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伏せる

#1

「あの子」

瞼がゆっくりと呼吸する。開く 閉じる。何度も何度も繰り返す。そして、瞳を伏せる。出来るだけ視線を集めるように。
 

          「欲求不満」

承認欲求ってそんなに駄目なものだろうか。誰かに見られたい、褒められたい。それらは人間の中に根付いている。誰でも。褒められて嫌な気分になる人はいない。私はそれが人一倍強いだけ。何もおかしなことは無いのだ。そう自分に言い聞かせる。私は普通でいたいだけ。でも人の固まりに埋もれてしまう「普通」は私は好まない。普通でも誰かの視線をすっと集めるような 沢山のカケラの中から、私を拾いあげてくれるだけで良い。そんな存在でいたい。そのポジションが喉から手が出るほど欲しい。でも、私の場合は喉さえも突き破り、つま先の細胞という細胞が悲鳴をあげるほど待ち焦がれている。そのチャンスを窺っている。私の瞳は濁り、この世の汚ない色だけを集め、水に溶かしたような色をしている。あの子のような綺麗なガラス玉などではない。シャボン玉のように見る位置によって沢山の色が囁き合うような優しい眼差しを、誰かに向けたことがあっただろうか。あの子が発する言葉のように鼓膜を違和感なく通り、魅了する言葉の一粒を与えてやったことはあっただろうか。透き通るような白い肌ーーいや、違う。私の肌は、肌というにももったいない失敗作の皮膚ばかりが詰まったガサガサしたものだ。ならば、あの子の足の指先のような布で覆っていても分かるトゥシューズのような足先か。ーーいいや違う。それは、私の足では無い。全く違う代物だ。それでは髪ーー違う。唇ーー違う。手先ーー違う。彼女の持っているものには勝てない。RPGゲームの初期装備と課金装備ほどの手の届かなさに涙が出る。歯ぎしりをする。泣き喚く。全てがスローモーションのように涙が散る。モノクロの世界になる。この白黒の写真を現像したら、指を使って数を表現できるうちに、色はつくのだろうか。そんなことをうっすら考えながらベットに倒れ込む。ここまでが、一連の流れだ。何度あの子を恨み尽くしただろう。あの子の影を踏み殺したことも何度だってある。「早く終わりにしたい・・・」誰ともなしに呟いた。私の言葉が空中に揺らめき、パチンと弾けた。ほらねーー届きそうに無い。

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作者メッセージ

まだ中学生ですが、頑張ってつくりました。また続きをかこうと思っています。ドロドロした表現しかできませんが、楽しんでもらえたら嬉しいです。

2023/10/12 19:01

寿司鍋 ID:≫opLOQDKj8XL0g
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