夏の暑さがじりじりと肌を焼く中、甲子園への切符をかけた戦いが始まろうとしていた。市立呉高校の森翔太は、今まさにその舞台に立つために、仲間たちと共に練習を重ねている。彼はピッチャーとしても、ライトとしても活躍できるオールラウンドな選手だ。

高校生活最後の夏、翔太の心は緊張と期待でいっぱいだった。しかし、彼の心の中にはもう一つの気持ちが潜んでいた。それは、同じ野球部のマネージャーである小林美咲への恋心だった。

美咲は、いつも明るい笑顔でチームを支えてくれる存在だ。彼女の手にした水筒を受け取りながら、翔太はドキドキしていた。「翔太、今日は調子良さそうだね！」と美咲が言う。彼女のその言葉に、翔太は思わず頬が赤らんだ。

「ありがとう、美咲。でも、まだまだこれからだよ。甲子園に行くためには、もっともっと頑張らないと！」翔太はそう返しながらも、彼女の目をじっと見つめた。美咲の瞳は、彼の心の奥にある「もっと強くなりたい」という願いを感じ取っているようだった。

練習が終わり、仲間たちが帰る準備をしている中、翔太は美咲に声をかけた。「美咲、ちょっと話があるんだけど…」二人きりになれる場所を探しながら、翔太は言葉を選んだ。

「なに？」美咲が不思議そうに尋ねる。翔太は深呼吸をして、思いを伝えようとした。「実は、俺、甲子園に行くことだけじゃなくて…美咲と一緒にいたいって思ってるんだ。」

美咲は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに優しい笑顔を浮かべた。「翔太、私も…ずっとあなたのことを応援しているし、もっと近くで支えたいと思ってた。」その言葉に、翔太は心が弾んだ。

「じゃあ、甲子園に行ったら、一緒にお祭り行こうよ！」翔太は思わず提案する。彼女は頷きながら、「楽しみにしてるね！」と言って、再び明るい笑顔を見せた。

その瞬間、翔太は自分の心が一層熱くなるのを感じた。甲子園に行くための戦いが始まったばかりだが、彼は美咲との未来を思い描いて、さらに強くなろうと決意した。

「届け、甲子園！そして、俺の気持ちも…」翔太は心の中で叫び、練習に戻るためにチームメイトのもとへ向かった。夢と恋、二つの目標を胸に抱きながら、彼の青春は始まったばかりだった。