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この小説に登場する人物・団体・事件等は、全て架空のものです。

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スノードロップ、そしてマリーゴールドへ

#21


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コンコンッ
薄暗い部屋にドアのノック音が響く。
「んー…」
「千寿ー、居るー?」
「…はーい」
まだ重い瞼をこじ開け、のろのろと玄関へ向かう。
ガチャ
「あ、先輩」
「…なるほどね、おはようさん」
九条先輩が笑い混じりに言う。
「え、何で分かるんすか」
「なんか眠そうだし」
「えー…」
取ってつけたような理由に、不満がこぼれる。なんか眠そうって…。
「てか急にどしたんですか」
「ほいコレ」
「…あ、お面」
「置きっぱなしだったから持ってきた。あげるよ、ソレ」
「え、良いんですか…?あーいや、コレ百均のやつでしたっけ」
「ははっ、ひっでーな。別に間違ってはないけど」
「自分で言うのもなんだけどさ、持っていて損は無いと思うよ。ああ、あとチャームポイントとか」
「ぶっ飛ばしますよ」
「寝起きでもキレっキレで安心したよ…」
「まあ、ありがとうございます」
「ん、じゃーね。ゆっくり休めよ」
「あざっす」

[中央寄せ]*[/中央寄せ]

ガチャ
千寿と別れ、私も自分の部屋に入る。
「(それにしても、後輩って良いな〜)」
後輩というより、仲間がいるのがやっぱ嬉しい。
あーそういや、来年は五条家の坊ちゃんが来るんだっけな。禪院家みたいな教育してないと良いけど。
エリートクズが出来上がっちゃうような家だからな、あそこ。
コンコンッ
「はーい」
千寿かな。
ガチャ
「え夜蛾ちゃん?何用?」
「1級昇格任務の件で話したい事があってな。ちょっと良いか?」
「了解でーす。じゃその辺の教室で良い?」
「ああ。そして毎度のことだが敬語を使え」
「アイアイサー夜蛾ちゃん」
「お前もしかして敬語を知らないのか?」

[中央寄せ]*[/中央寄せ]

ガラガラ
「相変わらずガラッガラだなー」
以前と何も変わらない教室を前に呆れる。
「久我は学年が1つ下だからな。隣の教室だ」
「でもさ、やっぱ嬉しくない?私の他に生徒がいんですよ、ほぼ奇跡でしょ」
「そうだな。案の定、今年は例年より人数が少ないそうだ」
「あっはは、去年も言ってましたねソレ」
いつも授業を受けている時と同じように椅子に座る。
夜蛾ちゃんも、教卓の後ろへ立つ。
「それで本題だが」
「昇格任務でしたっけ」
「ああ。九条、お前の1級への昇格を、お前の実家である九条家が阻止しようとしている。…正直なところ、俺一人じゃどうしようも無い段階まできてるんだ」
「なんだ、もっと早く言ってくれりゃ良かったのに」
「一応聞くが、何するつもりだ」
少し間を空け、自分のイメージを言葉に変換する。
「近いうちに、直談判しましょうか。九条家での地位は割と高い方なんで、何とかなるでしょ」
「1人で行くのか?」
「それが1番安全ですしね」
地位があっても、人望は無い。最悪、九条家の敷地内にすら入れない可能性があるのだ。それくらい私は[漢字]彼ら[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]に敵視されている。
「…万が一があったら、ぶっちゃけ守れる自信ないしさ」
「万が一、か。己1人なら無事に帰ってこられると」
相変わらず嫌な事を言うな、この人は。
「善処しますよ」
「そうか。こっちとしても早めに解決して欲しい、直談判は明後日で良いな?」
「勿論」

[中央寄せ]*[/中央寄せ]

久しぶりに実家の話をしたせいか、妙に鮮明な昔の記憶が蘇ってくる。


もしも[漢字]あの時[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]私が選択を間違えなければ、九条家とは良い関係だったんだろうな。


自分はあまり過去のことを引きずらないタイプだと思っていた。


でもやっぱり、[漢字]あの時[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]の事は一生後悔し続けると思う。


ほんの些細なことで、人によっては「別にそれくらい」とも言えるような事。


それでも、私にとっては掛け替えのない事だった。


それを、自分の判断を誤って、失った。


1度溢してしまった水を一滴残らず必死に掻き集めようとしているのと同じだ。


今更どれだけ後悔しても、所詮無駄な足掻きだと分かっている。


それでも私は、[漢字]あの時[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]の事を一生後悔し続けると思う。


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作者メッセージ



ちょくちょく頑張って伏線っぽくしてるんだけど回収出来るか不安になってきました((←頑張れるだけ頑張って回収します

2024/09/23 20:35

Ariadne ID:≫1p5msoFl29r8c
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