短編集
[太字]すれ違い[/太字]
冬の寒い夜。風が吹く歩道橋で私は昔の、後輩と喋っていた。
「○○さんも結婚ですか〜、早いっすね」
『速すぎる男に言われても........』
昔の後輩、「鷹見啓吾」ことNo.3の「ホークス」
鷹見くんは、速すぎる男と言われている。まぁ、理由は面倒くさいから言わないけど
「.......ね、俺の昔の話聞いてくれますか」
『どしたの、聞いてあげるよ。先輩だし』
真剣な顔をして鷹見くんが言うものだから少し驚いた。
「もう今だからぶっちゃけちゃうんですけど、
俺、先輩のこと好きだったんですよね。」
『...........ぇ?』
ヘラヘラ笑って、優しい顔して、でも何処か悲しげに鷹見くんが言う
「好き」って、いつから........「スき」って、恋愛?「スキ」って、いつまで?「すき」って、どういうこと
私の困惑を読み取ったのか、鷹見くんが優しく微笑んで
「もう先輩結婚してますし、今は違うんで安心してください」
びっくりさせてすんません、と視線を下へ向け鷹見くんが言う。
鷹見くんがよくする、嘘をついている時の癖
何が嘘か分からなかったし、ただ今は高校時代の記憶が蘇るだけ
《○○先輩〜、置いてきますよ?》
《髪型変えたんですか?似合ってます》
《○○先輩、文化祭一緒に回りましょ》
《○○先輩!来てくださいっ!》
《先輩、おはよございます》
《俺は、好きな人居ますよ》
思い出せない程の思い出があって、2年間濃かったんだなと今実感させられた。
そうしたら鷹見くんの困惑の声が聞こえた
「な、で○○さん泣いてるんです......?」
目を少し見開いて、鷹見くんが問う
私は驚いた。いつの間にか、泣いちゃってたんだ
鷹見くんが手を伸ばす気配がして、私はその手を振り払った
『言うのが、遅いよっ...........』
まるで、歩道橋の左と右で、世界が違うように感じた
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