スノードロップ、そしてマリーゴールドへ
「………」
もちろん死ぬのは怖い。
でも、あの時。
九条先輩を初めて見た時、"かっこいい"と思ってしまった。
俺の小さい頃からの夢だ。
[漢字]勇者[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]になって、人を助ける。
なんて幼稚な夢だろうか。なんだよ[漢字]勇者[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]って。居るわけないだろ。できるわけないだろ。
[漢字]勇者[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]なんてただの幻想。
そう思っていた。
「俺、やります。呪術師」
夜蛾さんは心底驚いた顔をする。
九条先輩は「やっぱりな」とでもいうように笑う。
「…そうか。何故だ?」
夜蛾さんが言う。面接官みたいだなと思う。
きっと理由によっては不合格なんだろうな。
でもそんなの知らない。
俺は俺の本心を述べるだけだ。
「…小さい頃から俺は、[漢字]勇者[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]になりたいって、本気で思ってた」
「だから小学校ではずっと努力して、賞も取って、大きいテストも一位取って、そんで、俺は凄いんだって」
「だけど中学に上がったら、もっと凄い人が沢山いて、俺の夢は馬鹿げてるって言われて、「ああ、俺なんかには無理だったんだな」って。「俺は所詮ただの脇役なんだ」って凹んで、諦めかけて」
「でも今、目の前に俺のための[漢字]舞台[/漢字][ふりがな]幻想[/ふりがな]が用意されてる」
多分これが最後のチャンスなんだ。
もう一度夢を見れる。もう一度[漢字]勇者[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]を目指せる。
「俺だけは[漢字]俺[/漢字][ふりがな]夢[/ふりがな]を否定したくない」
「…九条、寮の案内をしてやれ。それから諸々のセキュリティの説明もな」
「アイアイサー、夜蛾[漢字]先生[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな](笑)」
「え…」
「合格だ。ようこそ呪術高専へ」
ああ、この人達は俺の夢を肯定してくれる。
思わず笑みが溢れてしまった。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
「いやー感動したわ。参りやした」
そう言って九条先輩は両手を上げ、降参のポーズを取る。
「恥ずいんでやめてください」
「はは、ごめんごめん」
心にも無さそうな謝罪を貰う。
「でも本心だよ。私はそんな立派な理由なんて無かった」
「やっぱ先輩もあんなふうに面接、というか…やったんですか?」
「おう、やったやった。1回だけ不合格食らったんだけどねー」
「え"何言ったんすか」
「金目当てですって」
「うわ言いそう…」
「引くなよ傷つくだろ」
合格をもらった時の理由も気になったけれど、先輩はそれ以上話す気はないと言うふうに会話を切った。
だからそんな考えは頭の隅に押しやった。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
「ハイこちらが高専の寮になりまーす‼︎」
「超ガラッガラだから好きなとこ選んで良いよ。一応私ここ」
と、1番手前の部屋を指さす。
「遠いとめんどくさいからさー」
「なんでこんなにガラガラなんですか?生徒の方もまだ先輩しか…」
「あれ、言わなかったっけ?」
「この高専の生徒、私と君しかいないよ」
「は⁇」
「えだから、2人しかいないんだって」
「じゃあ先輩1人だったんすか⁉︎」
「そうだよ、悲しかったなー」
「ええ…なんでこんな少ないんですか…」
「じゃあさ、君今まで呪いが見える人に会ったことある?」
「あ、無い…」
「そゆことよ」
「ま、おかげで年中人手不足なんだけどなクソ!」
「まあまあ…」
もちろん死ぬのは怖い。
でも、あの時。
九条先輩を初めて見た時、"かっこいい"と思ってしまった。
俺の小さい頃からの夢だ。
[漢字]勇者[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]になって、人を助ける。
なんて幼稚な夢だろうか。なんだよ[漢字]勇者[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]って。居るわけないだろ。できるわけないだろ。
[漢字]勇者[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]なんてただの幻想。
そう思っていた。
「俺、やります。呪術師」
夜蛾さんは心底驚いた顔をする。
九条先輩は「やっぱりな」とでもいうように笑う。
「…そうか。何故だ?」
夜蛾さんが言う。面接官みたいだなと思う。
きっと理由によっては不合格なんだろうな。
でもそんなの知らない。
俺は俺の本心を述べるだけだ。
「…小さい頃から俺は、[漢字]勇者[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]になりたいって、本気で思ってた」
「だから小学校ではずっと努力して、賞も取って、大きいテストも一位取って、そんで、俺は凄いんだって」
「だけど中学に上がったら、もっと凄い人が沢山いて、俺の夢は馬鹿げてるって言われて、「ああ、俺なんかには無理だったんだな」って。「俺は所詮ただの脇役なんだ」って凹んで、諦めかけて」
「でも今、目の前に俺のための[漢字]舞台[/漢字][ふりがな]幻想[/ふりがな]が用意されてる」
多分これが最後のチャンスなんだ。
もう一度夢を見れる。もう一度[漢字]勇者[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]を目指せる。
「俺だけは[漢字]俺[/漢字][ふりがな]夢[/ふりがな]を否定したくない」
「…九条、寮の案内をしてやれ。それから諸々のセキュリティの説明もな」
「アイアイサー、夜蛾[漢字]先生[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな](笑)」
「え…」
「合格だ。ようこそ呪術高専へ」
ああ、この人達は俺の夢を肯定してくれる。
思わず笑みが溢れてしまった。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
「いやー感動したわ。参りやした」
そう言って九条先輩は両手を上げ、降参のポーズを取る。
「恥ずいんでやめてください」
「はは、ごめんごめん」
心にも無さそうな謝罪を貰う。
「でも本心だよ。私はそんな立派な理由なんて無かった」
「やっぱ先輩もあんなふうに面接、というか…やったんですか?」
「おう、やったやった。1回だけ不合格食らったんだけどねー」
「え"何言ったんすか」
「金目当てですって」
「うわ言いそう…」
「引くなよ傷つくだろ」
合格をもらった時の理由も気になったけれど、先輩はそれ以上話す気はないと言うふうに会話を切った。
だからそんな考えは頭の隅に押しやった。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
「ハイこちらが高専の寮になりまーす‼︎」
「超ガラッガラだから好きなとこ選んで良いよ。一応私ここ」
と、1番手前の部屋を指さす。
「遠いとめんどくさいからさー」
「なんでこんなにガラガラなんですか?生徒の方もまだ先輩しか…」
「あれ、言わなかったっけ?」
「この高専の生徒、私と君しかいないよ」
「は⁇」
「えだから、2人しかいないんだって」
「じゃあ先輩1人だったんすか⁉︎」
「そうだよ、悲しかったなー」
「ええ…なんでこんな少ないんですか…」
「じゃあさ、君今まで呪いが見える人に会ったことある?」
「あ、無い…」
「そゆことよ」
「ま、おかげで年中人手不足なんだけどなクソ!」
「まあまあ…」
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