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喧嘩無双

#19

同盟

「てか時間やばくね?」

瑠加がそう俺に言ってくる。

俺はその事を思い出し、時計を見てみると約束の時間まで15分を切っていた。

「やっべ!」

最悪だ、治に気を取られ過ぎていて時間の事を忘れていた。

「まぁまぁ。そう焦らず。」

治がそう俺に言ってくる。

こいつ…本当に殴ってやりたい。

俺はそう心の中で思ったが声には出さず、例の場所へ向かって歩き出す。

「お前らも早く来い!遅れたら笑い事じゃ済まねぇ!」

俺はそう焦りをあらわにする。

「へいへい。」

「待ってー。」

そう2人を引き連れて、俺は例の場所へと向かった。

―――――――――――――――――――――――――――

「はぁ…はぁ…。」

俺はそう肩で息をする。

「何とか間に合ったな。」

瑠加はそう平気そうな感じで言っているが、ここまで1km走り続けてきたのだから。

「待ってってばー。」

治はまだそんな事を言いながらゆっくりゆっくり歩いて来ている。

「あいついつか絶対殺すわ。」

俺はそう言う。

「そん時は止めねぇわ。」

瑠加もそう治を殺す事に賛同してくれている。

だが、今はそれどころじゃない。

俺は目の前のビルの階段を駆け上がり、1つの部屋の前で立ち止まる。

そしてその部屋の扉を一定テンポでノックを繰り返す。

すると扉がゆっくり開く。

「おぉ。あんたが長澤さんか。」

そう1人の男が出てきて俺に話しかけてくる。

「そうです。そして後ろの2人が俺の部下です。」

俺がそう言うと瑠加は男に向かって頭を下げたが、治はあくびをしている。

俺は無理矢理治の頭を下げさせた。

「ははっ。あんたら面白いねぇ。」

男はそうヘラヘラと笑うと扉を大きく開ける。

「どうぞ、お上がり下さい。」

そう男が言ったので俺達は遠慮なく上がらせてもらう事にする。

奥にはもう1人の男がいた。

その男は眼鏡をかけており、ヒョロっとしている。

俺はその男にも挨拶をしたが、男は愛想悪く、黙ったまま頭を下げただけだった。

「すいません。こいつコミュ障なもんで…。」

先程の男が眼鏡の男の事をそう言う。

そして、俺達3人の前に親切にお茶を置いてくれた。

「早速ですが、本題に入らせて頂きます。」

そう眼鏡の男が急に話し出す。

俺は思わず驚いてしまったが、顔には出さない。

「我々『豊田・堀元連合軍』と『天使』との同盟に関してですが、あなた達『天使』と同盟を組む事で、我々に対する利点を教えて頂きたい。」


俺はそう突然聞かれて戸惑ってしまう。

「おい[漢字]古場[/漢字][ふりがな]こば[/ふりがな]。利点何て聞かなくても…」

「必要な事です[漢字]葉庭[/漢字][ふりがな]はにわ[/ふりがな]氏。」

そう古場と言われた眼鏡をかけた男が葉庭と言う男に言い返す。

すると葉庭は黙り込んでしまった。

「武器の供給です。」

俺はそう答える。

「武器の供給?」

古場がそう聞き返してくる。

「はい。我々『天使』では今現在、喧嘩を殴り合いだけではなく、武器を使用するという方法を取り入れようと考えております。その為の武器を現在製作中でありまして…。」


俺はそこまで話し終えると鞄からある物を取り出す。

「それがこの試作品となります。」

そう言い俺が取り出したのは木製のメリケンサックと短刀である。

古場はそれを手に取りまじまじと見つめる。

「これは『天使』さんのところで作っているのですか?」

古場がそう聞いてくる。

「はい。お抱えの者に作ってもらっています。」

俺はそう答えると古場はそれらを置く。

「わかりました。それでは、正式に同盟を結びましょう。」


古場がそう言い、手を差し伸べてくる。

という事は認められたという事だろう。

「ありがとうございます。」

俺はそう答え差し伸べられた手を握り返す。

葉庭はホッとしたように胸を撫でおろしている。

(これでようやくあいつに…。)

こうして俺達『天使』は『豊田・堀元連合軍』と同盟を結んだのだった。

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作者メッセージ

最近敵側サイドの話が多くなってきました。
楽しんでいただけていたら嬉しいです。
次回の話もお楽しみに。

2024/10/22 23:38

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