スノードロップ、そしてマリーゴールドへ
注意⚠️
今回の話では、ちょっとグロい描写が含まれます。
これを踏まえた上で読んでいただけると幸いです。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
目の前に鮮やかな赤と青が広がったかと思えば、今度は眩しい白と橙が視界に入った。
白。何かと思い、目を凝らす。
「雪…?」
陽の光を反射して金色に輝いている雪が、静かに淡々と降り積もる。
空を見上げても雪雲は無く、有り得ないほどに澄み渡った夕焼けが目に飛び込んだ。
「は……」
あまりにも美しい沈黙に、思わずため息が洩れる。
「さて、ここでは私が[漢字]絶対[/漢字][ふりがな]ルール[/ふりがな]だ」
妙に落ち着いた先輩の声が鼓膜を震わす。
「土地神、お前が祓われていないのは可笑しい」
「え?」
そういえば初めて会った時にも似たような…。
ザフッ…
「え?」
「うん、終わりだね」
「え、いや、え?」
俺が困惑している間に、先輩の領域が閉じる。
「ええ…??」
「うーん、今回はちょっと相手が微妙だったかな」
物理攻撃系の術式だったら説明しやすかったんだけど、とブツブツ言っている先輩を横目に、俺はある物に気を取られていた。
「先輩、アレ何ですかね」
「アイツマジ許さ……ん?どれ?」
「あそこの建物です」
と指をさす。
「…行ってみようか」
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
千寿が指をさした先には、錆びた鉄で出来た何かの建物があった。
「何だろうね、コレ」
「コレ建てた人センス無さすぎません?」
「最早センス以前の問題じゃないかな、これは」
本殿とは違い、装飾などが一切なく無機質な鉄のみで出来ている。
立地も、ここだけ意図的に分断されているかのようだ。
「余計何か分かんなくなりました…」
「ま、入ってみれば何かしら分かるだろ」
「ですね」
異様に重い観音開きの鉄扉を2人がかりで開ける。
と、凄まじい異臭が鼻をついた。
うえっ、と千寿とほぼ同時に呻き声を上げる。
「何の匂いですかこれ…」
と、千寿が口と鼻を手で隠しながら言う。
「さあね。ライトつけてみようか」
スマホを少し操作すると、青白い光がパッと室内を照らす。
すると、思わず吐き出したくなるような、血なまぐさい光景が照らし出された。
「……」
「嘘でしょ…」
「残念ながら、嘘じゃないっぽいねー…」
至る所に飛び散り固まった血と、何かの肉塊が強烈な匂いを放っている。
恐らく、殺されたという子供達の亡骸だろう。
「こんなの…供養なんて綺麗なもんじゃない…」
千寿が、少し掠れた声で半ば独り言のように言葉をこぼす。
「村の人達はただの人殺しじゃないですか…!」
「…昔なら当たり前だったんだ。これは人殺しじゃない、神様に返すだけだからって」
「そういう考えがこびり付いてちゃあ、どうしようも無い」
「………」
「ここ、呪霊いませんね。こういう場所ならいそうですけど」
「言われてみれば…」
四方を見渡しても気配はない。
「多分、子供たちの恨みや憎しみが合わさって、さらに村の人達がそれを崇めることで、あの凶悪な土地神になったんだろうね」
「……」
「おいっ!!何してんだよお前ら!!」
「おお…」「えっ…!」
「藤原さん!?」
今回の話では、ちょっとグロい描写が含まれます。
これを踏まえた上で読んでいただけると幸いです。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
目の前に鮮やかな赤と青が広がったかと思えば、今度は眩しい白と橙が視界に入った。
白。何かと思い、目を凝らす。
「雪…?」
陽の光を反射して金色に輝いている雪が、静かに淡々と降り積もる。
空を見上げても雪雲は無く、有り得ないほどに澄み渡った夕焼けが目に飛び込んだ。
「は……」
あまりにも美しい沈黙に、思わずため息が洩れる。
「さて、ここでは私が[漢字]絶対[/漢字][ふりがな]ルール[/ふりがな]だ」
妙に落ち着いた先輩の声が鼓膜を震わす。
「土地神、お前が祓われていないのは可笑しい」
「え?」
そういえば初めて会った時にも似たような…。
ザフッ…
「え?」
「うん、終わりだね」
「え、いや、え?」
俺が困惑している間に、先輩の領域が閉じる。
「ええ…??」
「うーん、今回はちょっと相手が微妙だったかな」
物理攻撃系の術式だったら説明しやすかったんだけど、とブツブツ言っている先輩を横目に、俺はある物に気を取られていた。
「先輩、アレ何ですかね」
「アイツマジ許さ……ん?どれ?」
「あそこの建物です」
と指をさす。
「…行ってみようか」
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
千寿が指をさした先には、錆びた鉄で出来た何かの建物があった。
「何だろうね、コレ」
「コレ建てた人センス無さすぎません?」
「最早センス以前の問題じゃないかな、これは」
本殿とは違い、装飾などが一切なく無機質な鉄のみで出来ている。
立地も、ここだけ意図的に分断されているかのようだ。
「余計何か分かんなくなりました…」
「ま、入ってみれば何かしら分かるだろ」
「ですね」
異様に重い観音開きの鉄扉を2人がかりで開ける。
と、凄まじい異臭が鼻をついた。
うえっ、と千寿とほぼ同時に呻き声を上げる。
「何の匂いですかこれ…」
と、千寿が口と鼻を手で隠しながら言う。
「さあね。ライトつけてみようか」
スマホを少し操作すると、青白い光がパッと室内を照らす。
すると、思わず吐き出したくなるような、血なまぐさい光景が照らし出された。
「……」
「嘘でしょ…」
「残念ながら、嘘じゃないっぽいねー…」
至る所に飛び散り固まった血と、何かの肉塊が強烈な匂いを放っている。
恐らく、殺されたという子供達の亡骸だろう。
「こんなの…供養なんて綺麗なもんじゃない…」
千寿が、少し掠れた声で半ば独り言のように言葉をこぼす。
「村の人達はただの人殺しじゃないですか…!」
「…昔なら当たり前だったんだ。これは人殺しじゃない、神様に返すだけだからって」
「そういう考えがこびり付いてちゃあ、どうしようも無い」
「………」
「ここ、呪霊いませんね。こういう場所ならいそうですけど」
「言われてみれば…」
四方を見渡しても気配はない。
「多分、子供たちの恨みや憎しみが合わさって、さらに村の人達がそれを崇めることで、あの凶悪な土地神になったんだろうね」
「……」
「おいっ!!何してんだよお前ら!!」
「おお…」「えっ…!」
「藤原さん!?」
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