短編集
創作元:文豪ストレイドッグス
キャラ:中原中也 太宰治
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少し前、ある女の子が入ってきた
女の子の名前は「●●○○」
人形のように美しく儚く、感情が無いような子だった
でもその儚さが、少しでも触れたら散ってしまいそうな命に、興味が湧いた
「○○ちゃんは、何が好きかい?」
『........すき、と云うのが分からない』
僕の直属部下にした訳だが、矢張り何も変わらず人形の儘
でも何処か安堵と悔しみが有るような気がした
僕は、彼女の事を此の手で変えたいのだろうか
「うんうん。次に、○○ちゃん僕と心中してみないかい」
『心中.............別に良いけど...』
僕は少し驚き、目を見開く
"別に良い"と.........此処迄、彼女は人形のようだったか
生きる理由も、死ぬ理由も無い。"生きろ"と言われれば生きる、"死ね"と言われば死ぬ
多分彼女の答えはそう云う事なのだろう
「○○ちゃん、生きたい理由を探す為に生きよう」
『.....?分かった....?』
彼女はきょとんとし、分からなそうだったが、そんな所も愛らしい
彼女の"生きる理由"が僕に成れば..........いい、なんて熟依存しているな
彼女の白い首元に在る、僕が上げた黒いチョーカーを見て自然に口角が上がった
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彼女に最近人間らしさ...........厭、女の子が出てきた
その原因となるのが僕の大嫌いな相棒「中原中也」だ
彼奴が彼女に近づいてから彼女に感情、女が出てきた
又楽しく中也と話す彼女を見つけたので、半ば強引ながら腕を掴んで部屋へと足を運ぶ
中也の怒鳴り声が聞こえるがそんなの気にしていられない
彼女を壁に押し付けるような形で逃げられないようにする
困惑した彼女の顔に又一つ苛立ちが含まれる
あんなに感情が表に出なかったのに
僕しか君の感情は読み取れなかった筈だったのに
僕が君を変えたかったのに
僕だけの指示に従ってた筈なのに
僕は随分と昔の質問を彼女にした
「○○、僕と心中しないかい」
『私は、太宰と心中できない』
キッパリと、直ぐに帰ってきた言葉に顔を歪ませる
"生きたい理由を探す為に生きろ"と云った
でも、その生きる理由が僕で無いと意味が無い
何であんな奴なんだろう、彼女の事等何も知らないくせに
チラリと視界に映った首元の黒いチョーカーと、耳元の見覚えのない赤いピアス
僕はこの言葉に表せない感情を押し殺す様、首元とチョーカーの間に指を滑り込ませ、チョーカーを最も簡単に解いた
彼女はずっと困惑した儘で、僕の外したチョーカーを「何で外したの」と不思議そうに、哀しそうに僕を見る
彼女にとって僕のチョーカーが少しでも気掛かりになってくれているのが嬉しい
けど、君は、そんな哀しそうな表情で僕を見なかった
もっと、人間が欠けているような、複雑な顔で見てくれた
力が抜けた様に、彼女の元へと崩れかける
『だざい......?』
ずっとずっと、檻に囚われた儘の何も知らない、綺麗な人形の儘だったら良かったのに
(手中に収めたい)
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