喧嘩無双
「はぁ…。」
俺は診察室から出て大きなため息をつく。
「どうだったんだ?」
病室の前では龍心がチョコムースを飲んでいた。
その為か、あたりには甘い匂いが充満していた。
「全治二ヶ月だってよ。」
華恋は表情がわからないくらい顔が腫れていた。
見ているだけでも痛々しかった。
できる事なら長澤を殺してやりたかった。
だが、それも無理な話だ。
「ここにいても華恋の治りが早くなる訳でもねぇ。とりま帰ろーぜ。」
そう龍心に肩に腕をかけられる。
「あれ?宗樹は?」
今更だが俺は宗樹がいない事に気付く。
「ゲームしたいからとか言って帰った。」
宗樹らしい理由だ。
俺達はそんな話をしながら病院を出る。
「どうかしたか?」
「へ?」
俺は急に声をかけられて変な声を出してしまう。
「別に何もねぇけど…。」
「だってお前、凄ぇ真剣な顔してるからよ。」
俺は平静を装ったが内心、かなり動揺していた。
ずっと長澤の言葉の意味を考えていたからだ。
隠していたつもりが表情に出ていたようだ。
「ならいいけどよ。」
龍心はそう言い空を見上げる。
俺もそれを追い、空を見上げた。
月に薄く雲がかかっていて、とても綺麗だ。
「じゃ、また明日な。」
そう言い龍心は俺に手を振る。
気が付けばそこは龍心の家の前だった。
俺が月に見惚れているうちにかなり時間が経っていたようだ。
「おう。」
俺は手を振り返して自分の家の方向に向かって走り出した。
―――――――――――――――――――――――――――
「ただいまー。」
俺は誰もいない家に向かって声をかけた。
もちろん返事はない。
「疲れたー…。」
俺はそう言い、そのままベッドに倒れ込む。
(飯は…今日はいいか…。)
俺はそう思い、風呂にだけ入り、寝ることにした。
―――――――――――――――――――――――――――
「おはよー…。」
俺はそう言い扉を開け、教室に入る。
結局、あの後も華恋の事が心配でろくに寝れず、寝不足になってしまった。
「おい、お前長澤達と喧嘩したって本当かよ!」
「へ?」
宗四郎がそう急に俺の所に近づいてきた。
「誰から聞いたんだ?」
宗樹は別として、少なくとも龍心がそんなことを言うはずがない。
「誰って…長澤からだけど?」
長澤から…。
俺はその時、俺は妙な胸騒ぎがした。
「あいつ何て言ってた?」
そう俺は宗四郎に尋ねる。
「えーっと確か…」
「おい拓海!」
次の瞬間、龍心が頭を抱え、そうこちらに駆け寄って来た。
「どうしたんだよ。」
「取り敢えずこっち来い。」
「えっ、ちょ待っ…」
俺は抵抗する事も許されずに腕を掴まれて連れ去られる。
その途中、周りの奴らが俺達を見て何かをこそこそコソコソ話している様な気がしたが気の所為だろうか。
龍心は人目がつかない所まで俺を連れ去り、ようやく腕を離してくれた。
何故かわからないが、そこには宗樹もいた。
「どうしたんだよ。」
俺はそう龍心に聞く。
「長澤の奴がデマ流しやがった。」
そう龍心は言う。
「厄介な事になりましたねぇ…。」
宗樹も珍しく困ったという様子を見せた。
「デマって…どんなだよ?」
俺はそう二人に聞いた。
「あいつ、「俺一人で拓海達をボコした。」なんてほざいてやがる。」
長澤が流している噂は事実とはかけ離れていた。
俺達はボコボコになんかされていないし、長澤は一人で俺達と戦ったわけでもない。
しかも、あいつは逃げやがった。
「あいつ…。」
俺は思わず頭を抱える。
何故そこまでして俺に勝ちたいのだろうか。
だが、まぁそのくらいなら二人はどうだか知らないが、俺はまだ許せる。
「それに加えて「俺が拓海達に殴られてた華恋を救った。」とか言ってるらしい。」
「は?」
流石の俺もこれには堪忍袋の緒が切れた。
俺の事ならまだ許せるが、他の人の事となると話は別だ。
流石にこれを見逃す訳にはいかない。
もしかしたら周りの奴らがコソコソ話をしていたのはこの事かもしれない。
「心が太平洋よりも広い中嶋様でも、これを見逃す事はできませんねぇ…。」
そう宗樹が言う。
ふざけている様に見えるが、かなり怒っている様子だ。
その証拠として握り締めた拳が小刻みに震えている。
恐らく力を入れているのだろう。
「俺もこれを許す事はできねぇ。」
そう龍心が言う。
その時突然、俺の脳裏に長澤の言葉が[漢字]過[/漢字][ふりがな]よぎ[/ふりがな]る。
―――俺はお前に勝つ。
俺達の信用を地の底まで突き落とす事。
それがあいつなりの勝利なのだろうか。
―――ピロピロン♪ピロピロン♪
静寂を切り裂くように、スマホの通知音がなる。
誰かから電話が掛かってきたようだ。
「っ…!」
俺はその掛けてきた相手を見て心臓が飛び出そうになる。
その掛けてきた相手は華恋だったのだ。
「もしもし。」
俺は電話のスピーカーをオンにし、スマホに向かってそう喋りかける。
『前田ぁ。』
「お前は…!」
そうその声の主は華恋ではなく長澤のものだった。
「何でお前が…!」
『木口のスマホはあの時預からせてもらった。ところでどうだ?前田。今の気分は。』
「……。」
『大切な幼馴染を守れず、しかも自分達はその犯人扱い。苦しいか?苦しいよな!』
「お前!絶対に殺してやる!」
俺は思わず感情が昂り、そう言ってしまう。
『殺してみろよ。明日の晩、扇公園で待つ。』
そう長澤は俺に言ってくる。
「決闘か何かのつもりか?」
俺はそう長澤に問いかける。
『決闘?何か勘違いしてねぇか?』
そう長澤は質問を質問で返す。
『俺にとってはこんなものお遊びに過ぎねぇんだよ!』
そう長澤は高らかに笑う。
宗樹が何かを言おうとするが、龍心に制される。
「クズ野郎が…!」
俺はそう呟く。
『クズで結構。俺の事を殺したければ明日、扇公園に来るんだな。』
そう一方的に告げられ電話を切られる。
「クソがっ!」
俺は思わずスマホを地面に思い切り投げ付ける。
「明日までの辛抱でさぁ。明日、長澤の事をぶっ殺してやりましょうよ。」
そう宗樹は言う。
「その件だが、奴らは完全に俺達をハメるつもりだ。だから行かねぇ方がいい。と言いたいところだが…。」
そう龍心は一度言葉を区切る。
「今回の件に関しては俺も相当頭にきてる。ぶっ殺してやろえじゃねぇか。」
龍心はそう拳をポキポキ鳴らす。
「当たり前だ。」
俺はそう一言だけ言うと、教室に戻る。
(絶対に殺してやる…!)
俺は心の中で強くそう思う。
俺は明日が待ち遠しくて仕方が無かった。
俺は診察室から出て大きなため息をつく。
「どうだったんだ?」
病室の前では龍心がチョコムースを飲んでいた。
その為か、あたりには甘い匂いが充満していた。
「全治二ヶ月だってよ。」
華恋は表情がわからないくらい顔が腫れていた。
見ているだけでも痛々しかった。
できる事なら長澤を殺してやりたかった。
だが、それも無理な話だ。
「ここにいても華恋の治りが早くなる訳でもねぇ。とりま帰ろーぜ。」
そう龍心に肩に腕をかけられる。
「あれ?宗樹は?」
今更だが俺は宗樹がいない事に気付く。
「ゲームしたいからとか言って帰った。」
宗樹らしい理由だ。
俺達はそんな話をしながら病院を出る。
「どうかしたか?」
「へ?」
俺は急に声をかけられて変な声を出してしまう。
「別に何もねぇけど…。」
「だってお前、凄ぇ真剣な顔してるからよ。」
俺は平静を装ったが内心、かなり動揺していた。
ずっと長澤の言葉の意味を考えていたからだ。
隠していたつもりが表情に出ていたようだ。
「ならいいけどよ。」
龍心はそう言い空を見上げる。
俺もそれを追い、空を見上げた。
月に薄く雲がかかっていて、とても綺麗だ。
「じゃ、また明日な。」
そう言い龍心は俺に手を振る。
気が付けばそこは龍心の家の前だった。
俺が月に見惚れているうちにかなり時間が経っていたようだ。
「おう。」
俺は手を振り返して自分の家の方向に向かって走り出した。
―――――――――――――――――――――――――――
「ただいまー。」
俺は誰もいない家に向かって声をかけた。
もちろん返事はない。
「疲れたー…。」
俺はそう言い、そのままベッドに倒れ込む。
(飯は…今日はいいか…。)
俺はそう思い、風呂にだけ入り、寝ることにした。
―――――――――――――――――――――――――――
「おはよー…。」
俺はそう言い扉を開け、教室に入る。
結局、あの後も華恋の事が心配でろくに寝れず、寝不足になってしまった。
「おい、お前長澤達と喧嘩したって本当かよ!」
「へ?」
宗四郎がそう急に俺の所に近づいてきた。
「誰から聞いたんだ?」
宗樹は別として、少なくとも龍心がそんなことを言うはずがない。
「誰って…長澤からだけど?」
長澤から…。
俺はその時、俺は妙な胸騒ぎがした。
「あいつ何て言ってた?」
そう俺は宗四郎に尋ねる。
「えーっと確か…」
「おい拓海!」
次の瞬間、龍心が頭を抱え、そうこちらに駆け寄って来た。
「どうしたんだよ。」
「取り敢えずこっち来い。」
「えっ、ちょ待っ…」
俺は抵抗する事も許されずに腕を掴まれて連れ去られる。
その途中、周りの奴らが俺達を見て何かをこそこそコソコソ話している様な気がしたが気の所為だろうか。
龍心は人目がつかない所まで俺を連れ去り、ようやく腕を離してくれた。
何故かわからないが、そこには宗樹もいた。
「どうしたんだよ。」
俺はそう龍心に聞く。
「長澤の奴がデマ流しやがった。」
そう龍心は言う。
「厄介な事になりましたねぇ…。」
宗樹も珍しく困ったという様子を見せた。
「デマって…どんなだよ?」
俺はそう二人に聞いた。
「あいつ、「俺一人で拓海達をボコした。」なんてほざいてやがる。」
長澤が流している噂は事実とはかけ離れていた。
俺達はボコボコになんかされていないし、長澤は一人で俺達と戦ったわけでもない。
しかも、あいつは逃げやがった。
「あいつ…。」
俺は思わず頭を抱える。
何故そこまでして俺に勝ちたいのだろうか。
だが、まぁそのくらいなら二人はどうだか知らないが、俺はまだ許せる。
「それに加えて「俺が拓海達に殴られてた華恋を救った。」とか言ってるらしい。」
「は?」
流石の俺もこれには堪忍袋の緒が切れた。
俺の事ならまだ許せるが、他の人の事となると話は別だ。
流石にこれを見逃す訳にはいかない。
もしかしたら周りの奴らがコソコソ話をしていたのはこの事かもしれない。
「心が太平洋よりも広い中嶋様でも、これを見逃す事はできませんねぇ…。」
そう宗樹が言う。
ふざけている様に見えるが、かなり怒っている様子だ。
その証拠として握り締めた拳が小刻みに震えている。
恐らく力を入れているのだろう。
「俺もこれを許す事はできねぇ。」
そう龍心が言う。
その時突然、俺の脳裏に長澤の言葉が[漢字]過[/漢字][ふりがな]よぎ[/ふりがな]る。
―――俺はお前に勝つ。
俺達の信用を地の底まで突き落とす事。
それがあいつなりの勝利なのだろうか。
―――ピロピロン♪ピロピロン♪
静寂を切り裂くように、スマホの通知音がなる。
誰かから電話が掛かってきたようだ。
「っ…!」
俺はその掛けてきた相手を見て心臓が飛び出そうになる。
その掛けてきた相手は華恋だったのだ。
「もしもし。」
俺は電話のスピーカーをオンにし、スマホに向かってそう喋りかける。
『前田ぁ。』
「お前は…!」
そうその声の主は華恋ではなく長澤のものだった。
「何でお前が…!」
『木口のスマホはあの時預からせてもらった。ところでどうだ?前田。今の気分は。』
「……。」
『大切な幼馴染を守れず、しかも自分達はその犯人扱い。苦しいか?苦しいよな!』
「お前!絶対に殺してやる!」
俺は思わず感情が昂り、そう言ってしまう。
『殺してみろよ。明日の晩、扇公園で待つ。』
そう長澤は俺に言ってくる。
「決闘か何かのつもりか?」
俺はそう長澤に問いかける。
『決闘?何か勘違いしてねぇか?』
そう長澤は質問を質問で返す。
『俺にとってはこんなものお遊びに過ぎねぇんだよ!』
そう長澤は高らかに笑う。
宗樹が何かを言おうとするが、龍心に制される。
「クズ野郎が…!」
俺はそう呟く。
『クズで結構。俺の事を殺したければ明日、扇公園に来るんだな。』
そう一方的に告げられ電話を切られる。
「クソがっ!」
俺は思わずスマホを地面に思い切り投げ付ける。
「明日までの辛抱でさぁ。明日、長澤の事をぶっ殺してやりましょうよ。」
そう宗樹は言う。
「その件だが、奴らは完全に俺達をハメるつもりだ。だから行かねぇ方がいい。と言いたいところだが…。」
そう龍心は一度言葉を区切る。
「今回の件に関しては俺も相当頭にきてる。ぶっ殺してやろえじゃねぇか。」
龍心はそう拳をポキポキ鳴らす。
「当たり前だ。」
俺はそう一言だけ言うと、教室に戻る。
(絶対に殺してやる…!)
俺は心の中で強くそう思う。
俺は明日が待ち遠しくて仕方が無かった。
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