スノードロップ、そしてマリーゴールドへ
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
呪霊が攻めてこない。遠距離で削る気か。
九条は前に出ないな…無理矢理にでも引っ張り出さねえとジリ貧で負ける。
「ビビるな九条!突っ込め!!相手が強かろうが、状況は2対1だ!!」
返事は無いが呪霊に向かって走っているから、まあ伝わっているだろう。
俺も呪霊の背後へ回る。
そして俺が呪霊の死角に入った瞬間、呪霊の動きが止まった。
術式使ったな。
まずは腕を落とす。
ザシュッザシュッ
呪霊が俺に気を取られた。
もちろん上にいる九条には気付かない。
ドスッ
ザフッ…
「日下部さんナイス」
「俺じゃねえよ。相手の間合いに入る[漢字]速度[/漢字][ふりがな]スピード[/ふりがな]、術式を発動するタイミング、呪具の扱い、お前は全て上出来だ。言うことないな」
「はは、言い過ぎっしょ」
「んな事ねーわ。まあ何か言うとすれば、」
「もっと強引になれ、自分に期待しろ」
「そんだけだ」
「…日下部さんにしては良いこと言いますね。」
「なんだよ俺にしてはって」
「いや別に」
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
「千寿!」
高専の共有スペースにいた俺を、誰かが呼ぶ。
「あ、九条先輩!」
「1級昇格任務、でしたっけ。お疲れ様です」
「ありがとー。私は良い後輩を持ったな」とヘラヘラ笑った。
「大袈裟でしょう」
「まさか」
共有スペースには自販機もある。
限られた業者しか入れない高専の中では貴重だ。
「なんか要る?」
「え、良いんですか?」
「おう」
「じゃあ…コーラで」
「じゃ私も同じのにしよ」
「はいどーぞ」
「ありがとうございます」
「ん」
缶を開ける音が響く。
「…そういやさ」
「んっ、はい」
飲んでいる時に喋りかけるのはやめて欲しい。
「千寿と私が会ったとこあるじゃん。アレってなんなの?」
「あー…」
「まあ、宗教団体の本部…みたいな」
「マジかよ、ウケる」
「真顔で言いますかそれ」
「てか何、仏教とか?」
「いえ、あんまり有名じゃないと思うんですが、」
「"盤星教"です。正式名称は知りませんけど」
「……盤星教」
「はい。え、なんかあるんですか?」
「…………」
「…君、盤星教信者?」
「え、あっいや、俺じゃなくて…」
ズシンと空気が重くなった気がする。
九条先輩の口調が変わったせいもあるだろうか。
背中を冷たい風が通り抜けるような錯覚を覚える。
「俺の親が信者で…」
「俺は勝手に連れて行かれてただけ…です」
圧が凄い。自然と声が掠れ、恐怖心が芽生える。
「ははっ」
先輩が急に笑う。
同時に圧迫感も消え、思わず安堵のため息が漏れた。
「なーんだ君じゃないの。失礼失礼」
「…俺だとなんかまずい事でもあるんですか」
「んー…盤星教が何を信仰してるか、知ってる?」
「あんまり…」
「うん。盤星教はね、呪術界の要である天元様を信仰崇拝してる"非術師"で構成された宗教団体。そんで盤星教と私らは、簡単に言えば敵対しちゃってんの」
「へえ…」
俺は盤星教を通じて、少なからず呪術界に関わっていたというわけだ。
この件に関しては親に感謝だな。
「どうしようか。高専入学、両親に連絡する?」
「しませんよ。反対される」
「だよね。…あ、前の高校って…」
「進路変更って言って自主退学にしときました」
「やるね、さすが私の後輩」
「あざす」
俺もなかなか良い先輩を持ったと思う。
呪霊が攻めてこない。遠距離で削る気か。
九条は前に出ないな…無理矢理にでも引っ張り出さねえとジリ貧で負ける。
「ビビるな九条!突っ込め!!相手が強かろうが、状況は2対1だ!!」
返事は無いが呪霊に向かって走っているから、まあ伝わっているだろう。
俺も呪霊の背後へ回る。
そして俺が呪霊の死角に入った瞬間、呪霊の動きが止まった。
術式使ったな。
まずは腕を落とす。
ザシュッザシュッ
呪霊が俺に気を取られた。
もちろん上にいる九条には気付かない。
ドスッ
ザフッ…
「日下部さんナイス」
「俺じゃねえよ。相手の間合いに入る[漢字]速度[/漢字][ふりがな]スピード[/ふりがな]、術式を発動するタイミング、呪具の扱い、お前は全て上出来だ。言うことないな」
「はは、言い過ぎっしょ」
「んな事ねーわ。まあ何か言うとすれば、」
「もっと強引になれ、自分に期待しろ」
「そんだけだ」
「…日下部さんにしては良いこと言いますね。」
「なんだよ俺にしてはって」
「いや別に」
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
「千寿!」
高専の共有スペースにいた俺を、誰かが呼ぶ。
「あ、九条先輩!」
「1級昇格任務、でしたっけ。お疲れ様です」
「ありがとー。私は良い後輩を持ったな」とヘラヘラ笑った。
「大袈裟でしょう」
「まさか」
共有スペースには自販機もある。
限られた業者しか入れない高専の中では貴重だ。
「なんか要る?」
「え、良いんですか?」
「おう」
「じゃあ…コーラで」
「じゃ私も同じのにしよ」
「はいどーぞ」
「ありがとうございます」
「ん」
缶を開ける音が響く。
「…そういやさ」
「んっ、はい」
飲んでいる時に喋りかけるのはやめて欲しい。
「千寿と私が会ったとこあるじゃん。アレってなんなの?」
「あー…」
「まあ、宗教団体の本部…みたいな」
「マジかよ、ウケる」
「真顔で言いますかそれ」
「てか何、仏教とか?」
「いえ、あんまり有名じゃないと思うんですが、」
「"盤星教"です。正式名称は知りませんけど」
「……盤星教」
「はい。え、なんかあるんですか?」
「…………」
「…君、盤星教信者?」
「え、あっいや、俺じゃなくて…」
ズシンと空気が重くなった気がする。
九条先輩の口調が変わったせいもあるだろうか。
背中を冷たい風が通り抜けるような錯覚を覚える。
「俺の親が信者で…」
「俺は勝手に連れて行かれてただけ…です」
圧が凄い。自然と声が掠れ、恐怖心が芽生える。
「ははっ」
先輩が急に笑う。
同時に圧迫感も消え、思わず安堵のため息が漏れた。
「なーんだ君じゃないの。失礼失礼」
「…俺だとなんかまずい事でもあるんですか」
「んー…盤星教が何を信仰してるか、知ってる?」
「あんまり…」
「うん。盤星教はね、呪術界の要である天元様を信仰崇拝してる"非術師"で構成された宗教団体。そんで盤星教と私らは、簡単に言えば敵対しちゃってんの」
「へえ…」
俺は盤星教を通じて、少なからず呪術界に関わっていたというわけだ。
この件に関しては親に感謝だな。
「どうしようか。高専入学、両親に連絡する?」
「しませんよ。反対される」
「だよね。…あ、前の高校って…」
「進路変更って言って自主退学にしときました」
「やるね、さすが私の後輩」
「あざす」
俺もなかなか良い先輩を持ったと思う。
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