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この小説に登場する人物・団体・事件等は、全て架空のものです。

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二次創作
スノードロップ、そしてマリーゴールドへ

#45


2005年 6月5日





















東京都内廃ビルにて、任務中の高専生3名が呪詛師3名、及び一級呪霊と接触。




















身の安全を考慮し、呪詛師と共闘。一級呪霊を祓う。




















対呪霊戦闘後、高専生1名が呪詛師1名を高専へ勧誘。




















他2名も戦意喪失と見られたため、高専にて保護。完全に敵意がないと判断でき次第、京都校に派遣予定。




















同日、東京校に禪院直哉が来訪。


















これにより、夜蛾正道学長が軽傷。
また、禪院直哉の情報提供により、久我千寿2級術師が術師殺しと繋がっていることが判明。


























よって、九条雪待1級術師に上記の者の監視を命じ、怪しい行動があった場合、その場で即処刑とする。













[中央寄せ]******[/中央寄せ]



九条雪待「監視、ねぇ〜」
 彼女は、上層部からの通達を読み、不満そうに舌打ちをする。
夜蛾正道「お前にはあまり頼みたくなかったんだが、上の命令だ。…改めて、本当に申し訳ない」
 深々と頭を下げる。
九条雪待「いや、夜蛾ちゃんは謝んなくていいよ。悪いのは全部上の奴らだし」

九条雪待「それよりさ、夜蛾ちゃん怪我大丈夫なの?」
 禪院直哉にやられたらしいじゃんか、と少し面白がるように付け足す。
夜蛾正道「まあな」
九条雪待「ははっ、夜蛾ちゃん負けたの?」
 今度は、はっきりと笑みをうかべていた。
 ホント、つくづく性格悪いな。
夜蛾正道「負けたんじゃない。負けてやったんだ」
九条雪待「うわ、それダサいよ〜??ww」
夜蛾正道「お前ホントそういうところだぞ」
九条雪待「え?聞こえなーーいw」
夜蛾正道「…どうやら俺の教育は失敗したみたいだな」
九条雪待「いやいや大成功。貴方の生徒は1級ですよ、1級ぅ」
夜蛾正道「そっちの話じゃなくてだな」

 最近、というかここ数年で、よく笑うようになったなと思う。久我のおかげだろうか、感情が表に出やすくなった気がする。
 彼女が本当に楽しそうに笑っているのを見て安心する。
 俺は仮にも教師で、自分の生徒の成長を見られるのはやはり嬉しい。
 彼女が笑っているのを見ていると、少し口が綻んでしまった。


[中央寄せ]*[/中央寄せ]


九条雪待「……あのさ、夜蛾ちゃん」
夜蛾正道「なんだ」
 私は、さっきまでのヘラヘラした口調を辞め、吐き出すように語尾に力を入れて、一つ一つ区切るようにはっきりと話し始める。

九条雪待「私は、千寿が[漢字]呪詛師[/漢字][ふりがな]そっち[/ふりがな]だとは思ってない」
夜蛾正道「……」

九条雪待「だって彼、最初に言ってたじゃん。俺はヒーローになりたいって」
九条雪待「自分の夢を否定したくないんだって」

九条雪待「夜蛾ちゃん覚えてる?」
九条雪待「私も1年生の時、初めてここに来た時…同じこと言ったんだよ」
九条雪待「誰かを助けたいって」
九条雪待「誰かのヒーローになりたいんだって」
 語尾に力がこもる。自然と。

九条雪待「[漢字]あれ[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]は本心からの言葉だった」
九条雪待「絶対に」



九条雪待「嘘で、[漢字]あんな言葉[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]は出てこねえよ…」
 机を見つめて言う。
 別に悲しいとか、寂しいとかじゃない。多分、悔しいんだと思う。私は。

九条雪待「彼は、千寿は、普通の高校生なんだから。腐った上層部の指示なんかで、殺されちゃダメだ」

 夜蛾ちゃんに向けて話すふりをして、心の底では自分に言い聞かせている。
 千寿が殺されるべきでない理由を口に出すことで、安心しようとしている。

九条雪待「……なんなんだよ、ホントに…」
夜蛾正道「…」
夜蛾正道「俺は何かあったらお前につく。あまり思い詰めるなよ」
九条雪待「…千寿側には、ついてくれますか?」
 意地の悪い質問だとは重々承知している。しかしそれでも、投げ掛けずにはいられなかった。
夜蛾正道「……断言はできないな」
 まあそうだろうな。
 いつどんな時でも味方してくれ、なんて自己中すぎる。
 教室を出ようと、ドアに手をかける。

夜蛾正道「九条、」
 取っ手にかけた手が静止する。
九条雪待「なに?」
 手をかけたまま振り返らずに、話を聞く体制に入る。

夜蛾正道「久我が大切なのは分かるが、万が一のとき判断を渋るなよ」
夜蛾正道「正常な目で物事を見ろ」
九条雪待「…わかってるよ」

 廊下に出て後ろ手で扉を閉める。

九条雪待「(…変な気分だ)」

 教室を出ると、自然に足が共有スペースに向かう。千寿、歌姫、悟、硝子、傑。皆と過ごした、言うなれば安息地のような場所。
 誰もいなかった。
 自販機で水を買う。ペットボトルが落ちてくる音がやけに大きく聞こえた。


 様々な感情が奥底で暴れている。
 私を支えていた1本の支柱が中から腐り始めている。
 少しずつ、[漢字]この高専の心地よい空間[/漢字][ふりがな]大切なもの[/ふりがな]が変わっていくような気がする。










 また、水を溢してしまいそうだ。

作者メッセージ

夏休み最高。

2025/08/09 21:14

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