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この小説に登場する人物・団体・事件等は、全て架空のものです。

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スノードロップ、そしてマリーゴールドへ

#24


「私は"君"に期待するよ」

あーあ、言っちゃった。
そう呟いた[漢字]私[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]は、口調の割に嬉しそうで。
多分、私はその時、心の底から嬉しくて笑ってた。
「…え」
「君は私より先に死ぬなよー」
今度は抑えられなくて、暖かいものが一筋頬を伝った。
でもやっぱりバレたくなくて、千寿の頭を思いっ切りわしゃわしゃやって、私の顔が見えないようにする。
「うおわっ、ちょちょ先輩??」
千寿の驚いた声がどこか面白くて、頭に手を乗っけたまま吹き出してしまった。少ししてから立ち上がって、校舎の方へ歩き出す。
「え、いや待ってくださいよ!」
俺もう走れませんって!という主張なんてお構い無しに千寿との距離を離していく。
「…待たねーよ。千寿が追いつけば良いんじゃねーの?」
と、今度は走り出す。
「んな無茶な…!!先輩人の心どこに置いてきたんすか!!」
「失礼な!!どこにも置いてきてねーわ!!」
ちょっとタンマ、と言って後ろを振り向く。
千寿も足を止めてこちらを見る。
「…千寿」
「何すか?」
「もし追いつけたら、飲み物なんか奢ったる」
「えっマジすか!?」
「あっでも」
「追いつけなかったら千寿が奢ってね」
「やっぱ人の心無いじゃん先輩!!」

[中央寄せ]*[/中央寄せ]

生きるとか死ぬとかそういう言葉なんて出てこない、バカみたいに平和なやりとりが、いつまでも続いて欲しかった。

[中央寄せ]*[/中央寄せ]

あの後、俺は結局追いつけずに九条先輩にコーラを奢らされた。
今はシャワーを浴び終え、部屋に向かっているところだ。
そこで偶然、先輩と鉢合わせた。
「え」
「やっほ」
目の前にはボロい黒リュックを背負った九条先輩がいた。
制服も黒な上に髪色が白だから、ちょっと怪しい人みたいになっている。
「どこ行くんすか、先輩」
「京都」
「きょうと」
あまりにもさらっと答えられ、思わず同じ言葉を繰り返してしまう。
きょうと。
頭の中に平仮名で入ってきた単語を漢字に変換していく。
「えええ京都ォ!?」
「そう」
大分時差あったけど大丈夫?と心配されたが、俺は今それどころでは無い。
「え、今から?何しに行くんすか、任務?」
「違う違う」と笑う彼女は、更に信じ難い言葉を発する。
「実家と喧嘩してくるだけ」
少し考えて、こう言う。
「…俺も手伝いましょうか?」
「千寿も割とぶっ飛んでるよね」と言われる。
一般人相手なら、喧嘩で負ける気はしない。
まあ九条先輩にはあっさり負けたけど。
「…気持ちは有難いけども、まー今回はハイリスクだからね。君は高専に居な」
「…マジでヤバそうだったら、ホント逃げてくださいよ?」
「ん。了解」

[中央寄せ]*[/中央寄せ]

「………」
電車来ねえ…。
私の術式が瞬間移動だったらなぁ…とかいう願望が湧いてくる。
私の術式はそれなりに融通はきくが、流石に瞬間移動なんて人間離れした技はできない。
なぜなら、独善呪術はあまりにも現実味がないことはできないからだ。
というかそもそも、こんな一般人が大量にいる場所で術式なんて使えない。
「…………」
クソ〜…車手配しとけばよかった…。

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作者メッセージ

登録版でも小説上げようかなと考えている今日この頃。

2024/10/06 15:27

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