スノードロップ、そしてマリーゴールドへ
「ちょ一旦離しましょう、一旦」
石階段から少し離れても一向に服を離す気配がない。
「あの場所に立ち入れば集落が呪われる…!!」
「呪われる?」
さっきも似たようなこと言ってたな。恐らく呪霊が原因だとは思うが、まだ何とも言えない。この人がボケちゃってるだけかもしれない。
「…そろそろ服離してくんないかな、ばあさん」
「うぅぅう水子様が…終わりじゃ、皆死ぬ…!」
みずこさま…?この神社にいる神様かな。
「お前が足を踏み入れたからだ…!!お前のせいで皆死ぬ!」
老婆は私の服からパッと手を離し、その両手で自分の顔を掻きむしった。
「落ち着いてばあさん、大丈夫だから」
「何が大丈夫だ!お前は何も分からないのか!!」
ドンッ
「おっと」
急に身体を突き飛ばされ、思わずよろける。
私がもう一度声をかけようとした時には、老婆はもう何処かへ行ってしまっていた。
領域展開とか教えるために来た任務なのに、かなり厄介な事になりそうだな。行く任務盛大にミスった。
「はぁ……」
「……[小文字]どうすっかなぁ…[/小文字]」
と、呟きが漏れた。
[中央寄せ]17:08
別行動開始から24分経過
誰そ彼[/中央寄せ]
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
ヤンキーこと藤原さんは、以外にも話し上手で本当に10分で説明してくれた。この集落には祖母の安否確認で来ただけで、本人は東京のアパート住み。ちなみに今年で23らしい。
「…水子供養、ですか…」
この集落、水津村にある天蓋神社では、昔から水子供養を習慣として行っていたという。
「ああ。今じゃ医療も発達して、赤ん坊が死ぬことは少なくなっただろ。でも昔じゃそうはいかない。身体のどこかしらに障害を抱えた子供は、産まれてきたとしても養っていけなかった。そういう子供は忌み子って言われて、まあ殺されたんだ」
「7歳までは神様の子とも言うらしいですしね。命を落とした子供は死んだんじゃなく神様の元へ帰った、という認識だったのなら不思議な事ではないです」
「そういう考えのせいでどんどん人口が減ってんだけどな。それに皆成人したらすぐにこんなとこ出てくから、もう残ってんのは老人共だけだよ」
「じゃあいつか、ここも廃れるんでしょうか」
「多分、そのうちな。まあその方が良いだろ、こんな風習はさっさと廃れちまった方が良い」
「そうですよね…」
天蓋神社には、そうやって供養された水子や殺された忌み子達の霊が何百と居るらしい。生きた人間が入れば呪われるという神社を、人々は畏れ、縛り付け、呪った。
その過程で幾つもの神社が建てられたそうだ。
「そろそろ戻った方が良いんじゃねえか?連れも居るんだろ」
どっちかと言えば俺が連れなんだけどな。
「じゃあありがとうございました」
「…何度も言うが、あの神社には絶対入んねえ方がいいぞ。何人も入って、誰一人戻ってこなかった。そこらの心霊スポットとは違ぇんだ」
「…はは、入りませんよ、俺呪われたくないですもん」
「おう。そんじゃ、気をつけて帰れよ」
「はい」
軽く頭を下げて、藤原さんと別れる。
「(良い人だったな)」
せっかく忠告してもらったが、[漢字]天蓋神社[/漢字][ふりがな]あの神社[/ふりがな]は確定で黒だ。
ここまで来て入らないわけにはいかない。
「(取り敢えず先輩と合流するか)」
俺の足音だけが響く。
[中央寄せ]17:11
別行動開始から27分経過
逢魔[/中央寄せ]
石階段から少し離れても一向に服を離す気配がない。
「あの場所に立ち入れば集落が呪われる…!!」
「呪われる?」
さっきも似たようなこと言ってたな。恐らく呪霊が原因だとは思うが、まだ何とも言えない。この人がボケちゃってるだけかもしれない。
「…そろそろ服離してくんないかな、ばあさん」
「うぅぅう水子様が…終わりじゃ、皆死ぬ…!」
みずこさま…?この神社にいる神様かな。
「お前が足を踏み入れたからだ…!!お前のせいで皆死ぬ!」
老婆は私の服からパッと手を離し、その両手で自分の顔を掻きむしった。
「落ち着いてばあさん、大丈夫だから」
「何が大丈夫だ!お前は何も分からないのか!!」
ドンッ
「おっと」
急に身体を突き飛ばされ、思わずよろける。
私がもう一度声をかけようとした時には、老婆はもう何処かへ行ってしまっていた。
領域展開とか教えるために来た任務なのに、かなり厄介な事になりそうだな。行く任務盛大にミスった。
「はぁ……」
「……[小文字]どうすっかなぁ…[/小文字]」
と、呟きが漏れた。
[中央寄せ]17:08
別行動開始から24分経過
誰そ彼[/中央寄せ]
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
ヤンキーこと藤原さんは、以外にも話し上手で本当に10分で説明してくれた。この集落には祖母の安否確認で来ただけで、本人は東京のアパート住み。ちなみに今年で23らしい。
「…水子供養、ですか…」
この集落、水津村にある天蓋神社では、昔から水子供養を習慣として行っていたという。
「ああ。今じゃ医療も発達して、赤ん坊が死ぬことは少なくなっただろ。でも昔じゃそうはいかない。身体のどこかしらに障害を抱えた子供は、産まれてきたとしても養っていけなかった。そういう子供は忌み子って言われて、まあ殺されたんだ」
「7歳までは神様の子とも言うらしいですしね。命を落とした子供は死んだんじゃなく神様の元へ帰った、という認識だったのなら不思議な事ではないです」
「そういう考えのせいでどんどん人口が減ってんだけどな。それに皆成人したらすぐにこんなとこ出てくから、もう残ってんのは老人共だけだよ」
「じゃあいつか、ここも廃れるんでしょうか」
「多分、そのうちな。まあその方が良いだろ、こんな風習はさっさと廃れちまった方が良い」
「そうですよね…」
天蓋神社には、そうやって供養された水子や殺された忌み子達の霊が何百と居るらしい。生きた人間が入れば呪われるという神社を、人々は畏れ、縛り付け、呪った。
その過程で幾つもの神社が建てられたそうだ。
「そろそろ戻った方が良いんじゃねえか?連れも居るんだろ」
どっちかと言えば俺が連れなんだけどな。
「じゃあありがとうございました」
「…何度も言うが、あの神社には絶対入んねえ方がいいぞ。何人も入って、誰一人戻ってこなかった。そこらの心霊スポットとは違ぇんだ」
「…はは、入りませんよ、俺呪われたくないですもん」
「おう。そんじゃ、気をつけて帰れよ」
「はい」
軽く頭を下げて、藤原さんと別れる。
「(良い人だったな)」
せっかく忠告してもらったが、[漢字]天蓋神社[/漢字][ふりがな]あの神社[/ふりがな]は確定で黒だ。
ここまで来て入らないわけにはいかない。
「(取り敢えず先輩と合流するか)」
俺の足音だけが響く。
[中央寄せ]17:11
別行動開始から27分経過
逢魔[/中央寄せ]
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