喧嘩無双
旧北天満小学校に向かっている途中に俺はずっと気になっていたことを龍心に聞いてみる。
「なぁ、何で犯人は華恋を誘拐したと思う?」
「んなもん知るかよ。」
まぁ当たり前の返事だ。知っていた方が怖い。
「まぁ、思いつくとしたら華恋に何か恨みがあるのか、あるいは…」
「着きましたよぉ。」
龍心がなにか言おうとしたところを宗樹が大声で遮さえぎる。
人がいる様子はないが、ほんの少し明かりが灯っているように見える。
「こっちだ。」
いつの間に移動したのだろうか。
龍心はとある場所からこちらに向かって手招きをする。
そこは正門とは真反対に位置する場所だ。
「ここだ。」
龍心が手招きしてきた場所に行ってみると、そこには本当に細い道があった。
その道は猫が通るような道で、人が横向きに入っても壁に擦れるくらいの細さだった。
「ほんとにここにいるんですかぃ?」
宗樹が不満そうに言う。
「ビビってんのか?」
龍心は宗樹をそう軽く挑発する。
「誰もそうとは言ってませんぜ。」
宗樹は負けじと言い返した。
そんな話している間に、その細道から抜けた。
道が細かったからか、グラウンドがやけに広く感じる。
長年整備されていないようで草花が生い茂っていた。
「入りますぜ。」
宗樹がそう小声で言い校舎へと通じる扉をそっと開ける。
やはり、明かりが灯っている教室があった。
その教室は表札が抜き取られているせいで、何の教室かはわからなかったが、恐らく場所的に職員室とかそこらへんの教室だろう。
俺達はその教室の扉の前まで行き、耳を澄ませる。
「―――でさ。――さんが――誘拐したらしいぜ。」
「マジかよw。てか―――」
「!!」
微かだが誰かの話し声が聞こえる。
声の大きさ的に、教室のかなり奥の方にいるという事が推測される。
間違いない。誰かがいる。
それが華恋誘拐との関係があるかはわからないが、そこに人がいるのは確かだった。
俺は龍心と宗樹の方を振り返る。
二人共黙ったまま首を縦に振る。
もう準備できているという事だろう。
俺は深呼吸をし、心を決めてドアを開ける。
それと同時に二人が中に向かって走って行く。
俺も遅れを取るわけにはいかないので、急いで追いかける。
「誰だ!」
一人の男が俺達に気づく。
その声に反応し、他の仲間達も振り向いた。
身長からして、小学五年生くらいだろうか。
そのくらいの歳の奴らが数人いた。
「お前達こそ、こんな時間にここで何してる。」
龍心がそう尋ねる。
「長澤さん達に雇われたんだよ!お前らには関係ねぇだろ!」
そう一人が言う。
「達」ということは長澤の他にも何人かいるのだろう。
「予想あってましたねぇ。」
宗樹がそう龍心に向かって言う。
「……あぁ。」
龍心は少し間を空けて返事をした。
「長澤って…。涼のことか?」
俺はそうその男に尋ねる。
「そうだけど…。それがなんだよ!」
そう男はずっと喧嘩腰だ。
「おい。それは言うなって言われてただろ。」
「あ?そうだったっけ?」
何故か涼達は自分達が雇ったということを知られたくなかったらしい。
「まぁいいだろ。どうせ全員ここで殺るんだから。」
そう喧嘩腰の奴は構える。
「殺れるもんなら殺ってみろよ。」
そう龍心は奴の前に立ち、煽るような仕草を見せる。
「舐めやがって…!」
奴は怒り、拳を振り上げ、龍心のことを殴ろうとしている。
だが、相手が悪かった。
「隙がデカすぎる。蹴り飛ばしてくれって言ってるようなもんだぞ?」
そう言い龍心は、拳を振り上げ、無防備な奴の体に強烈な前蹴りをお見舞いする。
「ぐあっ!」
奴は面白い程吹き飛び、机の角に背中をぶつける。
「ひっ…!」
その光景に圧倒されたのか、他の奴らはすっかり腰が抜けていた。
「腰抜け共が。」
龍心はそう悪態をつき、腰が抜けて動けない一人の顔を覗き込み、問いかける。
「雇われた理由を言え。」
「は…はいっ!」
かなり怖がっているようで声が震えている。
「俺らがいつもみたいに集まって公園で遊んでたら急に長澤さん達が来て…。ここである事をしてくれたら報酬として金をやるって言われて…。」
「ある事っていうのは何だ?」
俺はそう奴らに尋ねる。
「この連絡先にメッセージを送れって…。」
そう言い男は自分のスマホの画面を俺達に見せてくる。
「これって…龍心の連絡先じゃねぇか。」
「ここに「旧北天満小学校に来い」って送れって言われて…。」
「完全に騙されたって訳ですね。」
「……。」
龍心は黙り込んだまま宗樹の事を殴る。
ゴンと鈍い音が鳴り、宗樹は殴られた場所を押さえてしゃがみこんだ。
「華恋は?」
俺は一番重要なことを聞く。
「そ、それは言えません…!」
そう一人の男は顔色を変える。
「言わねぇならどうなるか、わかってるよな?」
そう龍心が脅しをかける。
「やっぱり言います!だから命だけは…。」
そう男が半泣きで龍心に語りかけている。
「そこまでする気はねぇけど…。まぁいい。取り敢えず知ってる情報全部吐け。」
そう龍心が言うと、男は長澤達の場所を話し始めた。
どうやら、俺達が通う「扇小学校」の目の前にある「扇公園」に居るらしい。
「なるほど。扇公園か…。ありがとう。」
それだけ言うと急いで扇公園に向かう。
「これで情報は掴めたな。」
「おう。」
何故華恋を誘拐したのかは知らないが、悪意がある事には間違えないだろう。
このままでは華恋が危ない。
俺はそう思い、急いで二人を連れて扇公園へと向かった。
「なぁ、何で犯人は華恋を誘拐したと思う?」
「んなもん知るかよ。」
まぁ当たり前の返事だ。知っていた方が怖い。
「まぁ、思いつくとしたら華恋に何か恨みがあるのか、あるいは…」
「着きましたよぉ。」
龍心がなにか言おうとしたところを宗樹が大声で遮さえぎる。
人がいる様子はないが、ほんの少し明かりが灯っているように見える。
「こっちだ。」
いつの間に移動したのだろうか。
龍心はとある場所からこちらに向かって手招きをする。
そこは正門とは真反対に位置する場所だ。
「ここだ。」
龍心が手招きしてきた場所に行ってみると、そこには本当に細い道があった。
その道は猫が通るような道で、人が横向きに入っても壁に擦れるくらいの細さだった。
「ほんとにここにいるんですかぃ?」
宗樹が不満そうに言う。
「ビビってんのか?」
龍心は宗樹をそう軽く挑発する。
「誰もそうとは言ってませんぜ。」
宗樹は負けじと言い返した。
そんな話している間に、その細道から抜けた。
道が細かったからか、グラウンドがやけに広く感じる。
長年整備されていないようで草花が生い茂っていた。
「入りますぜ。」
宗樹がそう小声で言い校舎へと通じる扉をそっと開ける。
やはり、明かりが灯っている教室があった。
その教室は表札が抜き取られているせいで、何の教室かはわからなかったが、恐らく場所的に職員室とかそこらへんの教室だろう。
俺達はその教室の扉の前まで行き、耳を澄ませる。
「―――でさ。――さんが――誘拐したらしいぜ。」
「マジかよw。てか―――」
「!!」
微かだが誰かの話し声が聞こえる。
声の大きさ的に、教室のかなり奥の方にいるという事が推測される。
間違いない。誰かがいる。
それが華恋誘拐との関係があるかはわからないが、そこに人がいるのは確かだった。
俺は龍心と宗樹の方を振り返る。
二人共黙ったまま首を縦に振る。
もう準備できているという事だろう。
俺は深呼吸をし、心を決めてドアを開ける。
それと同時に二人が中に向かって走って行く。
俺も遅れを取るわけにはいかないので、急いで追いかける。
「誰だ!」
一人の男が俺達に気づく。
その声に反応し、他の仲間達も振り向いた。
身長からして、小学五年生くらいだろうか。
そのくらいの歳の奴らが数人いた。
「お前達こそ、こんな時間にここで何してる。」
龍心がそう尋ねる。
「長澤さん達に雇われたんだよ!お前らには関係ねぇだろ!」
そう一人が言う。
「達」ということは長澤の他にも何人かいるのだろう。
「予想あってましたねぇ。」
宗樹がそう龍心に向かって言う。
「……あぁ。」
龍心は少し間を空けて返事をした。
「長澤って…。涼のことか?」
俺はそうその男に尋ねる。
「そうだけど…。それがなんだよ!」
そう男はずっと喧嘩腰だ。
「おい。それは言うなって言われてただろ。」
「あ?そうだったっけ?」
何故か涼達は自分達が雇ったということを知られたくなかったらしい。
「まぁいいだろ。どうせ全員ここで殺るんだから。」
そう喧嘩腰の奴は構える。
「殺れるもんなら殺ってみろよ。」
そう龍心は奴の前に立ち、煽るような仕草を見せる。
「舐めやがって…!」
奴は怒り、拳を振り上げ、龍心のことを殴ろうとしている。
だが、相手が悪かった。
「隙がデカすぎる。蹴り飛ばしてくれって言ってるようなもんだぞ?」
そう言い龍心は、拳を振り上げ、無防備な奴の体に強烈な前蹴りをお見舞いする。
「ぐあっ!」
奴は面白い程吹き飛び、机の角に背中をぶつける。
「ひっ…!」
その光景に圧倒されたのか、他の奴らはすっかり腰が抜けていた。
「腰抜け共が。」
龍心はそう悪態をつき、腰が抜けて動けない一人の顔を覗き込み、問いかける。
「雇われた理由を言え。」
「は…はいっ!」
かなり怖がっているようで声が震えている。
「俺らがいつもみたいに集まって公園で遊んでたら急に長澤さん達が来て…。ここである事をしてくれたら報酬として金をやるって言われて…。」
「ある事っていうのは何だ?」
俺はそう奴らに尋ねる。
「この連絡先にメッセージを送れって…。」
そう言い男は自分のスマホの画面を俺達に見せてくる。
「これって…龍心の連絡先じゃねぇか。」
「ここに「旧北天満小学校に来い」って送れって言われて…。」
「完全に騙されたって訳ですね。」
「……。」
龍心は黙り込んだまま宗樹の事を殴る。
ゴンと鈍い音が鳴り、宗樹は殴られた場所を押さえてしゃがみこんだ。
「華恋は?」
俺は一番重要なことを聞く。
「そ、それは言えません…!」
そう一人の男は顔色を変える。
「言わねぇならどうなるか、わかってるよな?」
そう龍心が脅しをかける。
「やっぱり言います!だから命だけは…。」
そう男が半泣きで龍心に語りかけている。
「そこまでする気はねぇけど…。まぁいい。取り敢えず知ってる情報全部吐け。」
そう龍心が言うと、男は長澤達の場所を話し始めた。
どうやら、俺達が通う「扇小学校」の目の前にある「扇公園」に居るらしい。
「なるほど。扇公園か…。ありがとう。」
それだけ言うと急いで扇公園に向かう。
「これで情報は掴めたな。」
「おう。」
何故華恋を誘拐したのかは知らないが、悪意がある事には間違えないだろう。
このままでは華恋が危ない。
俺はそう思い、急いで二人を連れて扇公園へと向かった。
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