どくん、どくん、と心臓が鳴り止まない。

「死刑を下す」

お父様のそんな一声に、私の全てが真っ暗になった。
まぁ.......多分ここで抵抗しても無駄なんだろうな。
なんで、親に死刑をくだされてるかって....？そんなの、一つに決まってる。妹・[漢字]葉温[/漢字][ふりがな]はおん[/ふりがな]の策略のせい。
何をするにも、私は全て葉温の思い通りだった。例えば、今世間は、私を妹をいじめる姉、という存在で受け取っている。でも、それはもちろん嘘。勝手に葉温がそう言っているだけだ。
そして、策略というのは...。


＿数時間前＿
「うわぁ〜ん、お姉様が〜」
葉音は、そのときも、演技をしていた。
「どうした、葉温！......まさか、●●、お前か！こんなにびしょびしょになって....。葉温のことを考えられないのか！」
お父様が、鬼畜な表情を浮かべぎろりとこちらを睨んできた。
「も、申し訳ございません.....」
どうやら葉温は、私が葉温に水をわざとかけたという設定を作ったらしい。
でも、葉温はここでミスをしてしまう。
「........ん？葉音、なぜ●●は水をかけるためのバケツなどを持っていない。......それに、葉温。なぜお前がバケツを...？」
一瞬、こちらもびっくりした。.....まさか、葉温がミスをするなんて....。
とたん、葉温は焦りながら説明した。
「ちっ、ち、違うのっ！えっ、......と。そ、そう！お姉様が、自分で水をかけたかのようにしなさい、って言って私にバケツをもたせたの！！」
................え？
「●●！！！お前は、どこまで腐っているんだ！いい、今日大広間に来るんだ」
背筋が凍った。
ついに、お父様の線が切れてしまったようだ。



そして、今。
死刑を告げられ、実行されている。

自分がどんな死に方だったか、もうわからない。

苦しかったけど、嬉しかったような。
葉温の策略で辛い思いをずっとしてきたけど、今になってやっと開放されたのだ。

そんなことを考えているのもつかのま。

どれくらい時が経ったかなんて、もうみじんもわからない。



[水平線]
「生まれたわっ！」
「海瑠様、女の子です！」
「海瑠、ほら、女の子だ！」

うわぁぁ、という泣き声を上げて、生まれてきたのは

新しい、私だった。