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”ありがとう”

#1

”大好きなあなたへ”

「可愛い子猫だなぁ。…可愛いね。」
…誰の声?すごく,優しい声。
「アザレア,それが君の名前だよ。」
アザ,レア?
「ほら,おなかがすいただろう?お食べ。」
私の目の前にたくさんのご飯。食べたいけどこの人間,私に”また”なにかするんじゃないかって。
「ほら,食べていいよ。」
そんなにぐいぐい持ってこられると困るじゃない。
「食べないならここに置いとくね?」
どっか行っちゃった。…食べてあげてもいいわよ。
「はっ!食べた!…かわいいぃぃぃぃぃぃ!」
なんで見てんのよぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

「ほら,俺はツワブキ!覚えてくれよ!」
ツワブキ…。覚えないわけないじゃない。
「にゃん。」
「わー!アザレアが返事した!」

「アザレア。誕生日おめでとう。」
もう初めて会った日から3年もたったのね。
「にゃー 。」
…ありがとうツワブキ。

「アザレア,お留守番頼んだよ。」
またー?
「にゃー,にゃー。」
「ごめんね。いい子にしてるんだよ。」
わかった。ずっと待ってるからね。

ずっと,ずっと。

ずっと…。

ず,っと。










?「…この猫,本当にかわいそうよね。私たちがご飯をあげても全く食べない。」
??「きっとツワブキを待ってるんだよ。あいつもこの子のこと好きだったから。」
?「かわいそうに。」










ずっと,いつまでもまってるから。

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作者メッセージ

今回のお話は白猫の『アザレア』が主人公の物語です。
お花が好きな人はわかるかもしれませんが『アザレア』とその飼い主の『ツワブキ』はどちらも花の名前です。

『白いアザレアの花言葉』…あなたに愛されて幸せ
『ツワブキの花言葉』…愛よよみがえれ
です。
飼い主のツワブキは家を出た後,交通事故で亡くなります。
その後飼い主を追うようにしてアザレアがなくなってしまいます。
天国でも飼い主をずっと待つ『アザレア』のお話でした。

2024/07/04 14:35

七星聖愛 ID:≫18COkzTDuajLA
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