A.ヒーロー? Q.いいえ、探偵よ
《第1種目 》50m走
各々の個性を使いこなし記録を伸ばすクラスメイト達
あるものは爆破あるものはレーザーを使いこなして
クラスメイトは全員で21人、50m走では2人1組で走るのだが奇数のためどうしても1人余ってしまう
そうなると必然的に出席番号が最後の私が1人で走ることになるのだ
「はぁ....本当合理的じゃない。おい1人で走るか?」
『1人でいいわよ』
「そうか」
スタートラインに立ち合図を待つ
最後の走者だからか自然と目線がそちらに向く
『[小文字]そんなに期待しないで欲しいのだけれど[/小文字]』
ほとんど、いや相澤くん以外は全員○○が個性を持っていると思っているだろう。そしてなんの個性かも気になっている。
『相澤くん、ゴール乗り越えた時にタイムは切ってちょうだいね』
みんながどう意味か分からない中、相澤は分かってしまった。
こいつは今から、
「START!」
『......っしょ』
飛ぶのだと
「2秒3」
『あら、落ちたわね』
みんなあんな速さで飛ばれて唖然としているのに、落ちたなど聞いたら.....
一瞬静まり返り一気に湧き出してしまう
「うぉぉ?!なんだあの速さ!??飛んだだけ、いや個性か!!」
「ぼっ、俺よりも速い……」
「すっげぇなお前!!」
周囲が騒然とする中切島鋭児郎が声をかければ、かけられた本人は「あら、どうも」と返している
私的には焦っている緑谷出久の方が気になるのだけれど
《第2種目》握力測定は187kg。みんなパワーの個性?でもさっきのは?とか言ってるけど、無個性なのよ。でも筋力が落ちたなどと思ったのは秘密。
《第3種目》立ち幅跳びはさっきは速さを求めていたけど長さならと、惜しくも4m行かず、3m98(もはや人間なのか?)
上体起こしや、長座体前屈などが終わり、次は《第5種目》 ボール投げ、私は160m
先ほど爆豪がデモンストレーションを行ったボール投げ
ここまで緑谷出久は特に爪痕を残せていない
『(まだワンフォーオールを使いこなせていない。まぁ、それもそうね)』
焦っている様子が遠目でも見て取れる。あのままボールを投げれば、おそらく腕が折れてしまう
でもね、緑谷出久。あなたにはなにか、なにか感じるの
彼の目は焦りからか何も見えてはいないように見えた
彼が個性を使おうとしているのが分かった
これは、相澤くんに止められるわよ
「46m」
ほら
ポテッと落ちたボールと同時に相澤が記録を読み上げる。確実に力を使おうとしてたであろう緑谷は、その記録に目を見開き震えている
相澤の個性だ
個性を消し、捕縛武器で緑谷を縛り上げ近寄る相澤は言う
ヒーローが行動不能になっていいのか
誰かに助けてもらうつもりなのか
1人を助けて動けなくなるだけなら、ヒーローにはなれない
しかし、容赦ないそれらの厳しい言葉は
彼の中の可能性を開くトリガーとなった
もう一回、緑谷出久がボール投げを始める。そうすると、投げる直前、
私の背筋がブワッと震えた。
「まだ…動けます!!」
まだ調節はできない緑谷だが、パワーを使う場所なら決められると、自分の指を見せて証明して見せた彼に相澤の頬が上がる
「こいつ……!」
緑谷出久、その存在は今後大きく物事を動かすかもしれない。
それから種目は終わりトータルを出せば、私の名前は4位の横にあった。
その順位は、無個性に負けている人物が17名いることを示した。
あぁ、なんてつまらない
除籍は合理的虚偽と言った彼にみんなが叫ぶ中、私は嘘つき、と小さく心の中でこぼした
でもそれには、理由があることも
(可能性、感じたのね)
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