喧嘩無双
「一緒に帰ろうぜ。」
帰りの挨拶をすると同時に龍心がそう寄ってくる。
いつもならば他の奴も声をかけてくるのだが、今日は相変わらず皆からの視線が冷たい。
「おう。」
俺は龍心にそう返事をして、二人で教室を出る。
「ところで、いつになったら俺達に対する対応が戻るんですかねぇ…。」
そう宗樹の声が耳元で聞こえる。
「うぉ!びっくりした!」
俺は思わず声を上げる。
「お前は一生そのままなんじゃねぇの?」
気付けば隣にいた宗四郎が宗樹に向かってそう言う。
「暴力キノコには言われたくないでさぁ。」
宗樹はそう言い返す。
暴力キノコというのは宗樹が付けた宗四郎にあだ名で、すぐに暴力を振るう事と、髪型のマッシュだからという理由でこんなあだ名になった。
「てか宗樹、お前居残りだろ?」
そう龍心が聞く。
「抜け出したやりましたよ。あんなとこいても無駄なんで。」
そう宗樹は言った。
「だからアホなんだよ。」
そう宗四郎が言った。
「………ッ。」
宗樹は何か言い返そうとするが、自分が馬鹿な事と宗四郎が頭が良い事が事実な為、何も言い返せない。
「それに比べて陽汰と蓮は偉いよな。二人ともしっかり居残りしてるし。」
龍心がそう言う。
「いや、陽汰は居残っても寝てるぞ?」
「前言撤回。陽汰アホ。」
俺がそう言うと、龍心はすぐに言い直す。
「あ!拓海さん達!」
俺達がそんな話をしているとそう少し高い声が聞こえる。
そう、荒だ。
「わざわざ待っててくれてたのか。」
俺はそう荒に言う。
5年生は今日は5時間目までな筈だ。
「いや、家に帰っても誰もいないんで。」
荒はそう少し悲しそうな表情を見せる。
俺はその姿を見て、胸が締め付けられる。
「妹さんはどうしたんですかぃ?」
宗樹がそう尋ねる。
「妹は母型の祖父母の所にいます。俺が生きていく為のお金も母型の祖父母から貰ってます。」
そう荒は答えた。
(俺と似てるな…。)
俺も妹はいないものの、祖父母からお金を送って貰って生活している。
俺は少し親近感を覚える。
「おいクソガキ…。」
そんな中、宗四郎が荒に向かって急にそう言い出す。
「な、何かしましたか!?」
荒はそう焦った様子で聞く。
「何かしたじゃねぇよ!てめぇの所為で授業遅れてババアに怒られただろうが!」
そう宗四郎がキレる。
「ご、ごめんなさい!!」
荒はそう必死に謝る。
「許さん!って事で宗樹死ねぇ!」
宗四郎は急に方向転換をして宗樹を殴り飛ばす。
「げへぇ!」
殴り飛ばされた宗樹はそう声を漏らし、転がり回った。
「てか、何でまた敬語なんだよ。」
そう龍心が荒に聞く。
確かに、言葉遣いがまた敬語に戻っている。
「いや、だって皆さん先輩なんで…」
「そういうのいいから。タメでいいって。敬語はなんつーか…。むず痒い。」
俺はそう言う。
「なら…。」
そう荒は何かを決心した様だ。
「これから宜しく!皆!」
そう先程までとはテンションが打って変わり、明るい様子で話しかけてくる。
「おぉ。すげぇ。詐欺師向いてるぞ。」
宗四郎がそう褒める。
「それ[漢字]貶[/漢字][ふりがな]けな[/ふりがな]してるだろ。」
そう荒が宗四郎に言い返した。
「詐欺師になるなら龍心に弟子入りしたらどうですかぃ?龍心は筋金入りの詐欺師ですぜ?」
宗樹がそう言う。
「俺のどこが詐欺師なんだ?あ?言ってみろ?」
そう龍心は宗樹に掴みかかる。
「え?顔。」
そう答えた宗樹はコンマ1秒で殴り飛ばされた。
宗樹は声を出す事もできずにピクピクしている。
「まぁ、改めてようこそ。これから宜しくな。」
俺はそう荒に言う。
「こちらこそ宜しく。ところで、皆は何てチームなんだ?」
そう荒が聞いてくる。
「……チーム?」
俺はそう聞き返す。
「チーム名だよチーム名。総長…いや、長澤が言ってたぜ?拓海達も暴走族だって。」
そう荒が言う。
「あいつって息を吐くようにデマを流すんだな。」
そう龍心が言う。
「あいつには別の世界が見えてるんじゃねぇの?」
そう宗四郎が言った。
「言っとくけどな荒。俺達は暴走族でもなんでも…」
「面白そうじゃねぇか。」
そう俺の言葉は何者かによって遮られる。
「陽汰!蓮も!」
どうやら居残りがそう終わったのか二人とも来た。
「いやー。居残り大変だったわ。」
「お前寝てただけじゃねぇか。」
陽汰の発言に対して蓮がツッコむ。
「そんな事はどうでもいいんだよ。それよりも暴走族。面白そうじゃねぇか。」
陽汰はそう言う。
「お前正気か?」
俺はそう聞く。
「俺はいつだって正気だぜ。」
陽汰はそう答える。
「俺も賛成だぜ?何より合法的に喧嘩ができる。」
そう龍心も言う。
てかこいつ合法的の意味知らないだろ。
「『[漢字]悪英雄[/漢字][ふりがな]ダークヒーロー[/ふりがな]』ってのはどうですかぃ?」
そう宗樹が提案する。
「おぉ!粗大ゴミにしては言い意見じゃねぇか!」
そう宗四郎は喜んでいる。
「『悪英雄』…。確かに良いかもな。」
そう蓮も言う。
「じゃあ『悪英雄』で決定で!」
そう陽汰が言う。
「マジか…。」
この日から俺達は暴走族になったのだった。
帰りの挨拶をすると同時に龍心がそう寄ってくる。
いつもならば他の奴も声をかけてくるのだが、今日は相変わらず皆からの視線が冷たい。
「おう。」
俺は龍心にそう返事をして、二人で教室を出る。
「ところで、いつになったら俺達に対する対応が戻るんですかねぇ…。」
そう宗樹の声が耳元で聞こえる。
「うぉ!びっくりした!」
俺は思わず声を上げる。
「お前は一生そのままなんじゃねぇの?」
気付けば隣にいた宗四郎が宗樹に向かってそう言う。
「暴力キノコには言われたくないでさぁ。」
宗樹はそう言い返す。
暴力キノコというのは宗樹が付けた宗四郎にあだ名で、すぐに暴力を振るう事と、髪型のマッシュだからという理由でこんなあだ名になった。
「てか宗樹、お前居残りだろ?」
そう龍心が聞く。
「抜け出したやりましたよ。あんなとこいても無駄なんで。」
そう宗樹は言った。
「だからアホなんだよ。」
そう宗四郎が言った。
「………ッ。」
宗樹は何か言い返そうとするが、自分が馬鹿な事と宗四郎が頭が良い事が事実な為、何も言い返せない。
「それに比べて陽汰と蓮は偉いよな。二人ともしっかり居残りしてるし。」
龍心がそう言う。
「いや、陽汰は居残っても寝てるぞ?」
「前言撤回。陽汰アホ。」
俺がそう言うと、龍心はすぐに言い直す。
「あ!拓海さん達!」
俺達がそんな話をしているとそう少し高い声が聞こえる。
そう、荒だ。
「わざわざ待っててくれてたのか。」
俺はそう荒に言う。
5年生は今日は5時間目までな筈だ。
「いや、家に帰っても誰もいないんで。」
荒はそう少し悲しそうな表情を見せる。
俺はその姿を見て、胸が締め付けられる。
「妹さんはどうしたんですかぃ?」
宗樹がそう尋ねる。
「妹は母型の祖父母の所にいます。俺が生きていく為のお金も母型の祖父母から貰ってます。」
そう荒は答えた。
(俺と似てるな…。)
俺も妹はいないものの、祖父母からお金を送って貰って生活している。
俺は少し親近感を覚える。
「おいクソガキ…。」
そんな中、宗四郎が荒に向かって急にそう言い出す。
「な、何かしましたか!?」
荒はそう焦った様子で聞く。
「何かしたじゃねぇよ!てめぇの所為で授業遅れてババアに怒られただろうが!」
そう宗四郎がキレる。
「ご、ごめんなさい!!」
荒はそう必死に謝る。
「許さん!って事で宗樹死ねぇ!」
宗四郎は急に方向転換をして宗樹を殴り飛ばす。
「げへぇ!」
殴り飛ばされた宗樹はそう声を漏らし、転がり回った。
「てか、何でまた敬語なんだよ。」
そう龍心が荒に聞く。
確かに、言葉遣いがまた敬語に戻っている。
「いや、だって皆さん先輩なんで…」
「そういうのいいから。タメでいいって。敬語はなんつーか…。むず痒い。」
俺はそう言う。
「なら…。」
そう荒は何かを決心した様だ。
「これから宜しく!皆!」
そう先程までとはテンションが打って変わり、明るい様子で話しかけてくる。
「おぉ。すげぇ。詐欺師向いてるぞ。」
宗四郎がそう褒める。
「それ[漢字]貶[/漢字][ふりがな]けな[/ふりがな]してるだろ。」
そう荒が宗四郎に言い返した。
「詐欺師になるなら龍心に弟子入りしたらどうですかぃ?龍心は筋金入りの詐欺師ですぜ?」
宗樹がそう言う。
「俺のどこが詐欺師なんだ?あ?言ってみろ?」
そう龍心は宗樹に掴みかかる。
「え?顔。」
そう答えた宗樹はコンマ1秒で殴り飛ばされた。
宗樹は声を出す事もできずにピクピクしている。
「まぁ、改めてようこそ。これから宜しくな。」
俺はそう荒に言う。
「こちらこそ宜しく。ところで、皆は何てチームなんだ?」
そう荒が聞いてくる。
「……チーム?」
俺はそう聞き返す。
「チーム名だよチーム名。総長…いや、長澤が言ってたぜ?拓海達も暴走族だって。」
そう荒が言う。
「あいつって息を吐くようにデマを流すんだな。」
そう龍心が言う。
「あいつには別の世界が見えてるんじゃねぇの?」
そう宗四郎が言った。
「言っとくけどな荒。俺達は暴走族でもなんでも…」
「面白そうじゃねぇか。」
そう俺の言葉は何者かによって遮られる。
「陽汰!蓮も!」
どうやら居残りがそう終わったのか二人とも来た。
「いやー。居残り大変だったわ。」
「お前寝てただけじゃねぇか。」
陽汰の発言に対して蓮がツッコむ。
「そんな事はどうでもいいんだよ。それよりも暴走族。面白そうじゃねぇか。」
陽汰はそう言う。
「お前正気か?」
俺はそう聞く。
「俺はいつだって正気だぜ。」
陽汰はそう答える。
「俺も賛成だぜ?何より合法的に喧嘩ができる。」
そう龍心も言う。
てかこいつ合法的の意味知らないだろ。
「『[漢字]悪英雄[/漢字][ふりがな]ダークヒーロー[/ふりがな]』ってのはどうですかぃ?」
そう宗樹が提案する。
「おぉ!粗大ゴミにしては言い意見じゃねぇか!」
そう宗四郎は喜んでいる。
「『悪英雄』…。確かに良いかもな。」
そう蓮も言う。
「じゃあ『悪英雄』で決定で!」
そう陽汰が言う。
「マジか…。」
この日から俺達は暴走族になったのだった。
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