二次創作
A.ヒーロー? Q.いいえ、探偵です
[太字]少食の彼女の、頭の中[/太字]
『おいしー........学食さいこう』
場所は変わって食堂。何杯目かわからない米をかき込みながら厨房にいるランチラッシュに親指を立てる。
ある意味お得意様である○○をランチラッシュも認識済みだ。「おいしーです」と言いながら親指を立てて返す。
『んふ、』
ふっくらとツヤのある白米。それを箸に乗せ、口に運ぶ。噛めば噛むほど甘味が滲む。やっぱり、ずっと学食でいい。○○はキューンと痛くなる頬を片手で押さえた。
「それにしても、あんた小食だな」
一緒に食べているのは心操くんだ。心操は少し信じられない顔をしながらこちらを見つめてる。
自分の前には、心操くんに食べてもらったご飯を覗いたら、お椀一杯分も行かないご飯、味噌汁、水だった。少なすぎる。あれで1日保つのだろうか。なんだか心配になって、心操は、慣れた手つきで○○の口へとおかずを放り込んだ
「ほら食べろ」
『おいしい........けど、お腹いっぱいになりそう』
「どんだけ胃小セェんだよ」と呆れる心操くんを放って味噌汁を啜る。
すると突然、食堂内にけたたましい警報が鳴り響いた。
「.......っ、は!?なんだよ!」
「逃げんぞ!」と慌てて立ち上がった目の前の心操くん同様、周囲の生徒たちも立ち上がり、我先にと出口に向かって走り出す。それを助長するように「侵入者だって!」とどこかで話す声が聞こえ、生徒達は半ばパニック状態に陥った。
「あんた何でまだ座って、」
心操くんに腕を引かれるが、さらさら立ち上がる気はない。ご飯は冷えても美味しいが、味噌汁はなんとしても冷める前に食べたい。
それにきっと避難したところで学生でごった返す出入り口で止められるのがオチだ。外に出られるようになるまでは相当の時間がかかるだろう。それにきっと"まだ"そこまで大ごとではないはずだ。
「大丈夫だよ。きっと」チラリと心操くんを見てそう言うと、心操くんは「お前が言うなら.......信憑性あるな」と、少し不安そうにしながらも元の席に腰を下ろした。
『マスコミでしょ?それに.........攻撃する気はないみたいだし』
チラリ、とゲートの方へと視線を向ける。1人、黒衣の男がこちらを見て、ゲートを後にした。やっぱり、今日は"挨拶"というところなのだろう。
それに、と心操くんに説明を続けた。
『すぐそこにいるランチラッシュの様子も落ち着いてる。もしも敵なら彼も何かしらアクションするはずでしょ?それに他の教師が誰も来ていない上、戦闘しているような音もしない。どうせ、マスコミでしょー』
軽く説明をすれば、心操くんも納得がいったのかもう一度顔を見合わせ、安心したようにしっかりと椅子に腰を落ち着けた。すると、疑問を持った顔の心操くんが自分を見る。
「お前、学級委員長に立候補すれば良かったんじゃねーの?あったっつってただろ」
『遅刻したからその話分かんないし、そもそも興味ない』
それにさ、と食堂の出口を箸で指す。
「皆さん!ダイジョーブ!!」
『ああいう人の方が、向いてるでしょ』
そこには非常口の形で壁に張り付く飯田がいた。