二次創作
スノードロップ、そしてマリーゴールドへ
久我千寿「…あ、甚爾さん?」
伏黒甚爾「久我聞いてくれよ、孔の野郎が〜……」
あれから、甚爾さんとはほぼ毎日連絡をとっている。まあでも、別に大したことは話さない。
互いに愚痴を吐きあったり、仕事は順調かと聞きあったり、夢を語り合ったり。中身なんてほぼなくて、明日になれば、何を話したのかも思い出せないくらい薄っぺらい。
でも、そんな雰囲気…何を言っても、誰も傷つけなくて、自分も傷つかない、好きなように吐き出せる状態が心地よかった。
久我千寿「最近は仕事はあるんですか?」
伏黒甚爾「あるわ、ホンットに失礼な奴だな」
久我千寿「だって目ェ離したら路地裏でくたばってるタイプでしょアンタ」
伏黒甚爾「はっ、保護者じゃねえんだから」
伏黒甚爾「最近暗殺の依頼が入ったんだ。デカイやつが」
彼が、弾むように、楽しそうに言う。
久我千寿「へえ、暗殺は久しぶりじゃないですか?」
伏黒甚爾「そうだな。ここいらは軽いやつ多かったからなぁ、捕獲とか」
伏黒甚爾「お前は?術師やっていけてんのか?」
久我千寿「…後悔してませんよ。今まで視えるだけだったモノに対抗できる安心感は───」
久我千寿「計り知れない」
噛み締めるように、独り言のように言った。
心の底からそう思っている。いつ攻撃されるかわからない恐怖に怯えながら過ごす日々に戻るのはごめんだ。
久我千寿「…じゃ、そろそろ」
伏黒甚爾「ああ」
通話を切った。
久我千寿「(…校庭出るか)」
今日は午後から全学年合同で体術訓練だったはずだ。
久我千寿「(平和だなぁ)」
悟くん、傑くん、硝子さんの入学のおかげで、俺と九条先輩の負担がかなり減った。それに呪霊の発生もいくらかマシになっている。だから最近は合同訓練の時間が多く取れる。
特に、硝子さんの入学が大きい。今まで無かった他者による回復。戦力に直結する訳では無いが、確実に術師側のアドバンテージになっている。
そういえば最近、九条先輩がよく笑うようになった。前みたいな、へらっとした強がるような笑い方じゃない。
あの人は本当は子供みたいに笑う。無邪気な、この世の闇をまるで知らないような笑顔で笑う。
正直、意味がわからなかった。
久我千寿「[小文字]なんでああいう風に笑うんだろう[/小文字]」
年頃の女性にしては、少し子供っぽすぎるような気もする。ましてや、あの人は呪術師だ。生まれた瞬間からその道を歩むことを約束されていた人。
なんであんな笑い方ができるんだろう。
久我千寿「[小文字]あの人のことは…今でもよく分からないな[/小文字]」
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
五条悟「あーだるいわー。なんで俺らがやんなきゃいけねーんだよ」
夏油傑「でも重要な任務なんだから、真面目にやってくれよ」
五条悟「はいはい…あ、久我センパイ!」
久我千寿「…あ、悟くん、傑くん」
2人が足を止めて、俺を待ってくれる。
久我千寿「次、合同訓練なんで一緒に校庭出ましょうか」
夏油傑「そーですね笑」
五条悟「なぁ〜〜聞いてよ久我センパ〜〜イ!!」
五条悟「週末から、せっかく久我センパイと遊べると思ったのに、せーしょーたいの護衛任務だってさあ!」
校庭へむかって3人であるきはじめる。
久我千寿「せいしょうたい?……ああ、天元様の?」
夏油傑「はい、同化までの護衛任務です」
久我千寿「あれ、同化は来年なはずじゃ?」
夏油傑「色々あったらしくて。天元様が自ら、1年早めたそうです」
久我千寿「勝手なことするなあ、天元様も笑」
意外とお茶目なのかな、あの人。
てか人なのか?あれ。
久我千寿「(男性か女性かもわからん…)」
五条悟「ホントだよ!あーあ、来年だったら俺もっと強かったのに」
夏油傑「今でも十分強いだろ」
五条悟「まあな」
久我千寿「うーわないわ」
夏油傑「うざすぎる」
久我千寿「…というか、2人だけなんですか?」
星漿体の護衛なら、もっとガチガチにするもんだと思っていた。天皇陛下みたいな感じで。
五条悟「ま、俺ら最強だし」
夏油傑「そんなに人材豊富じゃないですしね〜」
久我千寿「まあそれはそうですけど」
久我千寿「じゃ、今日はストイックにいきましょうか。バチバチにしごいてやりますよ笑」
五条悟「傑、俺お腹痛くなってきた((」
夏油傑「逃がさないよ?」