スノードロップ、そしてマリーゴールドへ
「3人の教室はここねー」
ガラガラガラ
教室の中には、3つの机が置いてある。
良いな…クラスメイトがいて…。
「もうすぐ夜蛾さんが来るので、席に座って待っててください」
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
「さて、どうしよっか」
と問いかける先輩の机には、紙の山が置いてあった。
「どうしよっか、じゃないですよ」
何の紙の山かって?
「それ、貯めに貯めた報告書でしょうが。早くやってください」
九条先輩の未提出報告書の山である。
「いやぁ、だってコレ1ヶ月以上前のやつだよ?」
「何でやってないんすか…」
「…千寿は偉いよねー、こういうの貯めないタイプ?」
「んー…貯めるとか貯めないじゃなくて、やらなきゃダメでしょう」
「まあ、そうなんだけどさぁ…」
確かに面倒な気持ちも分かる。任務の報告書なんて、有って無いようなものだ。
未登録の特級呪霊にでも遭遇しない限り、報告書の提出はマストじゃない、と思う。
「…あ、そうだ」と先輩が、何かを思いついたように呟く。
「千寿の術式、私に使ってみて」
「…は?」
いやダメでしょ、という言葉をすんでのところで飲み込む。
なんの思惑が隠れているのか知らないが、九条先輩なら大丈夫だ。
「俺、まだ上手く使えないすけど」
「大丈夫。最悪の場合、私の術式で千寿の呪術を打ち消す」
「っつっても、面倒臭いから簡単な幻覚にしてくれよ」
「分かってますよ。…俺の術式は[漢字]対象に[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]触れることが条件なので…」
少し迷ったあと、先輩の手を取る。
「…はは、年頃の女の子の手じゃないでしょ」
と、先輩は乾いた笑いを混ぜる。
術師なら当然のことだが、やっぱり先輩の手は、普通の女子高生の可愛らしい柔らかい手とは違っていた。
血のにじむような努力が垣間見える、強い手だった。
「マニキュアとか、あんま好きじゃなくてさ」
任務行ったら、どーせ汚れちゃうし、と付け加える
「でも、かっこいいと思いますよ、俺」
「相変わらずだね、君は」
一呼吸おいて、術式を発動する。
とりあえず食べ物でも出しておこう、と、俺の好物である生春巻きを机の上に創る。
「ははっ、大分リアルだね」
いい精度だ、と褒められる。
「…動物もできます」
「お、やってみてよ」
手始めに犬猫を創り、走り回らせる。
「コレ、吠えさせたりできるのかな?」
「まだ少し厳しいです。この術式、かなり明確なイメージが必要なので」
「ふーん」
「…生春巻き好きなんだね」
「…はい」
ガラガラガラ
教室の中には、3つの机が置いてある。
良いな…クラスメイトがいて…。
「もうすぐ夜蛾さんが来るので、席に座って待っててください」
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
「さて、どうしよっか」
と問いかける先輩の机には、紙の山が置いてあった。
「どうしよっか、じゃないですよ」
何の紙の山かって?
「それ、貯めに貯めた報告書でしょうが。早くやってください」
九条先輩の未提出報告書の山である。
「いやぁ、だってコレ1ヶ月以上前のやつだよ?」
「何でやってないんすか…」
「…千寿は偉いよねー、こういうの貯めないタイプ?」
「んー…貯めるとか貯めないじゃなくて、やらなきゃダメでしょう」
「まあ、そうなんだけどさぁ…」
確かに面倒な気持ちも分かる。任務の報告書なんて、有って無いようなものだ。
未登録の特級呪霊にでも遭遇しない限り、報告書の提出はマストじゃない、と思う。
「…あ、そうだ」と先輩が、何かを思いついたように呟く。
「千寿の術式、私に使ってみて」
「…は?」
いやダメでしょ、という言葉をすんでのところで飲み込む。
なんの思惑が隠れているのか知らないが、九条先輩なら大丈夫だ。
「俺、まだ上手く使えないすけど」
「大丈夫。最悪の場合、私の術式で千寿の呪術を打ち消す」
「っつっても、面倒臭いから簡単な幻覚にしてくれよ」
「分かってますよ。…俺の術式は[漢字]対象に[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]触れることが条件なので…」
少し迷ったあと、先輩の手を取る。
「…はは、年頃の女の子の手じゃないでしょ」
と、先輩は乾いた笑いを混ぜる。
術師なら当然のことだが、やっぱり先輩の手は、普通の女子高生の可愛らしい柔らかい手とは違っていた。
血のにじむような努力が垣間見える、強い手だった。
「マニキュアとか、あんま好きじゃなくてさ」
任務行ったら、どーせ汚れちゃうし、と付け加える
「でも、かっこいいと思いますよ、俺」
「相変わらずだね、君は」
一呼吸おいて、術式を発動する。
とりあえず食べ物でも出しておこう、と、俺の好物である生春巻きを机の上に創る。
「ははっ、大分リアルだね」
いい精度だ、と褒められる。
「…動物もできます」
「お、やってみてよ」
手始めに犬猫を創り、走り回らせる。
「コレ、吠えさせたりできるのかな?」
「まだ少し厳しいです。この術式、かなり明確なイメージが必要なので」
「ふーん」
「…生春巻き好きなんだね」
「…はい」
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