二次創作
短編集【リクエストOK】
創作元:2j3j
キャラ:knmt
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『........っは.....っ......!』
必死に必死に、楽譜通りにやってるはずなのに、自分の耳に入らない
ポコポコと鍵盤の音だけが響いて止まない
私の演奏、グダグダだよな、
『汚い、よな........』
音楽室の扉の向こう、一つの足音が鮮明に聞こえた
「僕には、気持ちが込められてるいい演奏に聴こえますけど」
鍵盤の音が途端に止み、声のする方へ顔を向ける
音楽室の窓のところに肘を付き、剣道のモノらしきものを背負った、綺麗な紫を靡かせた少年が居た
『っえ、君..........』
「もう一回、弾いてくださいよ」
軽く、ふわりと微笑まれ、彼の周りに音符が飛ぶ
ふわふわとした、綺麗な音符が
私は鍵盤を目の前にし、そっと手を置く
『............』
赤ちゃんを撫でるように、優しく、優しく鍵盤に触れた
できる、聴こえる。......楽しい
やけに耳に入ってくるピアノの音
私の演奏ってこんな音なんだ。凄く、優しいな.......
ふわりと鍵盤を包み込むような、ぽかぽかとした音色
「........できんじゃん」
君のせいかもね。名前も知らない、君のせい
紫の髪色、剣道部、少し冷たい声色のキミ
でも、その一言は、私を見る眼差しはとても"温かい"よ。
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『先生。私進路変えます』
「.........もう、手遅れなところまで来てるわよ」
『いいです。
私は、音楽ができる高校に行きます』
「..........そう」
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『ねね、刀也くん!受かったよ、私』
《そうですか》
電子音が混じった、少し低い君の音
そっけない態度はいつも通りだけど、どこか喜んでる声色に期待を膨らます
『.........刀也くんさ、同じ高校来てよ。
とびっきりの演奏聴かせてあげるから』
《........それは、楽しみですね》
少し笑いを含んだ刀也くんの声。その返事は、Yesって捉えていいんだよね?
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____一年後......
私の学年が一つ上がる年、桜の木の下。俯く白髪の子を見つけた
........なんか、昔の私みたいだな
『ねね、君。顔見せてよ』
「エッ.........なんでですか」
白い髪が靡き、肩が揺れた
少し怯えた、何かに不安を恐怖を持っているその子に、半ば無理矢理に上を向かせた
「っちょ、........!!」
『下ばっかり向いてたら、私の可愛い顔が見えないでしょー、っが!』
その子の目とバチリと視線が合わさる
次の瞬間、すぐに目を逸らされ、手を弾かれる
綺麗な赤の目。不安に染まった赤の色。
『...........なぁんだ。綺麗な目持ってんじゃん』
「........っは」
『そんな綺麗な目ぇ見せないとか損してるよ〜?私だったら絶対見せる!!』
「..........っは、は....なんすかそれっ......」
赤い目を持った綺麗な少年は、少し嬉しそうに可笑した
私はそれを見て、思わず笑みが溢れる
ね、刀也くん。私は、君みたいに人を救えましたか?
........刀也くん
貴方は今、どこで何をしてますか?