」などと奇声を上げながら教室内へと入っていった。何かしてしまったのだろうか、と少し心配になる。次こそは気分を悪くさせないようにと心がけ次のお客様にも声をかけた。

＿数十分後＿

「いらっしゃ...あっ...。」
「来たよ、○○！」

　やっと、私の大好きな人たちが私の教室に足を運んでくれた。