「こいつを...？」
「あぁ、[漢字]五十嵐京極[/漢字][ふりがな]いがらしきょうごく[/ふりがな]。こいつの名前だ。」
「でもどうして私達がこんなことしなくちゃいけないの？」
俺は今、会議室にて任務の内容を聞いていた。
「まぁ、殺されないために殺るしかないだろ？」
「わかった...」
俺は零仙と一緒に京極のもとへ向かった。
どうやらこいつは賄賂を渡したり、人身売買したりと、ヤバいやつらしい。
「あいつか。」
かなりがらが悪いやつだった。
「ちょ、ちょっと怖いかも...。」
「じゃあここで待ってるか？」
「それはもっと嫌！」
俺は京極の前に出る。
「誰だおめぇ？」
「五十嵐京極だな？」
「もしかして、け、警察！？」
「違うわ。」
鉄の音がこまめに聞こえる。
「そうか、なら...おい！こいつらを取っ捕まえろ！」
「フローズン！」
零仙のお陰でそこらの雑魚たちは足が凍り、動けなくなった。
「大勢でかかるとは...卑怯ですね。」
「能力者か。」
「ええ。」
「実はなぁ...俺も能力手に入れたんだよぉ。サンドブラスト！」
「ガード。」
相手が出してきた技はlevel1の弱い技。ガードで防ぐことなんて簡単だ。
「おめえはそんな技も使えるのか。」
「もうお遊びは終わりだ。レディッシュヘル。」
京極は大きく吹っ飛んだ。これで相手は気絶。
「うぅ。」
「零仙、縛っとけ。」
「え、あ、はい！」
零仙の小さな手で京極は身動きがとれない状態になった。
「こいつを警察に...いや、それは出来ないな。」
「どうして？」
「俺らも捕まる。」
この世には魔界警察という魔族専門の警察がうろちょろしている。俺は一度、捕まったことがある。また捕まれば今度は脱獄出来ないだろう。
「魔界、...警察だっけ。」
「そうだ。俺は脱獄犯だからもう捕まえられたくない。」
「捕まったって！？良かったね。生きてて。」
零仙は寂しそうな顔をしていた。
「なにかあったのか？」
「姉がね、捕まって。もう何年も帰ってきてないから死んだのかも。」
零仙の姉は雪吹と言った。20年前に魔界警察によって捕まえられ、今は消息をたった。妹の雪は人間よりだった為、捕まえられなかったそうだ。
「そうか。」
「今、だから私は一人なの。」
「...一人じゃないと思うけど。...俺がいるだろ？」
零仙は笑った。
「そうだねっ！」
パトカーの音が聞こえる。
「行こうか。」
（ワープ）
俺はこんな小さな子を一人にさせる人間が嫌いだ。無実の魔族を殺す警察が嫌いだ。いつか、魔族と人間が共存できる世界になればいいと思う。
そんな世界が来れば。