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その瞬きに恋をした。

#1


「あ、[漢字]王馬[/漢字][ふりがな]おうま[/ふりがな]さん…」
「おはよー![漢字]文花[/漢字][ふりがな]ふみか[/ふりがな]ちゃん」
今日も彼は、底が見えない笑顔をふりまく。何を考えているのか、私はよく知らないし、分からない。
そんな彼のことを好きになったのは、数ヶ月前の事だった。

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元々、彼を一目見た瞬間から、少し好意を持っていたのかもしれない。
だけれど、その時はまだ、その感情を「好意」と思うことが出来なかった。好きとは、どういう状態の事か、分からなかった。
それなのに、私は恋に落ちた。落ちてしまったのだ。
その理由は、何気ない事やらの積み重ねであった。

「あれれ…、どこ行けば良いの…?」
入学してから、三日ほど経った頃。私は広い校内で迷っていた。図書室に、貴重な天文学の本があると聞き、行ってみたかったのだが、希望ヶ峰は広すぎて、どこにどの教室があるのか分からない。
「えーっと………」
「あれ?文花ちゃんじゃん!」
「えっ?…あ!お、王馬さん!」
どうしようかと迷っていると、そこに丁度、彼がやってきた。
「王馬でいいのに…っていうか、どうしたの?こんなところで」
「あぁいや、えっと…。図書室に行きたかったんですけど、迷っちゃって」
素直に事情を話すと、彼はいつもの笑顔のまま、私にこう言う。
「なるほどねー。文花ちゃん、ここは図書室の反対側だよ?」
彼は笑って、私にそう指摘する。私は、方向音痴がバレたので、恥ずかしくなり少々赤面した。この方向音痴は、私の唯一のコンプレックス、劣等感を抱いている部分なのだ。
「そ、そうなんですか…?あはは…恥ずかしいなぁ、ちゃんとマップ見てるのに…」
「全くもう、文花ちゃんそういうトコあるよねー!」
にしし、なんて特徴的な笑いをこぼされた。一体どういう意味なんだろう、と少し考えていると、彼が口を開いた。
「もし良かったら、オレが案内したげるよー。ちょうど暇なんだー!」
先程とは全く変わらない、不思議な笑顔で彼が言う。提案は嬉しかったが、彼の手を煩わせないかと、少し不安だ。
「えっ、良いんですか?なんだか、申し訳ないです…」
「いいよー。ほらほら、こっちおいで!」
私の中にある、不安やらの感情なんて気にもせず、彼は私の手を、半ば強引に引きはじめた。
手が少し痛くなったが、だけどその時、私は痛み以上の発見をした。まるで、新しい星を見つけた時のような。
階段を[漢字]上[/漢字][ふりがな]のぼ[/ふりがな]ってゆく時に、彼の横顔を見た瞬間、私は__恋に落ちたのだ。

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「はぁ…」
「どうしたの、[漢字]小栗[/漢字][ふりがな]こくり[/ふりがな]さん?ため息なんかついて…」
「えっ?あぁいや、なんでもないよ」
__今でも、あの時のことを思い出すと、ほんのり鼓動が早くなる。
今は授業と授業の間、休み時間中で、私が密かに恋している彼は、クラスメイト数名と話をしている。
本当は、あの会話に混じってみたい所だが、私が入っても、場をつまらなくさせるだけだろう。昔から、私はそういう人間なんだ。
「……」
彼は一体、何を話しているのだろう。ふと気になり、耳を澄ませてみるが、この騒がしい教室内じゃ、会話なんて聞き取れない。彼がいる場所は、同じ教室内でも、私とはちょっとした距離がある。なおさら、話など聞き取れないだろう。
「あ、次の授業の準備…」
後ろのロッカーまで、教科書を取りに行く。この間にも、少し挑戦してみたが、やはり、一単語も聞き取れることはなかった。
__だけど、その刹那。彼と目が合った。チラリと横目で窓の方を見ると、ちょうど彼と目が合ったのだ。
ここから話しかけられ、恋が叶う…、なんて事を、ほんの一瞬だけ期待してみたが、やはりそんな幻想は彼方にあるのだそう。私と彼は、言葉を交わすことなんて一切無かった。

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__彼を想うだけの日々は簡単に過ぎ、約二週間が経過した。
「さて…。今日はついに[漢字]超新星爆発[/漢字][ふりがな]ちょうしんせいばくはつ[/ふりがな]を観測できる日…!学校に泊まろうかな」
今日は「超新星爆発」というものが見える日だ。この現象は、10年に一度くらいの頻度で起こるが、私はこの現象がお気に入りだ。今年は、夜の23時ごろに起こる見通しなので、学校に泊まり、屋上で見るか、家でじっくりと見るか悩む。
「うーん…。希望ヶ峰は、許可さえ取れば何時でも屋上に行けるし…。環境としては、希望ヶ峰の方が良いのかな?あぁいや、でも家の方がじっくり観測できるし…」
休み時間。皆が日常を過ごしている中、私は、どこで超新星爆発を見よう、なんて悩んでいた。まぁまぁ大きな独り言もこぼしながら。
「うーん…」
首をかしげながら、どうしようかとうんうん[漢字]唸[/漢字][ふりがな]うな[/ふりがな]っている私は、すぐ近くまで来ていた彼に気付かなかった。
「文花ちゃんっ!」
「わっ!!」
私の背後に居た彼はいきなり、大声を出して、私を驚かせた。いきなりの場面に、つい驚いてしまい、つられるように、大きな声を出してしまった。一人、二人ほどのクラスメイトからの、変な視線が絡みつく。
「にしし、驚いた?」
「お、驚きましたよ…。どうしたんですか?」
「いや、文花ちゃんがなんだか悩んでたみたいだったからさ!話しかけてみたんだよね、それだけ。何で悩んでたの?」
私に話しかけた理由は、よくあるものだった。だけど、それだけでも、私は彼と、こうやって話せることが、すごく幸せだった。だが、あまりにも幸せなので、緊張でうまく言葉が出てこなかった。数秒の間を置いてしまったが、私は彼の疑問に返事をする。
「あぁ、その…。今日、夜に超新星爆発っていうのが起こるんです。学校で観測しようか、家で観測しようか、悩んじゃって…」
超新星爆発、なんて言葉を彼が知っているのか、とも考えたが、回答するには、この単語を使う必要があった。
だが、私の悩みなんて、ただの[漢字]杞憂[/漢字][ふりがな]きゆう[/ふりがな]だったらしく、彼はこの言葉の意味を、じゅうぶん理解していたようだ。
「あぁー、なるほどね!」
「…その、王馬さんに聞くのもあれですが、学校と家だったら、どっちが良いと思いますか?ごめんなさい、急にこんな事聞いて…」
「うーん、学校じゃない?」
失礼なことを思うようだが、てっきり、彼はおちゃらけた、訳の分からない反応をするかと思っていた。だけど、案外ちゃんとした答えを出してくれた。
彼がこう言ったのだから、今日の超新星爆発は、学校で観測しよう。今日はいい景色が見れそうだと、心なしか、ワクワクする自分が居た気がする。
「なるほど…。ありがとうございます。じゃあ…学校にします」
…そういえば、学校の方が家より良い理由を、聞いていなかった。彼と話すという事実だけで、高揚してしまって、問う気すら生まれなかったのだ。
まぁでも、心残りっていう程でもないし、これでいっか…だなんて、大雑把に考えてみよう。
「うん!……あ、そうだ」
「どうしました?」
会話はもう終わりかと思ったが、突然、彼が話を続けた。
「学校で観測ってさ、泊まるの?」
「あぁ、はい。担任に届けを出して、泊まることになりますね…」
「じゃあさ、オレも一緒に泊まりたいな。超新星爆発、気になるし!文花ちゃんは『超高校級の天文学部』だしさ、詳しい解説とか聞いてみたい」
その言葉は、私にとってまさに、青天の[漢字]霹靂[/漢字][ふりがな]へきれき[/ふりがな]だった。
「えっ…?い、いやいや!王馬さんの時間を取るわけにはいきませんよ…!」
「なんでー?オレは望んでるのに」
この時の彼の笑顔は、いつもよりも、妙に大人びているように見えて、私は少しだけ、胸が高鳴る感覚を覚えた。
彼が、自分自身で望んでいるのなら、私が止める筋合いも理由も、全く無いのかもしれない。それに、実際に二人で観測をしたとしても、私にデメリットは特に無かった。彼はどう思っているか知らないが、とりあえず、今のところは、両者ともに、デメリットは生まれていない。そう思う。
実際に泊まれるかは、流石にまだ分からないが、少しは、彼と一緒に居られる事を、願おうと思う。
「…本当に、泊まりたいんですか?」
「うん!これは嘘じゃないから」
「…そうですか。じゃあ、昼休みになったら、職員室まで行きましょう。宿泊届が必要なので、届けを先生にもらいます。今はもう、時間がないので…」
今私達は、二時間目と三時間目の、若干長めの休み時間を過ごしている。だが、次の授業までは、もう三分もなかった。
「はーい。お昼休みね。ご飯食べたら職員室前に行く?」
「そうしましょうか。私は食堂行きますけど…」
「あー、オレ弁当なんだよね。食べ終わったら集合ってだけでいい?」
彼がお弁当というのは、なんだか少し想像と違った。
「はい」
「よーし、じゃあ決まりだね!楽しみにしてるよ」
今回も、最後に「にしし」という特徴的な笑いをして、彼は自分自身の席へと行ってしまった。
最後あたりの会話では、もうすでに、彼と話すことへの緊張はなくなっていた気がする。それでも、鼓動がいつもより早かった気がするのは、また別の部分に、ときめいていたのだろう。三時間目の授業に入る準備をしながら、私はそう考えた。

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「__それじゃあ、また後で」
「うん!またねー」
放課後。私達は、とりあえず各自の家に帰り、荷物を学校まで持ってくる事にした。
もちろん、宿泊は昼休みにきちんと申請した。職員室で宿泊届をもらい、さっき二人で提出したところだ。
「楽しみだなぁ…」
帰路についている時、思わずそんな言葉が、口から漏れ出た。学校に泊まる、という事自体は、別によくしている事だ。
だが、好きな人と一緒に、となると、やっぱり話は別になる。宿泊というのは、無条件にワクワクしてしまうものだが、今回は、より一層、心が跳ねていた。
「……あ、そうだ。説明って言ってたから、一応図鑑を持っていこうかな…」
誰も居ない道中、少し大きな声で、私はそう言った。住宅街というわけでもないので、今の言葉が、誰にも聞こえていないことをとりあえず祈る。
図鑑は、基本持っていかない。すでに脳内にある知識だけで、ほとんど事足りてしまうのだ。
だが今回は、他の人が居るのだ。
彼に対し、分かりやすい説明を出来る自信は、正直言って、私の中には無かった。なので今回は、図鑑も少し持っていこうと思う。家に図鑑は何冊もあるが、今回は、中高生向けの、ちょうどいい難しさの図鑑にする。
「えへへ、楽しみだなぁ」

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「さて、屋上開けますよ」
「うわー!楽しみだね」
あれから数時間。私と彼は、無事学校にたどり着き、今は屋上の鍵を開けるところだ。
「屋上の鍵、無くさないようにしなきゃ…」
「大丈夫だよー、そう簡単に無くさないでしょうし」
「あぁ…まぁ、確かにそうですね」
腐っても、先生からありがたく借りた鍵なので、無くさないように、私達は気をつけなければならない。私は、それが若干心配であった。
だが同時に、まぁどうにかなるだろう、という思考も、私の脳に浮かんでいた。普段はこんな事を考えたりはしないのに、どうしてだろうか。やはり、若干紅葉しているから、だろうか。
「……わぁ!見てください王馬さん!今日は、いつにも増して綺麗な空をしていますよ!」
屋上の扉を開けた先には、とても綺麗な星空が会った。
紫と青が綺麗に混じり合い、そこに散りばめられているのは、白かったり、青かったり、赤かったりの、色とりどりの星たち。
息を呑んでしまう程に、綺麗な夜だった。
「ホントだね!すごく綺麗」
彼も、私と同じように、星空を「綺麗だ」と言って、眺めていた。やはり、今日の空の美しさは、かなり珍しく、それでいて魅力的なものだ。
「あの…すみません。今日の空はすごく素敵で、写真に収めておきたいので、数枚ほど、写真を撮りますね。少々お待ちください…」
こういう時のために、私は一眼レフのカメラを常備している。
数枚ほど、今の夜空を撮ったが、やはり、写真でも現実に劣らないほど、綺麗に写った。印刷をする時が、今からとても楽しみになるほど。
「……」
あわよくば、彼の写真も撮りたい。なんて事を、突然思った。撮ってみてもいいかなと思い、カメラを彼の方に、一瞬だけ向けてみる。だけど、今の私には、彼の事を撮る勇気はなかった。
「……テントを張りますか?私が持ってきたので」
「テント?何それ、面白そう!やっちゃおっか」
何それ、という発言を聞く限り、彼はテントを張ることを、知らなかったのだろう。キラキラと輝く彼の目は、この屋上から見える星空と、同じくらい綺麗だった。できることならば、彼のこの綺麗な瞳を、ずっと見つめていたいものだ。

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彼とテントを張るのは、中々に面白い経験だった。テントは一応、二人なので二つ張ってみたが、何かあったら困るので、少し細工を施してみた。
まず、テントの一部、相手のテントとの向かい側を切断した、次に、テープなどの小道具で細工を施せば、窓のように開け閉めができるテントの完成だ。こうすれば、相手や自分に何かあった時、すぐ助けを聞くことが出来るし、逆に助けを求めることも出来る。
実はこれは、彼が考えた案なのだが、中々に素晴らしいものだと思う。
「おぉ…。すごく便利になりましたね。そちらは、風通しなど大丈夫ですか?」
「うん、オッケーだよ」
「そうですか!なら良かったです。さて、一段落つきましたし、何をしましょうか?」
夕ご飯の時間にしては、まだ早いような気もする。そもそも、家でとりあえずの軽食を食べてくるように、と言ったので、両者ともに、腹はあまり減っていないのだ。
「うーん。あ、じゃあさ!星の解説してよ!得意でしょ?」
テントから、可愛げな様子で顔を出して、彼が言った。私は、元々彼に対し、説明や解説をする気があったので、これは悪くないだろう。
「はい、分かりました。ちょっと待ってくださいね、図鑑を出すので…」
リュックサックの中に手を入れると、しっかりとした、厚い物の感触がした。その、厚い図鑑を取り出して、テントの外へと出る。冷たく吹く風は、とても心地の良いものだった。

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彼に星の説明をする時間は、私にとって、とても幸福な時だった。
「ねぇ文花ちゃん、あの星はなに?」
「あぁ、あれですか?えーっとですね、説明すると、少し長くはなっちゃうんですが__」
学校の屋上。寒い夜風に当たりながら、好きな人と話す。自分が今、体験している事はあるのだが、なんとロマンチックなシーンなのだろう。恋愛系の映画やドラマにありそうな、そんな気がする。
…だが私は、主人公のように「好きです」なんて言える勇気を、持っていなかった。
「へー、面白いね!天文学って」
「えへへ…。天文学って言っても、結構幅広い学び方で分かれてるんですけどね。専門的な、数学や化学の知識なんかも必要とされますし。今日お話した内容は、専門的な難しいお話を、できる限り分かりやすく、まとめたものなんですよ」
私が控えめにそう言うと、彼はまぁまぁ大きめな相槌をついた。彼は、話を聞くときのリアクションが、中々に大きいので、話している側からすると、とても楽しい。喜ぶ時はすごく喜ばれ、悲しむ時はすごく悲しまれ。
「情緒不安定な人」なんて言えば、それまでになるかもしれないが、とにかく私は、彼と話す時間が、ものすごく楽しくて幸せだ。
「分かりやすく?そうなんだ」
「はい。……あ、もうそろそろ!超新星爆発が来ますよ!」
あっという間に時間は過ぎてしまったが、現在時刻は21時56分。一応の予定時刻は、22時前後ぐらいなので、あと4分ほどで来る事となるだろう。
「もう来るの?楽しみだねー!」
「あと4分ほどですね…。望遠鏡を用意しなきゃ」
もう時間がないので、せっせと望遠鏡の準備を急ぐ。私が今使っている望遠鏡は、持ち運びに便利な、折りたたみ式のもの。私は、予備で3つの望遠鏡を持っているので、2つ目は、彼が覗くようにしようと思う。
「王馬さん、どうぞ。使ってください」
「いいの?ありがとう!」
望遠鏡の使い方は、理科の授業やらで習っているはずなので、問題が起こることはないだろう。もし使い方を知らなかったとしても、私が教えられる。問題はない。
「……」
ふと、彼の方を見る。
やっぱり私は、彼のことが好きだ。自分でも、なんで今、急に彼の方を?と思う。
理由は分からないが、急に、よく分からない感情が、込み上げてきた。私の心の底から、ぐっと。
「……王馬さん」
「ん?どうしたの?」
「星が、綺麗ですね」
自分でも、自分が何を言っているのか、何が言いたいのか、よく理解は出来なかった。だけど、とにかく、とりあえず、私の言葉を、声を、彼に聞いてほしかったのだ。
「…そうだね」
静まった空気感。どうしよう、私のせいだ、なんて劣等感を、少しだけ感じてみた。いつも明るいはずの彼が、今日はなぜか、すごく大人びているように見える。
「ねぇ、文花ちゃん」
急に、彼が声を出した。訳もなく、望遠鏡をいじっていた最中の私は、急な声に少しびっくりするも、彼の方を向く。
「どうしました…?」
けだるげで、それでいて無邪気な子供のような雰囲気をまとう彼は、こう言った。
「文花ちゃんはさ…。オレの事、好きなの?」
「え……?」
彼のその発言は、今日二度目の、青天の霹靂だった。
自分の頬が赤くなっていくのを、直で感じる。夜風は冷たいのに、顔は暑かった。
そんな私の様子は、さぞおかしいものだったのだろう。彼は、ほんの少しだけ、ピエロを見た子供のように笑ってから、再度言葉を紡ぎ始めた。
「図星かな?」
「いや、その…。図星とかってわけじゃ…」
「じゃあ、なんで赤くなってるの?」
彼は私に近づいて、そう言った。すごく近い距離で、私の頭は、既にオーバーヒート寸前だ。
「……ねぇ、文花ちゃん」
今の言葉に、私の返事は、あっても無くても良かったのだろう。彼は、一人喋りだした。
「どうして、オレがわざわざ『泊まりたい』って言ったと思う?」
「え、それは…。星に興味があるか…」
「違うんだよ」
しどろもどろになった私の返事を[漢字]遮[/漢字][ふりがな]さえぎ[/ふりがな]って、彼は…こう言った。
「文花ちゃん。オレさ、キミの事がさ…」


「______!」
私の、うるさいうるさい鼓動。
体を巡る血の感覚は、いつも以上に目立って。
でもそれ以上に、私はただ__やっと叶ったんだと、そう感じていた。
彼のその言葉は、間違いなく、私を喜ばせる吉報だった。思わず、熱い涙も流れてしまう程に。
「…王馬さん…!」
「文花ちゃん、キミも同じだよね」
「はい…!」
学校の屋上。夜空の下。
私は、好きな人とやっと、結ばれることが出来た。
「あの、王馬さん」
「何?」
「嘘じゃ…ないんですよね?」
「もちろんだよ。好きだからね」
望遠鏡は、もう既に、屋上のどこかに転がっていた。カラカラ、なんて、転がる音も聞こえてくるのだから。

「嘘じゃ、ないんだ…!」
熱い涙を流しながら、私は目を閉じる。
超新星爆発の代わりに見えたのは__彼の瞳だった。

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

ダンガンロンパの二次創作小説を書かせていただきました。


えー、作者コメントまで来れたあなた、あなたはすごいです。めっちゃスクロールしてきた、という人もお疲れ様です。スクロール、気が遠かったでしょう。


いつも、小説の文字数は、2000字行くか行かないか、くらいなのですが…。やっぱり推しの二次創作は興が乗ってしまいますね。つい、7000文字以上行ってしまいました。自分でも、ここまで書けた理由が全く分かりません。
ここまで書いていますから、多分一つぐらいは表記ミスなどもある事でしょう。ですが、ちょっと確認するのはきついので、どうかご勘弁お願いします…。


読んでいただき、ありがとうございました。

2024/06/24 19:56

夢野 シオン@水野志恩SS ID:≫7tLEh4qnMjetA
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・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

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