俺は毎日のように葵と昼食を食べていたため、周りの人に気付かれない訳なく、質問攻めされていた。

「おい、春希、どうやって清水さんと仲良くなったんだ？
　教えてくれ！」
「何でお前なんかが...」
「ねえねえ、２人はどんな関係なの？」

多少悪口も入っていたが、そんなの気にしなかった。
俺はどう答えようか迷っていた。
素直に言うのも良いが、
葵が自分から仲良くしてほしいと言い出すというのは恐らく珍しいだろう。
そうすると、俺らが変な誤解をされるに違いない。

「え、あ、うん。」

適当に流して逃げるようにして家に帰った。


・・・



俺は妹とマンションで２人で暮らしている。
親は海外で仕事をしているということもあり、ほぼ帰ってこない。

「ただいま。優香」
「おかえりー。お腹すいたー。早くご飯作ってー」
「はいはい」

基本的に俺がご飯を作っている。
田舎にいたときによく近所の人の集まりでご飯を振る舞っていた。
部屋に入ると、優香が無防備でだらしない格好でソファーでうなだれていた。

「あのさー。もう少しなんとかできないのか？その格好？」
「うん？別にいいじゃん、みたいの？」
「見たくねえし」

優香は基本的にだらしない生活を送っていて、
たまに変なことも言い出すのである。



・・・



「はい、ご飯できたぞー」
「はいはーい。げっ、２日連続カレー？飽きるんだけどー」
「またそんなこと言って。カレーはだいたい２日連続だろ」
「そうだけど...」
「文句言わずに食べろ。冷めちゃうぞー」
「はい。んっ？美味しい！全然２日連続でもいいわ！明日も食べたい！」
「はー...」

優香はこんな感じの性格で少々面倒くさいところもあるが、大事な妹だ。

「そういえばさー。お兄ちゃんは彼女とかできた？」
「ぶっっ。ゲホッ。ゲホッ」

急に変なことを言われてむせてしまった。

「お、図星かなー？お兄ちゃんも変わったねー。
　全然女に興味なかったのにー」
「違うって。普通に急に変なこと言われるから驚いただけだよ」
「嘘ばっかり。今度会わせてよねー。家に連れてきていいからさー」
「だから、違うって」
「じゃあ、よろしくー。連れてこないとアレ、ばらすからね？」
「...」

アレというのは、大したことではないのだが、
焼き芋を電子レンジに入れ、爆発させてしまったことだ。
俺は非常識だということがバレたくないので、妹に何度も脅されていた。
俺はどうしたものかと考えながらその日は眠りについた。