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ぼっちケーション

#16


「部長! 魔力全部吸い取りました!」
 真壁さんが手を上にして魔力のオーラを引っ張り上げる。力業だ~~よいしょ~~!
 桜川先輩は腕をクルクルしながら詠唱を始める。
「我、力欲する。右手に宿るは、剛の鉄槌。非力な我にその力を与え給え。アイアンインパクトーーーーーー!」
 ドゴオオオオオオン! 魔力のオーラに魔力の塊みたいなものが衝突して、周囲に轟音が発生した。
 か、かっけええええええ!
 あの、きゃわうぃ~動きからこんなパゥワーな魔法が拝めるなんてな!
「わ、わしのアルティメットヘアーは、果たして無事なのか~~~~~~!?」
 校長が顔を蒼白にして、叫ぶ。心底どうでもいいな。どこかに吹き飛んでんじゃね?
 やがて魔力のオーラがたちまち消失した後、その空間に静けさがやってくる。あ、隅っこの方にアルティメットヘアーが落っこちてら。
「アルティメットヘアアアアアアア!」
 校長は老体とは思えぬ身のこなしでアルティメットヘアーに飛びつく。速えなオイ。今からオリンピックとか目指してもいいんじゃないか?
「ふい~もうクタクタだよ~」
 桜川先輩は手前のソファにボフンと腰掛けて脱力した声を出す。
「ええ。私も大分魔力を消費しました」
 真壁さんはあまり表情からは窺えないが疲れてそうな声を出す。
 つかマジで俺出番なかったな。校長黙らせてただけだったわ。
「お疲れ様っす。お二人とも」
 俺は労いの言葉を掛ける。
「ありがと~」
 桜川先輩は脱力したまま片手をヒラヒラする。出し尽くした感あんなあ。
「何か飲み物をお願いします」
 真壁さんは汗をハンカチでふきふきしながら片手を俺に差し出す。ナチュラルにパシんなって。
「魔法部諸君」
 いつの間にかアルティメットヘアーを装着した校長が俺達に向かって声を掛けてきた。
「我が校では魔法によるトラブルが後を絶たん。毎回毎回感謝するぞい」
 校長は、ふうと息をつく。
「生徒たちには中々表立って公表できんのが煩わしいわい」
 桜川先輩はニコリとする。
「大丈夫ですよ。本来魔法ってそういうものですから」
 真壁さんがキリッとする。
「悪用されても困りますから」
「ウムウム。それでじゃが、君も魔法部の一員なのかね?」
 校長が俺に向かって言う。俺は何とはなしに頷く。
「そうっすよ」
 校長はウムともう一度頷き、口を開いた。
「ではチミにも、また話しておかねばな。魔法部というものについて」
 アルティメットヘアーをファサアと掻き上げながら校長が決めてくる。ちょっちずれてっぞ。
 魔法部についてか。それは気になるからまた話を聞いてみようじゃねえの。あと何がチミだよ。

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作者メッセージ

アイアンインパクトによりアルティメットヘアー撃退! 凄えーー! 俺の出番はまだあるのか? ないのか? 次もよろしくです~。

2024/10/27 17:55

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