蛇の妹
〜前回のあらすじ〜
不良達をフルボッコだドン!にしていたら、まさかの“お兄ちゃん”とその神様が到来!気まずさ限界突破!
「……」
「……」
『……』
悪いけど、これ以上のことはもう一回読み直してね〜。なんて現実逃避をしながら夏場の紫外線よりも痛い視線を受けている今日この頃。
アッー嫌だ嫌だ。生理的に無理な棪堂 哉真斗に出来るだけ関わらないように、母が離婚するまでの9ヶ月間過ごすつもりだったのに……興味を持たれる可能性が高い暴行現場をしっかり見られるって何?
今日までの努力が水の泡だが???ハァーっと、ため息をつきながら後ろにいるであろう友人2人をチラッと見る。
でも、そこには光季くんも綾門くんも居ない。
くっそ、あの2人早々に逃げやがったな。今度仕事のときは倍の金額要求してやろう。
そんなことを考えていたら、今まで新手の人形かっ?ってぐらい動かなかった焚石 矢がナチュラルに不良中学生を踏みつけてこっちに歩いてきた。
すぅーっと伸ばされた手をさりげなく後ろに避けて、室外機に腰掛ける。そうすると焚石 矢も転がってる不良中学生を踏みつけながらこっちに近づいてくる。
人を踏みつけるな、こっちくんな、腕掴むな!と、怒涛のツッコミを放棄しながら私の腕を掴む手をはたき落とした。それでも掴もうとする手をペシペシと叩く。
側から見たら猫のじゃれ合いみたいだけど、こいつ掴もうとする力が強い。しかも痛い。辞めろの意味も込めて相手の手首を掴むけど、満更でもないような顔されてムカついたので、離したらまた掴まれた。
痛いのでペチペチしつつも、焚石 力を観察する。
燃えるような赤毛と顔立ちは綺麗だけど、手は小学生と思えない拳ダコがある。うーん、ヤンチャ(レベル100)の気配を感知。
さっさと帰りたいなー
だけど此処で逃げたらもっとややこしくなる気配がするなぁーめんどくせー
[中央寄せ]⌘[/中央寄せ]
『手、邪魔です』
「……」
じゃれ付く猫を嗜めるような温度感で、焚石の手を叩く女。まぁ、焚石は猫というより豹とかって言われた方が納得するんだけど。
女の名前は[漢字]真鶴[/漢字][ふりがな]まなづる[/ふりがな] [漢字]澪[/漢字][ふりがな]みお[/ふりがな]。現在は親が再婚して、書類上は哉真斗の妹となっている。
第一印象は顔はいいけど、弱そう。ついに足綺麗ってぐらい。
足哉真斗は弱いものには興味がないので、同じ家で住むための最低限の関わりしかない本当に形だけの妹だった。
澪も怖がっているのか慣れないのか、哉真斗には近づかなかった。何もしてこないなら、何もする必要はない。
ふとした瞬間に存在すらも忘れてしまうような、どうでもいい存在。
そんな存在が酷く輝いて存在を主張し始めたのは数分前。
いつものように学校が終わって焚石の後を付いて歩いていた(※ストーカー)いたら、焚石が突然進路を変更して裏路地に入っていった。
まぁいつものことなので特に気にするでもなく、一緒に入った。そこには書類上の妹である澪がいた。
押さえつけられていてたので、一瞬助けてやろうか迷ったけど澪はその一瞬で押さえつけていた不良どもを蹴散らした。
喧嘩というより蹂躙とう言葉が似合う暴れっぷりで、素早く転がしていく姿は見ていて気持ちがいい。
焚石のような荒々しい暴力ではない。洗練された蹴りで薙ぎ払っていくような綺麗ななもの。
そしてなによりあの表情。
感情が抜け落ちた人形のような顔をしているのに、あの瞳だけは酷い殺気がこもっていた。見つめられたら全身の血液が逆流しそうな鋭い眼光は家や学校で見せることのない、澪の“本心”。
新しい服だと笑ったあの笑顔も、算数が苦手だと言ったあの言葉も、不自然ではないし嘘もついていなかった。なのに、喉に小骨が引っ掛かったような違和感を覚えていた。
それが“本心”の形が見えないように布一枚挟んだような、澪独特の距離感が違和感の正体だった。
「ヒッヒッヒ!」
ああ、いけねぇ。
澪の“本心”を隠すその布が取っ払われた生の感情を味わう想像をしてしまっただけで笑いが込み上げてくる。
ゴミどもに向けていた澪の美しい蹴りを、突き刺さる視線を、切り裂くような感情を浴びてみたい。
澪はそんな様子の可笑しい哉真斗をちらっと一瞬見ただけで何も言わなかった。代わりに、大きなため息一つ吐いてから言葉を紡いだ。
『全部を話すのは時間が掛かるんで手短に今後についてだけ話しましょう』
不良達をフルボッコだドン!にしていたら、まさかの“お兄ちゃん”とその神様が到来!気まずさ限界突破!
「……」
「……」
『……』
悪いけど、これ以上のことはもう一回読み直してね〜。なんて現実逃避をしながら夏場の紫外線よりも痛い視線を受けている今日この頃。
アッー嫌だ嫌だ。生理的に無理な棪堂 哉真斗に出来るだけ関わらないように、母が離婚するまでの9ヶ月間過ごすつもりだったのに……興味を持たれる可能性が高い暴行現場をしっかり見られるって何?
今日までの努力が水の泡だが???ハァーっと、ため息をつきながら後ろにいるであろう友人2人をチラッと見る。
でも、そこには光季くんも綾門くんも居ない。
くっそ、あの2人早々に逃げやがったな。今度仕事のときは倍の金額要求してやろう。
そんなことを考えていたら、今まで新手の人形かっ?ってぐらい動かなかった焚石 矢がナチュラルに不良中学生を踏みつけてこっちに歩いてきた。
すぅーっと伸ばされた手をさりげなく後ろに避けて、室外機に腰掛ける。そうすると焚石 矢も転がってる不良中学生を踏みつけながらこっちに近づいてくる。
人を踏みつけるな、こっちくんな、腕掴むな!と、怒涛のツッコミを放棄しながら私の腕を掴む手をはたき落とした。それでも掴もうとする手をペシペシと叩く。
側から見たら猫のじゃれ合いみたいだけど、こいつ掴もうとする力が強い。しかも痛い。辞めろの意味も込めて相手の手首を掴むけど、満更でもないような顔されてムカついたので、離したらまた掴まれた。
痛いのでペチペチしつつも、焚石 力を観察する。
燃えるような赤毛と顔立ちは綺麗だけど、手は小学生と思えない拳ダコがある。うーん、ヤンチャ(レベル100)の気配を感知。
さっさと帰りたいなー
だけど此処で逃げたらもっとややこしくなる気配がするなぁーめんどくせー
[中央寄せ]⌘[/中央寄せ]
『手、邪魔です』
「……」
じゃれ付く猫を嗜めるような温度感で、焚石の手を叩く女。まぁ、焚石は猫というより豹とかって言われた方が納得するんだけど。
女の名前は[漢字]真鶴[/漢字][ふりがな]まなづる[/ふりがな] [漢字]澪[/漢字][ふりがな]みお[/ふりがな]。現在は親が再婚して、書類上は哉真斗の妹となっている。
第一印象は顔はいいけど、弱そう。ついに足綺麗ってぐらい。
足哉真斗は弱いものには興味がないので、同じ家で住むための最低限の関わりしかない本当に形だけの妹だった。
澪も怖がっているのか慣れないのか、哉真斗には近づかなかった。何もしてこないなら、何もする必要はない。
ふとした瞬間に存在すらも忘れてしまうような、どうでもいい存在。
そんな存在が酷く輝いて存在を主張し始めたのは数分前。
いつものように学校が終わって焚石の後を付いて歩いていた(※ストーカー)いたら、焚石が突然進路を変更して裏路地に入っていった。
まぁいつものことなので特に気にするでもなく、一緒に入った。そこには書類上の妹である澪がいた。
押さえつけられていてたので、一瞬助けてやろうか迷ったけど澪はその一瞬で押さえつけていた不良どもを蹴散らした。
喧嘩というより蹂躙とう言葉が似合う暴れっぷりで、素早く転がしていく姿は見ていて気持ちがいい。
焚石のような荒々しい暴力ではない。洗練された蹴りで薙ぎ払っていくような綺麗ななもの。
そしてなによりあの表情。
感情が抜け落ちた人形のような顔をしているのに、あの瞳だけは酷い殺気がこもっていた。見つめられたら全身の血液が逆流しそうな鋭い眼光は家や学校で見せることのない、澪の“本心”。
新しい服だと笑ったあの笑顔も、算数が苦手だと言ったあの言葉も、不自然ではないし嘘もついていなかった。なのに、喉に小骨が引っ掛かったような違和感を覚えていた。
それが“本心”の形が見えないように布一枚挟んだような、澪独特の距離感が違和感の正体だった。
「ヒッヒッヒ!」
ああ、いけねぇ。
澪の“本心”を隠すその布が取っ払われた生の感情を味わう想像をしてしまっただけで笑いが込み上げてくる。
ゴミどもに向けていた澪の美しい蹴りを、突き刺さる視線を、切り裂くような感情を浴びてみたい。
澪はそんな様子の可笑しい哉真斗をちらっと一瞬見ただけで何も言わなかった。代わりに、大きなため息一つ吐いてから言葉を紡いだ。
『全部を話すのは時間が掛かるんで手短に今後についてだけ話しましょう』
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